白石勇一の囲碁日記

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Master対棋士 第58局

2017年08月14日 22時36分28秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
世界ペア碁最強位戦本戦は、井山裕太九段謝依旻六段ペアが優勝しましたね!
10月上旬には、世界一をかけて柯潔九段-於之瑩五段ペアと対決します。
世界最強ペアに対してどう戦うのか、非常に楽しみですね。

さて、本日はMasterと常昊九段の対局をご紹介します。
常昊九段は、かつて中国囲碁界の頂点に君臨した棋士です。
世界戦でも3回の優勝経験があります。
私の世代では、中国を代表する棋士と言えば、まず常昊九段を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

そんな常昊九段も、近年はトップ争いから外れています。
現在の中国囲碁界のシステムでは、30代以上でトップにいることは難しいようです。
1976年生まれなので、高尾紳路名人と同い年ですが・・・。



1図(実戦)
常昊九段の黒番です。
黒1に対して白2、4の対応は、白A付近に白石が無い場合は良くないと考えられていました。
黒5で黒Bからの切断を狙われますが、それを守るピッタリした手が無いからです。

しかし、Masterの考え方(?)は違いました。
「守る手が無いなら守らなければ良いじゃない」
傷を放置して白Cと打ったり、実戦のように全く別の所に打ったり・・・。

実際、手を抜かれると黒もどう咎めるか難しいのです。
この打ち方を認めたプロも多いようで、公式戦でも時々現れています。

ただ、運用には攻め合いや死活の読みも必要になります。
誰にでも使いやすい型ではないので、そこは要注意ですね。
とりあえず、私には使いこなせる気がしません(笑)。





2図(実戦)
その後、白は左辺で色々やりましたが、黒石を左辺に偏らせるためです。
結果黒は白△4子を取りましたが、左辺に黒は19子あり、差し引き15手かけたことになります。
15手かけてできた黒地は20目ちょっとなので、効率が悪いではないかと主張しているのですね。
また、黒石は内側に籠っており、今後の戦いに役立ちそうもありません。

ただ、問題は外側の白です。
いくら黒石の効率が悪いと言っても、外側の白がボロボロになってはいけません。
白1に黒2と切られ、どう対処するのでしょうか?
次に黒Aと出られると、白2子を取られてしまいますが・・・。





3図(変化図)
白1と2子を助けてみましょう。
すると黒8までの進行が想定されます。
左下白はかろうじて生きただけのつらい格好です。
また、黒8と挟まれると下辺は黒が攻勢です。
この図は白が全くダメですね。





4図(実戦)
実戦はなんと、要石に見える白△を捨ててしまいました!
黒6と抜かれた形は、見た目は白最悪です。
ですが、冷静に状況を確認してみましょう。

まず、白△を抜いたことで、左辺の黒一団はさらに強くなりました。
しかし、左辺の黒は元々強かったので、少し地が増えただけとも言えます。
一方、弱かった白×は、黒〇を取り込んで強い石に変わっています。
どちらが得をしたかは明らかですね。

2図の場面で問題に出されれば私でも正解できますが、もっと前から想定しておくのは大変です。
ましてや、持ち時間の無い早碁では・・・。
この後、Masterは右下でも捨て石を用い、着々と優勢を固めて行きました。
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