白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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Master対棋士 第57局

2017年08月13日 23時53分06秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
阪急囲碁まつりは大変盛り上がったようですね。
夏休みは囲碁のイベントが目白押しです。
仕事や学校がお休みの方が多い時期ほど、棋士は忙しくなります。

さて、本日もMaster対棋士シリーズです。
対局者は申真ソ八段(韓国)です。
2000年生まれの棋士ですが、既に韓国ナンバーワンの朴廷桓九段に肉薄しています。



1図(実戦)
Masterの黒番です。
黒3と挟む前に、黒1のノゾキ一本!
以前ご紹介しましたが、何度見ても真似したくない手です(笑)。





2図(実戦)
黒1、3は予定の行動とみられます。
ここは黒4、白1、黒Aと左辺に展開する余地もあるのですが、それをあっさりと捨てました。

また、黒5にも注目したいところです。
ここは黒Bの方から利かす手もあったところで、それを無くすことで黒△の弱体化につながっています。
しかし、黒△は捨てても構わないとみているのです。

つまり、Masterは赤で囲んだあたりの空間を全く重視していないということになります。
実際、そのあたりは50手以上放置されることになります。





3図(実戦)
戦いの中では、黒1~5の攻め方などが特徴的ですね。
黒1、3で「ジリッ、ジリッ」と地道に根拠を奪い、白4には一転、「ガツン」と黒5!
緩急自在の攻め方です。





4図(実戦)
黒1~9も、誰でも打てそうな一歩一歩の打ち方です。
しかし、これが白に反撃や躱しの余地を一切与えない、無慈悲な攻めとなっています。





5図(実戦)
その後黒△に石が来て、下辺の黒地が大きくなりました。
攻めの効果は十分です。
白1、3で黒×を取る手が残りましたが、もう黒は白を攻める必要がありません。
黒4の大場に回り、形勢有利を宣言しました。
この後白Aの突入から意外な変化になりましたが、黒の優勢は揺るぎませんでした。

1月から始まったこの企画も、とうとう残り3局となりました。
ラストスパートで、一気に駆け抜けてしまうつもりです。