白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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封じ手予想&柯潔九段ーAlphaGo 第1局

2017年05月23日 17時02分00秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は本因坊戦第1局の1日目が行われました(まだ対局中ですが)。
本木克弥挑戦者の意欲的な実利作戦に対し、本因坊文裕も思い切った中央作戦で対抗!
そして、とうとう上辺から空中戦が始まりました。
明日はどんな戦いになるのか、楽しみですね。

封じ手予想は深く考えず、直感でM-8の一間飛びにします。
本当の直感は一路左のカケなのですが、それはちょっと無理そうなので・・・。
手の広い場面なので、当たる確率は低いですね(笑)。
明日行われる2日目の戦いも幽玄の間で中継されます。
ぜひご覧ください。


また、本日は柯潔九段とAlphaGoの三番勝負、第1局が行われました。
私が印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(実戦)
柯潔九段の黒番です。
やはり出ました、序盤早々黒1の三々入り!
また、左上は近年では珍しい空き隅への三々打ちです。
どちらも柯潔九段が実戦で試していた手ですね。

想像ですが、柯潔九段自身もこれらの打ち方が最善手であるとか、AlphaGoに勝ちやすいといった感覚は持っていないと思います。
ただ、この打ち方に対するAlphaGoの対応を見たかったのではないでしょうか。
何しろ、人類のレベルを遥かに超えている相手との三番勝負です。
いかにして1局勝つかという戦いなのです。
本局も当然全力は尽くすとはいえ、まずは様子見といった所でしょう。





2図(実戦)
白△まで進行しましたが、どう見ても黒が良いとは思えませんね。
柯潔九段もそう感じているはずですが、あえてこの進行を選んだのでしょう。





3図(実戦)
黒△に挨拶せず白1、3の転身とは、鮮やかなものですね。
ちょっと気が付かない打ち方です。
正直に白2子を逃げて行くと、下辺一帯の白模様に悪影響を及ぼすということでしょう。





4図(実戦)
黒△と白△を取り合う分かれになりました。
白△が大きいようですが、白としては取られてしまった方が後が楽なのです。
白1に回って白リードでしょう。





5図(実戦)
黒1に対して、白2~6の対応も人間にはなかなか気が付かない打ち方です。
石の形だけ見れば、左下隅がスカスカで気が引けるのですが、むしろ黒に侵入を強要しているのです。





6図(実戦)
左下隅で黒を生かしても、白△に回れば黒△が風前の灯火です。
こうなっては、棋士なら全員白有利と判定するでしょうね。
かなりの差が付いたように感じました。

この後は色々あって細かくなりましたが、結局黒が良くなる場面は全くありませんでした。
AlphaGoの隙の無い強さを示した1局でした。
勝負としては、明後日25日(木)の第2局以降が本番ですね。