白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第2回(第1局)

2017年01月18日 23時21分49秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
昨日から「Master」の棋譜紹介を始めましたが、早速間違いが発覚しました。
日本棋院から配布された棋譜を時系列順だと思い込んでいたのですが、実際にはそうではありませんでした。
昨日ご紹介したのは第6局でした!

という訳で、本日は第2回ですが、ご紹介するのは第1局です。
早く第7局まで進めて、正常なタイトルに戻したいですね・・・。
ついでに、対局者の段位も間違っていたようなので訂正しました。



1図(テーマ図)
さて、気を取り直して対局紹介に入りましょう。
黒の棋士は不明潘亭宇初段(中国)、白がMasterです。

左上隅周辺の黒の構えはやや狭く、そこに白AやBと入って行くと、窮屈な思いをする事になります。
そこで、実戦は白△のツケ!
ツケを打つと、大抵はお互いの石が固まる結果になります。
苦労せずに黒地を制限しようという理屈ですね。
なるほどと思いました。

ただ、この手にはさほどの驚きはありませんでした。
確かにこの配置では見た記憶がありませんが、小目への頭ツケ自体は、少なくとも30年ほど前には打たれているのです。





2図(実戦)
黒1以下は真っ先に思い付く対応で、実戦もこう進みました。
すると、黒△が働きの悪い石になっている事が分かります。
左上の黒は完全に生きており、そこから少し地を増やしているだけなのです。

ただ、白8に対して、黒Aから左右を分断できれば黒が良くなります。
黒はそこに期待をかけましたが・・・。





3図(実戦)
結果はこの通りです。
黒は2線をずらずら這った上に、△のコスミまで打たされました。
この手の後続手段は黒Aですが、生きている石と繋がるだけのつまらない手です。
白Bの大場に回られ、早くもリードを許してしまいました。





4図(実戦)
さらに手順が進み、黒△と打った場面です。
とても黒を持つ気はしませんが、勝負が決まるのはまだ先と感じます。
中央の黒が弱い事が気がかりですが、上手く誤魔化せれば、地の勝負に持ち込めるかもしれません。





5図(実戦)
ところが、Masterの打ち回しはシンプルかつ的確でした。
白1以下べたべたと左辺を塗り付け、白11!
この手は下辺一帯の白模様を広げると同時に、中央の黒に迫る一石二鳥の絶好手です。
この瞬間、碁は終わりました。
左辺に黒地が15目ほど増えましたが、小さな問題です。





6図(実戦)
その後、白△と打った場面です。
中央の黒が苦しむ間に、白模様はさらに大きく広がりました。
しかも、中央の黒はまだ生きていません。

黒Aは必死の突入ですが、もはや形勢は大差です。
白はあっさり生かして周辺の地を固め、付け入る隙を与えませんでした。

1手1手を見ると、白は凄い手を打っている訳ではありません。
しかし、重要な地点は決して逃がしません。
これが所謂大局観ですね。
碁の強さにおいて、かなりの部分を占める分野です。
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