白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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朴河ミン-李昌鎬戦

2018年11月11日 22時18分32秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
iPS細胞を利用したパーキンソン病の治療が試みられているそうですね。
昨今は技術の進歩が早いですが、人が幸せになる方向に向かってほしいものです。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
昨日はベテラン対決をご紹介しましたが、その流れでもう一人ご紹介しましょう。
本日の主役は李昌鎬九段(43)です。
韓国を代表する棋士を問われれば、我々の世代のほとんどの人が李九段を思い浮かべることでしょう。



1図(実戦)
日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されていた、朴河ミン四段(20)との対局、朴四段の黒番です。
白△まで、腰を落として一歩一歩前に進んでいます。
いかにも李九段らしい打ちっぷりです。





2図(実戦)
黒△のカケはぴったりの手筋ですね。
先手で白の中央進出を止めることができ、ぱっと見では黒の気分が良さそうです。





3図(実戦)
その後黒△まで進み、中央を横断する黒の大勢力ができました。
これも見た目は非常に素晴らしいのですが、その素晴らしさを具体的な数字で表すことは困難です。
しかし、全盛期の李九段はそれが可能だと言われていました。
将来を見通す力が極めて高いということでしょう。





4図(実戦)
白△まで進んだ場面ですが、黒は中央の地を囲うぐらいしかやることがなく、せっかくの勢力が働かない碁形になっています。
つまり白がリードしているのでしょう。

問題はその判断を今できるか、何十手も前にできるかです。
李九段の打ち回しは、悪そうに見えても後になってから正しいと分かることが多いですね。