白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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書評・第18回 囲碁手筋大事典

2018年08月18日 23時40分46秒 | 書評

<本日の一言>
昔から視力が低く、目の疲れには悩まされています。
30代に入ってから、ますます酷くなったような・・・。
原因はスマホとパソコンだと思われるので、ブルーライトカットメガネを作ろうと思います。
おすすめのお店やブランドなどありましたら、教えて頂けると嬉しいです。


皆様こんばんは。
本日は囲碁の本をご紹介します。



「囲碁手筋大事典」 著・石田芳夫 1890円+税

辞典ではなく、事典です。
囲碁の「じてん」は、こちらで表記されていることが多いですね。
辞典は言葉や出来事の意味を解説するものですが、囲碁においては名前が無いものを解説することが多く、また意味よりも使い方を解説することが多いので、こちらの方が適切でしょう。

さて、言葉の定義はともかく、「じてん」です。
一般には国語辞典、英和辞典、百科事典など色々とありますが・・・。
これらを1ページ目から順番に読んでいく人は、かなりの少数派でしょう。
いわゆる読み物とは一線を画するものです。

しかし、囲碁の事典ではそれを読者に要求します(笑)。
これ以上なく硬派な部類の本と言えるでしょう。
もちろん、1割だけ読んでみるということならそう苦労はありませんが、それでは1割しか学ぶことができません。
これが例えば私の本だと、読み進めるごと難易度が上がっていく仕組みになっているので、とりあえず分かりやすいところだけ読むという方法も有効なのですが。

そして、この本は1つのテーマ図を示す度に、正解図・失敗図(または変化図など)が1つずつ付いてくるという形式ですが・・・。
テーマ図の数、なんと668!
大事典と名乗るだけのことはありますね。
内容の方も、石を取る手筋、死活、攻め合い、石の形など多岐に渡ります。
さて、この本の読み方ですが・・・。

①まずテーマ図を見て、正解を少しだけ考えてみます。
②正解図・失敗図(変化図)を確認します。

ということになるでしょう。
解説も付いていますが、図で何が起こったのか分からなかった時に確認する程度で良いと思います。
種類にもよりますが、手筋は理屈で覚えることが難しいものが多いです。
ですから、形そのものを覚えてしまうことが最も確実です。
そのために大事なのは、数をこなすことです。
ですから、必ずしもじっくり読み込む必要はなく、テーマ図と答えを確認したらどんどん先に進んで良いのです。

もちろん、最初はそれでも時間がかかるでしょう。
なにしろ668図ありますからね。
ですが、以前にもお話ししたように、繰り返し練習することが大切です。
そうすれば、テーマ図を見た時に答えが浮かぶようになってくるでしょうし、1周にかかる時間も短くなっていくでしょう。
例えば最初に5時間かかったとしても、2回目は3時間になり、3回目は2時間に・・・といった具合です。
本書の場合、私でも流石に3分というわけにはいきませんが(笑)。

ちなみに、失敗図・変化図に関しては、できれば一度ぐらいは読んでおいた方が良いと思います。
ただ、2回目以降は必ずしも必要ではなく、飛ばしてしまっても構わないでしょう。
これも時間節約のためです。
かなり手数が長いものもありますからね。
これは覚えておきたい、と感じたものだけやって頂ければ良いでしょう。

最後に少し補足しておきましょう。
まず、本書で覚えるべきはテーマ図からの数手の手筋です。
中には正解図が20手以上あるようなものもありますが、それを丸暗記するような必要は全くありません。

また、解説を見てもよく意味が分からない手筋もあるかと思いますが・・・。
「ふーん、そういうものか」と流しておいてください(笑)。
高度な手筋を無理に理解する必要はありません。
それでも、目に焼き付けておくだけで感覚は養われるでしょう。


囲碁の本には色々な種類がありますが、本書はとにかく囲碁が強くなりたい方向けと言えます。
ハードですが、効率の良い学習ができるでしょう。