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バンマスの独り言 (igakun-bass)

趣味と実践の音楽以外に日々感じる喜びや怒り、感動を記録するためのブログです。コメント大歓迎です!

ラビリンス~スティング、ダウランドを歌う

2009年01月25日 | 音楽:ポピュラー系
町田ライブからちょうど一週間が過ぎた昨夜、我々のバンドは千駄ヶ谷にある、いつも世話になっているカフェバーで「貸切!打ち上げパーティ」をしたのだった。

この身内だけのささやかなパーティは、今回ゲストを迎えて盛り上がった。そのゲストとは町田ライブの主催幹事の三浦氏である。シェイズのご招待に快くお越しいただいた。
この方には会場の確保・広報・音源収録・ステージ写真撮影・経理・進行と何から何までお世話になった。そのお礼がしたくて、遠方にもかかわらずご招待した。

シェイズのライブの演奏や画像を店内に流しながらあれやこれやと談笑が続いた。
色々な話題が出たが、共演者だった「オーシャンチャイルド」さんの奮闘ぶりとチャーミングさの話では大いに盛り上がった。OCさん、酒の肴にしちゃってごめんなさい!

さて楽しい事はすぐ終わってしまう。5~6時間のパーティは遠方の三浦氏を最初に、家が遠い順に帰宅の準備をした。残りが解散した時は時折小雪が風に乗って流れてくる寒空になっていた。僕は最近開通した「地下鉄副都心線」のおかげで行きも帰りもらくちんだ。しかし今日の天気予報は「晴れ」だったのに昼や夕方、雪が風に流れてきたのには驚いた。 寒いのは苦手なのでパーティで火照った身体も帰宅時にはすっかり冷え切ってしまった。





一夜明けて、ゆっくりとした時を過ごしている。
そして聴いているのはこんな日にまさしくピッタリの音楽だ。

スティングの「ラビリンス Songs From The Labyrinth」
最近のアルバムだが、驚く事にスティングとリュート(ギターにちょっと似た古楽器)奏者とのデュオだ。
その音楽はイギリスのエリザベス朝からジェイムス朝にかけて活躍した作曲家・ジョン・ダウランド(1563-1626)の歌曲が中心となっている。

スティング・・・(ロック・ミュージシャン)・・・にとって四百年前の音楽はけっして遠いものではなかった。彼の身体の中にごく自然に溶け込んでいるヨーロッパ人としての奥深さに羨望の念がわく。
ロック・ミュージシャンのスティングが十六、七世紀に生きたジョン・ダウランドの作品でアルバムを作ったと知った時の驚きはすぐさま、自分の興味と照らし合わせた時、納得へと気持ちが切り替わった。
シェークスピアと同時代に生きたこのイングランドの作曲家は、宗教的な作品ではなく、世俗的な曲を多く残した。当時よくつまびかれたリュート、もしくはリュート伴奏付きの歌を。

僕は残念ながら昨年12月16日、渋谷・文化村オーチャードホールでのこのアルバムでのコンサートを聞き逃した。
8人のコーラスによる前半とスティング+リュート奏者との後半、そしてクリスマス・キャロルとスティング自身のナンバー・・・クラシックお宅のロッカーとして僕はこのコンサートに行けなかったことをとても悔やむ。

つい先日この話をバンドの鍵盤姫に話した。彼女はウチのバンド・マネージャー姫と共に熱心なスティングファンである。
すぐさま鍵盤姫はこの「ラビリンス」のCDを持ってきてくれた。
それを今、熱心に聞いている。
歌詞の奥の奥まで聞き込んでいる。
こういう音楽を音楽学校で声楽を勉強した歌手では聞きたくない。
腹から思いっきり発声した声で聴くのをためらう。世俗的な作品であればこそ、なおさらだ。

ダウランドで最も有名な作品といえば「ラクリメ(流れよ、わが涙)」である。
もともとはリュートの独奏曲であるこの音楽はメランコリーとアルカイック・スマイル(原始的な微笑み・・・か)を強烈に感じる絶望を表現した音楽だが、歌になることでさらに具体的な意味をもつことになった。

リュート音楽は年代が下ってバッハなどの音楽にもかなりの量を聴く事ができるが、さすがにドイツ・バロック期の雰囲気とダウランドの時代のそれとは明らかに差異を感じる。
こういう音楽を聴いていると以前にこのブログで書いた「僕のNY生活4」のあの記事の雰囲気を思い出してしまう。
静寂と沈黙と自然音と陽光に満ちた世界を。そして愛を。

楽しかった打ち上げパーティも終わってまた新たな一週間をむかえる前にこういう音楽を聴くというのはメンタル的にとてもいいし、幸せだ。
数日間どんよりした曇り空の下でふさぎがちだった気分も今日の晴天とこの音楽で元気を取り戻した気分だ。

アルバムの中の1曲「The lowest trees have tops(一番低い木にも梢はある)」がいい。

<一番低い木にも梢があるし、アリにも恨みはある、
<ハエにもいら立ちはあるし、火花にも熱さはある、
<ほっそりとした髪も、かすかではあるが影を投げかけるし、
<ハチも大きくはないが、針をもっている、
<海にも水源はあるし、浅瀬にも泉はある、
<そして乞食にも王様にも恋は恋なのだ。
・・・

ちょっとハスキーな声で柔らかく歌うスティングに絡まる多弦のリュートの古風な響きが嫌な事の多い「現実」からのしばしの逃避をさせてくれる。
この声とリュートの組み合わせを考えたこのアルバムの制作人のすばらしい発想に感謝したいくらいである。

あの時代と現代とはラビリンス(迷路)でつながっている・・・。


(ジャケット写真:クラシックの名門レーベル/グラモフォンから出されたことに注目)

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (まみこ)
2009-01-25 12:40:52
酒の肴にしてくださってありがとうございます(笑)

スティングお好きですか?スティングのソロコンサートには今まで2回行ったことがありますが、去年ポリスの来日を見て、ポリスでのスティングはやはり 1/3なんだな~と思いました。27年待ったバンドなので3万円の席で見ましたよ。

去年はSheila E.(スティックもらって感激涙)、チャカ・カーン、SMAP、The Who、キャロル・キング、ビリー・ジョエル(毎回行くのであまり感動せず)、小田和正、Tony Williams Lifetime Tribute(ベース:ジャック・ブルース、ドラム:シンディ・ブラックマン←私のスティックはこの人のモデル)に行きました。

今まで見たかった人、バンドがまとめてやってきた年。
まだ生きている一番好きなドラマー、スチュワート・コープランド、
一番好きな女性ドラマー、シンディ・ブラックマン、シーラE、
一番好きな女性ボーカリスト、チャカ・カーン

もう二度とこんな年はないだろし、これを越える年もない。
この先、年間チケット代が安心です(笑)
返信する
驚きました! (igakun@発行人)
2009-01-25 12:56:27
>まみこ さま

超すばやい書き込み、ありがとうございます。
一度UPしたあと、校正中に一部の文章にリンクを張り、再UPしたらもう、あなたのコメントが入ってました!

列挙されたミュージシャンの中でもMr.スチュワート・コープランドのドラミングには長年恐れ入っています。
特にシンクロニシティ・コンサートの映像で見る彼のスティック・ワークには惚れ惚れします。
シャープでタイトなドラミングとあの乾いたトーン、大好きなドラマーです。

ワイドレンジでコンサートに通われたご様子。
キャロル・キングなどはいかがでしたか?
ウチの鍵盤姫とはきっとスマップやスティングの話で盛り上がれると思いますよ。

僕はスティングの書く音楽が大好きなんですよ。
返信する
愛しのSTING! (鍵盤姫)
2009-01-26 11:10:51
土曜日はお疲れさまでした!
さっそくCD聴いてくれて嬉しいな。
(買ってすぐ話せばよかったね)
それに、まみこさんがコメント入れてくれて
もしかしたら、すっごく話が合うかも!?
オーシャンチャイルドさんは
うちのメンバーがみんな大好きなので
三浦氏も交えて
ぜひ反省会(呑み会)やりましょ。
で、STINGですが
私も彼の音楽と生きざま(みたいな)のが
大好きです。
昨年の「ポリス」のライブもヨカッタよぉ!
返信する
実は (igakun@発行人)
2009-01-28 06:23:17
>鍵盤姫 さま

オーチャードのライブ情報は事前に知っていたんだけど、CDリリースは先だと勝手に思い込んでいたわけ。
そうしたらもう出てるって姫が教えてくれるから、とるものもとりあえず、ディスクを貸してもらいました。
ありがとう。

まみこさんにはちょっと驚かされたねぇ。
そうとう精力的にいろんなミュージシャンを聞いている。こりゃ、彼女と姫はかなりの部分で話が合うとみた!

彼女らと今後も交流できると楽しいね。
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