白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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高尾挑戦者、連勝!

2016年09月15日 19時17分36秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第41期名人戦七番勝負第2局の2日目が行われました。
結果は第1局と同じく高尾挑戦者が凌ぎ勝ち、2連勝となりました。
それでは早速振り返っていきましょう。



封じ手は本命の黒△抜きでした。
皆さんの予想は当たりましたか?





しかしその後の黒1、3の打ち方は予想外でした。
確かに好点とは思っていましたが・・・





白5まで上辺を凹ませながら進出してしまいました。
黒の狙いは?




黒5まで下辺を目一杯に広げました!
白4子を大きく飲み込んでしまおうという思い切った構想です。





こう大きく構えられては白も覚悟を決めるしかありません。
白1、3と動き出して勝負!





黒1の急所攻めに対して、白も2と切って対抗!
Aの切断を見て黒の薄みを衝いていきました。
両者必死の読み合いになっています。





白1がうまい手で、白5となっては凌ぎ成功かと思われました。
ところがここで黒6と凄い手が飛び出しました!
白Aと出られると穴だらけなので、相当打ちづらい手ですが・・・





出て来られてもまとめて御用という事でしょう。
一例ですが黒8までとなると白ピンチです。





実戦は白1の手筋からコウに持ち込む事になりました。
大変なコウ争いです。





白1のコウ材に黒2と解消、今度は右下の問題になりました。
白7まで切り離し、ここもただものではありません。





ややこしい手順を踏み、再びコウ争いが始まりました。
しかし白からコウ材の多い状況になっています。





黒は左下にしかコウ材が無く、白2と解消して凌ぎ成功です。
黒△を取り込んで地も大きいです。
その代わり左下で白△が取られそうに見えますが・・・





白1から臨機の手筋で無事連絡しました。
普通は黒を厚くしていけないのですが、この場合周囲の黒は元々厚いので問題ありません。
下辺をがらがらに荒らした白の利益が大きく、ここで白の優勢がはっきりしました。
その後黒は粘りましたが、白は手堅くヨセて付け入る隙を与えませんでした。

なおこの対局は幽玄の間宮川史彦八段の解説付きで中継されました。
丁寧な解説も、途中から参考図が出せなくなるというトラブル発生
原因不明ですが、参考図の出し過ぎという噂も・・・
確かに1日目の時点で260図以上出ていました
分かりやすい解説なのでぜひご覧ください。

さて、これで高尾挑戦者は名人奪還に大きく近付きました。
高尾挑戦者に4連勝は至難の業、井山名人としては次は絶対に勝たなければいけないでしょう。
第3局では必死の井山名人が見られそうです。

第3局は9月20日(火)、21日(水)に静岡県沼津市「千本松・沼津倶楽部」で行われます。
お楽しみに!