白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo Lee対Zero 第16局

2018年01月12日 20時54分58秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は中央区立中央小学校の囲碁授業を見学しました(講師・有村比呂司八段)。
正課ということで堅い内容を想像していましたが、意外と見慣れた光景でした。
皆囲碁を楽しんでくれていたと思います。
教え方は講師によって多少違いがあり、今回も参考になりました。

明日は永代塾囲碁サロンにて指導碁を行います。
午後1時からの講座では、趙治勲名誉名人との対局を解説する予定です。
ご都合の合う方はぜひお越しください。
指導碁の棋譜をその場でお渡しするサービスもしています。

さて、本日はAlphaGo Lee対Zeroシリーズです。
大橋拓文六段の本も出ましたし、私もこのシリーズぐらいは早く終わらせておきたいですね(笑)。



1図(実戦)
Zeroの黒番です。
黒1のノゾキ一本から黒3と宙に浮かびました。
これが単に黒3と打ったのであれば、白模様を消したかったんだなと理解します。
しかし、黒1と白2を交換しておくことで、実際には黒Aの切りを狙っているわけです。

ところで、今までは同じ局面で白Bと受けていましたが、今回は人間的な形の白2ですね。
AIにはこういうところがあって、同じ局面でもランダム(?)で違う手を選ぶことがあります。
これはDeepZenGoなどにも同じ傾向が見られますね。





2図(実戦)
後に黒1、3とプレッシャーをかけ、白4とダメをつながせることに成功しました。
こうなってみると、黒石の連携が良く見えてくるのが面白いですね。





3図(実戦)
黒1以降は前にも出てきた捌き方です。
本局では白8の時に手を抜いて黒9に回りましたが、この手が1つのポイントです。
弱い石を放置して大場に回ったわけですが、この手もまた単なる大場ではないのです。





4図(実戦)
白1、3と右辺を広げた瞬間、黒4の打ち込み!
これを予期して、予め黒△に打っておいたわけですね。
結果的に黒△は、右上隅を守りながら白の根拠を奪う手になっています。
打ち込みによって地を荒らすというより、白陣を破壊して全体を攻める勢いです。
急に黒のペースになったように見えます。

Zeroはこうした打ち込みが非常に得意な印象があります。
相手が模様を広げざるを得ないように持って行って、最後にドカン・・・。
序盤早々の三々入りで高い勝率を挙げられるのは、この技術によって支えられているところがあるでしょう。