白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

DeepZenGo、1000勝到達

2017年09月27日 23時27分02秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
昨日は仕事が溜まっていたので更新をお休みしました。
元来怠け者なので、サボり癖がつかないように気を付けておきましょう。

本日、女流本因坊戦五番勝負が開幕しましたね。
見ているだけでもヘトヘトになりそうな難戦でしたが、両者のしつこさ、粘り強さには感心しました。
流石勝負慣れしているだけありますね。
第2局以降も競った勝負が見られそうです。

さて、もう1つは身内のお知らせです。
中大囲碁部時代の後輩が、地元で囲碁の研究会を開いています。
盛り上がっているようなので、この場を借りて紹介してみたいと思います。
ブログで紹介すると言ったところ、本人が紹介文を書いてくれました。

「20~30代の若手社会人を中心とした研究会です。
月1回程度、長野県松本市で活動しています。
初心者から高段者まで棋力を問わず楽しめる会です。
ぜひお気軽にご参加ください。」


とのことです。
それと、何やら写真を渡されまして・・・。



週刊碁の「囲碁ガール」コーナーに載っていた、この女性も参加してるよ! とアピールされました(笑)。
いかにも会が賑やかになりそうな雰囲気を醸し出していますね。

若い社会人は同世代と打つ機会が少ない、という話はよく耳にします。
そんな方々が気軽に打てる場所が増えれば、囲碁界全体も盛り上がることでしょう。

よね研ホームページ→https://nxxcd140.wixsite.com/mysite/
よね研ブログ→http://blog.goo.ne.jp/rahmen2


さて、本日は久しぶりにDeepZenGoの対局をご紹介しましょう。
DeepZenGoは幽玄の間にて、雨の日も風の日も対局を続け・・・。
とうとう1000勝突破しました。
最新の通算成績は、1059勝40敗・・・。
棋士側も慣れて来てはいるでしょうが、それ以上にDeepZenGo自体が強くなっているようですね。



1図(テーマ図)
山城宏九段(黒)との対局です。
白1まではよくある布石ですが、白3、5とハメ手風? の打ち方です。
続いて黒Aの切りはあまり良い結果にならないので・・・。





2図(実戦)
黒1、3とかわすまでが1つの定型ですね。
昔からある型ですが、一般的には黒良しと判断されていると思います。
お互いに△の石が悪手になっていますが、白の方が罪が重いとみられるのです。
しかし、白6と黒模様を制限する手がぴったりで、全局的には白が打てるという判断でしょう。





3図(実戦)
その後白1、3と連打しましたが、シチョウ当たりとしては当たりが弱い気がしないでもありません。
しかし、これで十分打てるという判断があるのでしょう。





4図(実戦)
後に白△と構えた場面ですが、この時点で正しく形勢を判断するためには、白×の存在価値を正しく判断する必要があります。
中央に壁を作っていますし、攻められそうもないので、これらが白にとってプラスであることは明らかです。
しかし、具体的にはどのぐらいの価値があるのでしょうか?
それはあまりにも難しい問題です。
上辺の黒地がどれぐらいなのか、右辺の白地がどれぐらいなのか、といったことなら想定図さえ作れれば計算できるのですが・・・。

結局のところ、人間には経験に基づくで判断するしかないでしょう。
一般的に、この勘の精度は強い人ほど高くなります。
そして、DeepZenGoはこういったところの判断力において、人間の最高レベルを大きく超えています。
人間の最も苦手な分野がDeepZenGoの得意分野という訳で、棋力に大きな差が付く原因になっています。