白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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天台山農商銀行杯3日目

2017年05月12日 22時27分01秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
明日は永代塾囲碁サロンにて指導碁を行います。
棋譜をその場でお渡しするサービスも行っております。
ご都合の合う方は、ぜひお越しください。

さて、本日は天台山農商銀行杯の3日目、日本対台湾戦が行われました。
結果は謝依旻六段牛栄子初段が勝ち、日本チームは台湾チームを破って3位となりました。
本日は牛初段と張正平三段の対局をご紹介しましょう。



1図(実戦白70)
牛初段の黒番です。
右下白△と逃げた場面です。
プロの碁では滅多に見られない愚形になっていますが、黒AやBからのシチョウは成立しません。
そこで黒はCやDなど、シチョウを狙って工作したくなるところですが・・・。





2図(実戦黒71~黒79)
あっさり黒1と決めてしまいました。
上辺に2手連打することより、白1と頭を出されることを嫌ったのです。
その代わり上辺は1線を渡ることになり、これは黒つらそうに見えました。

また、右下白8にも、白Aに備えて黒9と辛抱しています。
これもつらそうに見えるのですが、右下白の眼をまだ狙っているのでしょう。

牛初段は相当な力碁であり、いつもパンチを狙っているように見えます。
しかし、その一方で非常に我慢強いと感じます。
必要な時に我慢できることも、勝負師にとって大事な資質です。





3図(実戦白86~93)
上辺黒もただ我慢したのではなく、狙いを持っていました。
白1に隙ありと見て、黒8までの切断を決行!





4図(実戦黒105)
結局、黒△と凄い所が抜けました。
この厚みを背景に、後は黒地が増えるばかりとなりました。

ちなみに、今日は牛さんの18歳の誕生日だったようです。
一番の誕生日プレゼントになったことでしょう。