先日のエントリーで予告した「題名のない音楽会」のお話の続編だ。
先週放映の同番組での<岡田+平原>はその取り合わせの面白さ・新鮮さがとても良かったが、今回は佐渡が指揮するウインド・オーケストラ<シエナ>によるディープ・パープルのヒット作品の編曲演奏の模様が放送された。
(ちなみにウインド・オーケストラとは吹奏楽のこと)
ディープ・パープルというロックバンドの作品は我々のバンドの主要レパートリーのいくつかをしめる、大切な存在だ。
僕個人としても73年のあの伝説的武道館公演のバックステージでのお手伝いなど思い出深い偉大な存在だ。
このバンドの曲をウインド・オケでやるという企画だったのだが思いのほか面白いシーンがあり、新鮮な視点での挑戦もあり、先週同様とても有意義な時間を過ごせた。
番組では、まず定番の「スモーク・オン・ザ・ウォーター」から始まる。
もちろんパープルの特徴である「リフ」(注:このページを参照)の多用が当時新鮮で多くの青少年がその虜になったものだった。
「リフ」と言うのは小編成のコンボ(=バンド)では文字通り<繰り返し>のパターンが次第に高揚してエネルギーを放出する原動力となるものなのだが、これをオーケストラなどの大編成部隊でやると事情がちょっと違ってくるものなのだ。
まず言えるのは、「リフ」中心の音楽のオケ編曲は聞いていて意外とつまらない、ということ。そして原曲を知っている者には違和感ばかりが残るということだ。
例えば後半にあったメドレーの1曲目「ハイウェイ・スター」。 ペンタトニック中心で作られた歌のメロディーなどは楽器に移すととたんに陳腐なものになってしまう。だから歌の部分以外の間奏部においてのみ、そのかっこよさが編曲によって浮き上がることになる。続く「ブラックナイト」もそう。あまりにパープル的であるゆえに歌メロが貧相に聞こえてしまう。
だが3曲目の「チャイルド・イン・タイム」となるとちょっと事情が変わり、原曲の歌主体の作風がウインド・オケに合ったのか短かったけれども印象的に響いたのが良かった。
話は番組前半の2曲目の「バーン」に戻るが、この曲ではあの相撲解説者&ロック・ヴォーカリストのデーモン閣下がヴォーカルをとった。
この「バーン」は彼の声域を考慮したのか原曲から半音下げたF♯だった。
途中 ♪バ~~~~ン♪と歌い上げる歌詞の部分が3回出てきたが面白いことに1度目はキーであるファ♯の音、2度目はラの音、そして最後ではなんとレへとそれぞれ音を変えていた。そういうふうにして高くして聴く者を無意識のうちに自然に興奮させていく手法をとった。
また、あまりロック的でないノリの悪い叩き方をするこのオケのドラムスがイアン・ペイス(パープルのドラマー)の高速オカズを真似ていたのが面白かった。
一般的にはオーケストラにおけるドラムスの存在というのはさすがに違和感を感じるもので、いかにこの楽器が小編成の音楽に主導的な影響を与えているかを逆に物語っているのだが、ウインド・オケにはティンパニよりも金属的アタック感のあるドラムスのほうがむしろマッチしていると思うのは僕だけだろうか?
この「バーン」、あれだけの高音シャウトができるのなら原曲のGでもよかったろうに、と思われたが、こんな聴き方をするのは多分僕くらいのものだろうから、ぜひこのことをブログに書き留めておきたかった。
さてメドレーの終わりは歌なしの「バーン」。本日2回目の登場だが、歌がないというだけでなく音の印象が違ったのだった。もちろんアレンジャーが変わっていたのもあろうが、演奏されたキーがG(原曲のキー)になっていた。デーモンが歌わなかったからなのかどうか分からないが、ウインド・オケにとっては少々厄介だったのでは?といらぬ心配をしてしまった。
さっきはF♯でやったのに今度はG。半音変わるだけで運指がかなり変わる。とくにフラット系が得意な管楽器群にとっては二つの調を一番組のために練習することは多分、面倒だったに違いない。
「バーン」は僕らのバンドの定番曲だが途中にクラシカルなコード運びが出てくる。ここがパープルの音楽のいわばキモの部分なわけだが、クラシック音楽に愛情を注ぐメンバーがいたおかげでこの部分のような美しい瞬間が訪れるわけだ。これをロックでは「様式美」とも説明される。
番組でもこの部分をバッハの「トッカータ&フーガ、二短調」と関連付けていたが、こういう瞬間のクラシック系奏者の演奏の上手さは別格だ。うまく説明は出来ないが「リフ」の音楽に抵抗があった奏者たちがクラシック的な音進行になった時、本来の自分たちのセンスに戻れたうれしさがチラっと見えてこちらとしては思わずニヤっとしてしまうのだ。
PS 桜もピークを終えた。花散らしの無情な雨が木の根元をピンクの花弁で埋めた。毎年思うが桜の木にはどうしてこんなパワーが潜んでいるのだろう。
先週放映の同番組での<岡田+平原>はその取り合わせの面白さ・新鮮さがとても良かったが、今回は佐渡が指揮するウインド・オーケストラ<シエナ>によるディープ・パープルのヒット作品の編曲演奏の模様が放送された。
(ちなみにウインド・オーケストラとは吹奏楽のこと)
ディープ・パープルというロックバンドの作品は我々のバンドの主要レパートリーのいくつかをしめる、大切な存在だ。
僕個人としても73年のあの伝説的武道館公演のバックステージでのお手伝いなど思い出深い偉大な存在だ。
このバンドの曲をウインド・オケでやるという企画だったのだが思いのほか面白いシーンがあり、新鮮な視点での挑戦もあり、先週同様とても有意義な時間を過ごせた。
番組では、まず定番の「スモーク・オン・ザ・ウォーター」から始まる。
もちろんパープルの特徴である「リフ」(注:このページを参照)の多用が当時新鮮で多くの青少年がその虜になったものだった。
「リフ」と言うのは小編成のコンボ(=バンド)では文字通り<繰り返し>のパターンが次第に高揚してエネルギーを放出する原動力となるものなのだが、これをオーケストラなどの大編成部隊でやると事情がちょっと違ってくるものなのだ。
まず言えるのは、「リフ」中心の音楽のオケ編曲は聞いていて意外とつまらない、ということ。そして原曲を知っている者には違和感ばかりが残るということだ。
例えば後半にあったメドレーの1曲目「ハイウェイ・スター」。 ペンタトニック中心で作られた歌のメロディーなどは楽器に移すととたんに陳腐なものになってしまう。だから歌の部分以外の間奏部においてのみ、そのかっこよさが編曲によって浮き上がることになる。続く「ブラックナイト」もそう。あまりにパープル的であるゆえに歌メロが貧相に聞こえてしまう。
だが3曲目の「チャイルド・イン・タイム」となるとちょっと事情が変わり、原曲の歌主体の作風がウインド・オケに合ったのか短かったけれども印象的に響いたのが良かった。
話は番組前半の2曲目の「バーン」に戻るが、この曲ではあの相撲解説者&ロック・ヴォーカリストのデーモン閣下がヴォーカルをとった。
この「バーン」は彼の声域を考慮したのか原曲から半音下げたF♯だった。
途中 ♪バ~~~~ン♪と歌い上げる歌詞の部分が3回出てきたが面白いことに1度目はキーであるファ♯の音、2度目はラの音、そして最後ではなんとレへとそれぞれ音を変えていた。そういうふうにして高くして聴く者を無意識のうちに自然に興奮させていく手法をとった。
また、あまりロック的でないノリの悪い叩き方をするこのオケのドラムスがイアン・ペイス(パープルのドラマー)の高速オカズを真似ていたのが面白かった。
一般的にはオーケストラにおけるドラムスの存在というのはさすがに違和感を感じるもので、いかにこの楽器が小編成の音楽に主導的な影響を与えているかを逆に物語っているのだが、ウインド・オケにはティンパニよりも金属的アタック感のあるドラムスのほうがむしろマッチしていると思うのは僕だけだろうか?
この「バーン」、あれだけの高音シャウトができるのなら原曲のGでもよかったろうに、と思われたが、こんな聴き方をするのは多分僕くらいのものだろうから、ぜひこのことをブログに書き留めておきたかった。
さてメドレーの終わりは歌なしの「バーン」。本日2回目の登場だが、歌がないというだけでなく音の印象が違ったのだった。もちろんアレンジャーが変わっていたのもあろうが、演奏されたキーがG(原曲のキー)になっていた。デーモンが歌わなかったからなのかどうか分からないが、ウインド・オケにとっては少々厄介だったのでは?といらぬ心配をしてしまった。
さっきはF♯でやったのに今度はG。半音変わるだけで運指がかなり変わる。とくにフラット系が得意な管楽器群にとっては二つの調を一番組のために練習することは多分、面倒だったに違いない。
「バーン」は僕らのバンドの定番曲だが途中にクラシカルなコード運びが出てくる。ここがパープルの音楽のいわばキモの部分なわけだが、クラシック音楽に愛情を注ぐメンバーがいたおかげでこの部分のような美しい瞬間が訪れるわけだ。これをロックでは「様式美」とも説明される。
番組でもこの部分をバッハの「トッカータ&フーガ、二短調」と関連付けていたが、こういう瞬間のクラシック系奏者の演奏の上手さは別格だ。うまく説明は出来ないが「リフ」の音楽に抵抗があった奏者たちがクラシック的な音進行になった時、本来の自分たちのセンスに戻れたうれしさがチラっと見えてこちらとしては思わずニヤっとしてしまうのだ。
PS 桜もピークを終えた。花散らしの無情な雨が木の根元をピンクの花弁で埋めた。毎年思うが桜の木にはどうしてこんなパワーが潜んでいるのだろう。
そろそろ来週あたりは八重桜が満開になるそうですよ
ソメイヨシノが散り始めるこの時期は、なんだかとても寂しい気持ちになります。
でも 枝によってはまだ満開だったりするので、まだ散らないで~と祈りつつお散歩してます。
これから ツツジ、アジサイ、ひまわり、金木犀。。。と巡って行くんですね。
楽しみであり、寂しいような。。
満開の桜の幹はほんのり温かくて気持ちいいですよ!
桜の花びらって散る時も散った直後もピンク色のままっていうのが好きです。だから木の周りがきれいに見えます。
ソメイヨシノは終わるけれど、もっと色の濃い桜が咲いていますね。それらも好きです。
春の陽気がうれしいこの頃です。
満開の木の幹が暖かいなんて・・・気にとめたことがありませんでした。
ねこっちさんは植物をうんと楽しむ人なんですね。素敵な事です。