白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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女流本因坊戦第3局

2017年11月04日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は定例の中央大学囲碁部のOB・現役交流会に参加しました。
「1、2年生を鍛える会」とも呼ばれているこの会で、現役の実力アップにいくらか貢献できていれば嬉しいです。
応援する対象がいるのは良いものですね。

さて、本日は女流本因坊戦第3局が行われました。
私が注目した場面をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
謝依旻挑戦者の黒番です。
白△と形の急所に伸びたところです。
黒はAの傷があるので、ほとんどの棋士は黒Bに守るでしょう。
しかし、そんな場面で誰も予想しないような手を繰り出すのが謝挑戦者です。





2図(実戦)
実戦は、なんと黒1のツケ!
謝挑戦者が飛躍した手を放ちました。
白Aと反撃してくれば黒Bと切り違って戦えるということでしょう。
なんとも強気の捌きです。

謝挑戦者は、ここぞという場面で激しいツケを繰り出すイメージがあります。
「井山のツケ」は有名ですが、「謝のツケ」ももっと知られても良いですね。





3図(実戦)
手順は進んで、ここでもう1つのツケ!
こちらは有名な手筋ですね。
謝挑戦者、早く打ちたくて仕方なかったのではないでしょうか。





4図(実戦)
結果、黒△まで大きく生きた上、Aの断点が残ったので外側の白も狙えます。
白地を荒らした、というより破壊した印象ですね。


最近のタイトル戦では謝挑戦者が藤沢里菜女流本因坊に押され気味でしたが、本シリーズはかなり内容が良い気がします。
第4局はどんな碁になるのか、楽しみですね。