白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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賞金と対局料

2018年01月27日 23時26分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
今回は賞金と対局料についてお話しします。
まずはこちらの2017年賞金ランキング(日本棋院棋士)をご覧ください。

(1)井山裕太七冠 1億5981万4000円
流石に圧倒的ですね。
通常だと1位は7000万円~1億円ぐらいのイメージがありますが、七冠全部集めてNHK杯も取ればこのぐらいは行きますね。
既に上限近く、このレベルを維持するだけでも大変ですが、もし大きく更新することがあるとすればそれは国際棋戦での活躍です。
LG杯にはぜひ優勝して欲しいですね。

(2)一力 遼八段   2523万7300円
(10)六浦雄太七段   1699万6200円

今回の2位以下は稀に見る団子状態でしたね。
各棋戦で大活躍の一力八段はもちろん、阿含桐山杯で優勝を果たした六浦七段も食い込んできました。

(4)藤沢里菜女流名人 2404万9700円
(8)謝依旻女流本因坊 2047万2400円

女流三冠と二冠の2人も目を引きます。
ひと昔前では考えられなかったことですが、最近は当然のように女流棋士がランキング上位に入ってきますね。
現在、国内の女流棋戦は5つあり、優勝賞金だけで総額2900万円にも達します。
なんといっても、タイトルホルダーは強いですね。

対局で十分な収入が得られると、勉強にも集中しやすいです。
近年の女流棋士のレベルアップの一因でしょう。

ちなみに、賞金ランキングと称していますが、この中には対局料も含まれます。
ここはゴルフなどとは違うところですね。
囲碁では賞金を得られる棋士は非常に少ないです。

例えば、棋聖戦の場合ですと優勝賞金が4500万円、そして2位にも賞金が出ます。
しかし、その他の棋士が得られるのは対局料のみです。
もしもランキングが賞金のみの集計だと、予選Cで負けても挑戦者決定戦で負けても同じになってしまいますね。
棋士の活躍度を正しく表せるよう、賞金・対局料の合算になっているのです。

このランキングは、通常公表されるのは20位ぐらいまでです。
ですが、実際には日本棋院の現役棋士約340人全てのランキングが集計されています。
ただ、私も含め、ほとんどの棋士は自分の正確な順位を順位を知りません。
聞きに行ったら教えて貰えるのかもしれませんが、あまり興味を持てないからです。
自分がどのぐらいの位置にいるかということよりも、具体的にリーグに入るとか棋戦で優勝する、あるいは何勝を挙げるといったことを目標にしている棋士が多いでしょう。

次回はランキングとも絡みますが、昇段制度についてお話ししたいと思います。