白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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書評・第21回 流水秀栄

2019年07月08日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
仲邑菫初段、10歳4ヶ月にして公式戦初勝利!
当然ながら最年少記録です。
対局の模様は囲碁プレミアムにて中継されました。

また、先月13歳になったばかりの上野梨紗初段も初勝利を目指していましたが、タイトル経験者の新海洋子五段に敗れました。
上野初段の実力を考えると、棋士人生でワーストになりそうな内容でしたが、これも年月が経てば良い思い出になるのではないでしょうか。



皆様こんばんは。
本日は久しぶりの書評コーナーです。
ちなみに、今までの記事を見返したところ、第11回が2つあることに気が付きました。
修正して、今回が第21回の記事となります。

さて、今回ご紹介するのは「流水秀栄」です。
現在は出版されていないと思いますが、日本棋院の電子書籍で購入することができます。

本因坊秀栄の碁は、正月の記事でもご紹介しましたね。
あの碁はおそらく秀栄の碁の中で最も有名なもので、当然ながら本書でも解説されています。
出版予定の私の新刊でも扱おうか迷いましたが、有名すぎるゆえに見送りました。
しかし、秀栄の碁は棋譜並べの教材としても非常に優秀だと思います。

秀栄の碁の最大の魅力は、なんと言っても本書のタイトルにもなっているような、流れるような打ち回しにあります。
布石、攻め、捌きなど全てに無理がなく、自然と秀栄の石が良いところに向かっていくのです。
秀栄の碁を学ぶことに、高い棋力は必要ありません。
並べるだけで美しさを感じることができるでしょう。

ただし、それは秀甫没後、第一人者になってからの話です。
それ以前は地力は非常に高いものの、垢抜けない印象の碁を打っていました。
ですから、秀栄は晩成の棋士と言われています。
秀栄最高の作品は40代~50代で生まれており、現代の棋士とはずいぶん違いますね。
体力が落ちていく中でも実力を向上させていくということは、それだけ碁の研究に打ち込み続けたことを示しています。

ここまで書いてふと気付きましたが、秀栄評ばかりで書評になっていない気がしますね・・・。
本書の著者は高木祥一九段です。
高木九段は古碁に精通していることで知られており、豪腕丈和の著者でもあります。
研究も深いですが、なんと言っても名手たちへの愛が凄いですね。
本書の解説を読んでいると、かつての高木九段自身の驚きや感動も感じることができます。
それもまた棋譜の魅力を引き立てていると思います。

私にとって、秀栄は秀甫と並んで最も好きな棋士です。
皆様にもぜひ棋譜並べをおすすめしたいですね。

 


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