白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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国民栄誉賞&於-藤沢戦

2017年12月13日 20時46分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
そろそろ今年も色々なことがあったと振り返る時期ですが、また凄いニュースがありましたね。
将棋の羽生永世七冠と囲碁の井山七冠への国民栄誉賞同時授与検討へ!

囲碁や将棋は古くから受け継がれてきた文化であり、その価値を認めて頂けることはこれ以上なく嬉しいですね。
これまで井山さんに蹴散らされてきた方々も浮かばれることでしょう(笑)。
これからも私たちは、囲碁が何故これだけ長く愛されてきたのかを世間に広めると共に、愛好家が増えるよう、より一層努力していかなければいけませんね。


さて、本日はエリートマインドゲームズで藤沢里菜三段が於之瑩五段(20)と対局しました。
於五段は李欽誠九段を破って中国の新人王になったことがあるなど、女流の枠を越えた実力者です。



1図(実戦)
於五段が黒△と桂馬に打ち、白△の一団を攻めています。
ここで白としては、白A付近に打って補強するのが自然な発想でしょう。

ただ、守ったからといって完全に安定できるわけではありません。
追撃されてじり貧になってしまう恐れもあります。
ここまでの流れが黒好調(私の見立てですが)ということもあり、白としてはここらで流れを変えなければいけないと思ったのではないでしょうか。





2図(実戦)
実戦は白1から隅に潜り込みました!
隅をえぐったことは単なる地だけの問題ではなく、黒の根拠を奪ったことにもなりますが・・・。
しかし、黒10と攻防を兼ねた一手を打たれた局面、どう見ても中央の白の方が弱そうです。
普通の棋士だと選びにくい進行だと思いますが、あえて死中に活を求めた印象です。
藤沢三段らしい、勝負師の打ち方ですね。





3図(実戦)
黒△と眼を奪われ、白△は風前の灯火です。
また、それだけではなく左側の白×もまだ生きていません。
どちらかを取られてもおかしくない状況に見えますね・・・。





4図(実戦)
右の白はなんとか生きました。
しかし、今度は左側白×がピンチです。
2眼ありませんし、これから作るスペースもありません。

ところが、ここから藤沢三段は黒の包囲網の僅かな隙を衝き、見事凌ぎに成功しました。
世界の頂点を争う女流棋士に対して読み勝ったことは素晴らしいですね。
女流棋士で世界一になるためのハードルは非常に高いですが、藤沢三段はそこを目指せる棋士の1人でしょう。


さて、明日は私の今年最後の対局があります。
相手はなんと趙治勲名誉名人です!
趙名誉名人には、以前記念対局で打って頂いたことがありますが、その時は完敗・・・。
少しは成長したところを見せたいですね。
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。