白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

DeepZenGo

2018年01月24日 22時23分48秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
幽玄の間での棋士とDeepZenGoの対局は2017年いっぱいの予定でしたが、延長されています
毎日多くの対局が行われているので、ぜひご覧ください。

最近はじっくり観戦している時間がありませんが、少し眺めてみたところ、目を引く打ち回しが見られました。
皆様にもご紹介しましょう。
対局者は田中伸幸三段(黒)です。



1図(テーマ図)
左下Aの穴が残ったまま放置していることは、見た目には非常に気になりますが、黒が打ってきても相手をしないつもりでしょう。
このあたりも「らしい」打ち回しですね。

さて、右下黒△と挟まれたところが問題です。
白が弱い石になりましたが・・・。





2図(変化図)
白が素直に逃げると、一方的に攻められることになりそうです。
その間に周辺の黒地が固まっていくので、これは得策と言えません。





3図(実戦)
そこで、辺の石は捨てることにして、白1から隅に潜り込みました。
これはまあ分かります。
しかし、黒10に対して手抜きで大場に先行!
隅の白が生きていませんが、取られても良いのでしょうか?





4図(実戦)
後に黒1から取りに行きました。
白は生きるスペースがありませんが、白2、4と反撃!
上下の黒も強くないと言っています。





5図(実戦)
戦いの結果はこうなりました。
隅の白は死んでいますが、下辺白模様がずいぶん大きくなりました。
なるほど、これなら白十分です。
流石に捨て石が上手いですね。

ちなみに、この碁は何故かここで終わっています。
大差の形勢には見えませんが、恐らく序盤の研究と割り切っているのでしょうね。
DeepZenGoはいつ投了しても怒らない、素晴らしい研究相手です(笑)。