白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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強弱の判断(7子局)

2016年12月10日 22時03分57秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は永代塾囲碁サロンで指導碁を行いました。
お越し頂いた方々、ありがとうございました。
また、ついでに著書も追加で置いて来ました(笑)。
ぜひご購入頂ければと思います。

さて、本日は久しぶりに、指導碁を題材にしましょう。
7子局です。



1図(テーマ図)
白△とカカッた所です。
ここで、黒はどう考えたら良いでしょうか?
私の本に出てきそうな場面ですね。
お互いの石の強弱を正しく判断する事が、答えに繋がります。





2図(失敗図1)
実戦は黒1、3と、白に攻めかかりました。
常用の手段ですが、白4となってみると、黒が閉じ込められそうに見えませんか?
白△に2つ石がある事がポイントで、辺の黒石は決して強い石ではなかったのです。

周囲の白も決して強い姿ではないので、この戦いはやや黒有利です。
棋力が近ければなんとかなるでしょう。
しかし、実際には7子置いている以上、やや有利程度の戦いでは、黒が成功する可能性は低いのです。





3図(続・失敗図1)
この後は、白△までとなりました。
下辺の黒を取り込み、白は全部繋がってしまいました。
こうやって白が楽をしてしまうと、黒としては、後が非常に打ちにくくなります。





4図(正解)
下辺の黒は、周囲を囲まれつつあります。
これが最も弱い石ですから、黒1やAと、中央へ進出する手が正解です。
これは守りだけの手ではなく、左右の白をはっきり分断する効果があります。

黒△を放置しているのが気になるかもしれませんが、周囲には白石が1つしかありません。
こちらはさほど弱い石ではないのです。





5図(続・正解)
白1と両ガカリして来れば、黒2のコスミが簡明です。
黒4、6と全部繋げて、何の不安も無くなりました。
後には白△の弱い石だけが残り、黒は好きなように攻められます。





6図(失敗図2)
テーマ図からの、他の手についても見ていきましょう。
黒1、3のツケ押さえを打たれる方が、結構多いですね。
黒7までと打てば、確かに隅の黒は強くなります。
しかし、外側に白石が増えるので、白8となっては下辺黒が風前の灯です。
黒は一番弱い石から守らなければいけませんでした。





7図(失敗図3)
黒1と詰める方も多いですね。
一番弱い石から動いている点は良いのですが、狭い所に向かっているので減点です。
白4と打たれ、これも黒が苦労する可能性大です。
取られはしないでしょうが、白に左右を繋がられるだけでも失敗なのです。





8図(難解)
左右を繋げようとする黒1も、十分考えられる手です。
これは著書でもご紹介しましたね。

ただし、ここでも白△の存在が問題になります。
白2から強引に切りに来られて、どうなるか・・・。
下辺の黒を上手く捨てて勢力を築いたり、包囲網を突破する事ができれば、黒が良くなる展開もあります。
自信があれば、試してみるのも良いでしょう。
もし下辺の黒がもがき苦しむような事になると必ず負けますから、その点はご注意ください。

繰り返しますが、大事な事は、お互いの石の強弱をしっかり判断して打つ事です。
それができれば、置き碁では常に有利な状況で戦えるようになるでしょう。


明日12/11(日)14時からは、阿含・桐山杯 日中決戦が行われます。
河野臨九段の相手は、柯潔九段です!
世界ランキング1位の柯潔九段に対して、河野九段がどんな戦いを見せてくれるか、楽しみですね。
対局の模様は、幽玄の間ニコニコ生放送でご覧頂けます。
河野九段を応援しましょう!