白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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「やさしく語る 碁の本質」質問回答その1

2016年12月09日 23時46分19秒 | 著書
皆様こんばんは。
明日は13時より、永代塾囲碁サロンで指導碁を行います。
ご都合の合う方は、ぜひお越しください。

さて、著書「やさしく語る 碁の本質」の「読者コーナーでは、多数のご質問を頂きました。
本日は、その中でも特に疑問に思われた方が多かった2つをご紹介しましょう。



<テーマ図1>
最も多かったご質問は、106ページ2図白2で、白1と打たれたらどうするか?というものでした。
実は、ここは本書で最も大きな失敗でした。
プロは白1のような強引な手は、殆ど打たないのですが、確かにアマ同士だとありそうです。
これに対する応手を解説していきましょう。





(正解)
結局の所、黒1、3の対応が最も覚えやすそうです。
これは手順が違うだけで、1図と同じです。
この図を避けようとしたのが失敗でした。

ポイントは、黒△の石は全て助けるという事です。
それさえ守れば、石数に勝る黒が、必ず有利に戦えます。





(変化図1)
白1、3には黒4が絶対の一手です。
これで白は根拠が無く、見るからに苦しい状況です。
要石の白△は、とても逃げる暇がないでしょう。





(変化図2)
強い人だと、白1を先に打ってくるかもしれません。
これにも黒2と押さえ、白に根拠を作らせない事が重要です。
黒8まで、前図よりは白にゆとりがあります。
しかし、白△を逃げる暇がない事には変わらず、黒有利な戦いです。

白がどう変化しようとも、相手が同じぐらいの力量であれば、石数の多い黒が必ず良くなります。
もし置き碁であれば、周囲はさらに真っ黒なはずなので、やはり黒有利です。





(テーマ図2)
もう1つは、139ページテーマ図11で、黒AやBと2線に置いて攻めるのはどうか?というご質問です。
こういう手はプロがたまに打ちますが、格好良いので、確かに真似したくなるかもしれませんね。
ではどうなるか見ていきましょう。





(変化図1-1)
黒1に置けば、白8までのような進行が想定されます。
直接的に白の眼を取って、厳しい行き方ですが、中央に先行される欠点があります。
欠点はもう1つあり・・・。





(変化図1-2)
それは白の2線の押さえが来て、外側の黒が弱くなるという事です。
一例として白1の三々入りがあり、白Aが渡りを見て先手のため、無条件で生きてしまいます。





(変化図2-1)
黒1の方に置くと、同じような形で、方向が変わります。
この後は、先の図とは逆に・・・。





(変化図2-2)
今度は下方の黒が手薄になります。
白1が狙いの一例で、白Aの連絡を見ているので、黒は対応が悩ましくなります。

このように、2線の置きは自分の石を弱くしてしまう可能性があり、攻め方の基本からは外れます。
プロの碁でも、このような攻め方をするケースは少ないです。
高段者なら試しても良いかな?といった所ですね。

それでは、今回はこんな所で。
他にも面白いご質問がありますので、随時お答えしていきます。