バンマスの独り言 (igakun-bass)

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喝采、よみがえれ!

2009年01月21日 | 音楽:ポピュラー系
ライブも無事終えて、今週末にバンドのメンバーで行う「打ち上げパーティ」までちょっと静かな日々を過ごす。

ライブの主催者さんが収録してくれた「ライブ音源」(MP3)をCDプレーヤーで聞けるようにデータ形式を変換してCD-Rに焼いた。これを聞きながら反省と新たな意欲に湧いている。
またライブで共演した「オーシャンチャイルド」さんの影響もあって、ビートルズをかなりの量、聴き返している。好きな曲がたくさんあるのだが「Hello Goodbye」はなぜか発表当時からずっと大好きな曲だ。これをオープニングでやった彼女たちに大きな拍手を送った!

さて・・・
そんな音楽を小さい音量で流しながら手に取った本がある。
唐突な話だが歌手「ちあきなおみ」のことを書いた<ちあきなおみ 喝采、蘇る。>だ。
この日本が誇れる実力派の大歌手はその姿を突然消して幾久しい。
以前にもこのブログで取り上げた事があるくらい、僕はこの歌い手を高く評価している。

ちあきなおみという歌い手の15年を越える「沈黙」は、日本の芸能史においても極めて稀な空白である。
国民葬のような形で見送られた美空ひばりとも、白いマイクを置いて敢然と引退した山口百恵とも違い、かの歌姫は別れも告げずに忽然と消えてしまったのだから。
都はるみも森昌子も、やがては「歌うべき場所」に戻ってきたが、今だちあきには復帰の気配すらない。

それは1992年9月11日、夫が肺ガンにより帰らぬ人になった日を境に始まる。
夫の死に際して1枚のコメントをマスコミ各社に送付したきり、ちあきはいっさいの公式の場から、姿、声はもちろん、文字すらも発信することはなくなったのだ。

正式な引退をしたわけではない。だが、文字通り「不世出」となってしまった歌姫は、いつしか人々の記憶からも忘れ去られていく。歌うことをかたくなに拒む歌い手に未練などない・・・時間と人間の記憶とは残酷なものだ。

だが時は移り、世紀の変革を目前にした2000年、夫の死から8年の歳月が経った頃。
人々は20世紀に何か大きな忘れ物に気付いたがごとく、ちあきなおみの歌を求め始めた。
静かだが深い波紋は21世紀になってなお収まることはなく、むしろ過熱の一途をたどっていく。
それはノスタルジーだけではない。
顕著なのは、ちあきの全盛時を知らない若い世代までもが、続々と魅入られていったことだ。歌謡曲・演歌というフィールドにとどまることなく、シャンソンやファド、ニューミュージックやロックまでも取り入れたちあきの歌世界は、宮沢賢治や樋口一葉のような、というと語弊があるかもしれないが、本人不在の後に評価を上げた事象としては同義であろう。

ちあきなおみはなぜ歌わないのだろうか。
最愛という紋切り型の言葉では片付けられない関係にあった夫を亡くした。確かにちあきには重い理由である。だがそれでも、この国で比類のない歌唱力を封印してしまうことは、歌い手のサガや業のようなものを思えば容易には納得できない。
歌わないのか、歌えないのか・・・。

彼女の作品はCD不況の時代にありながら、驚くほどの点数の楽曲が蘇り、中には発売当時を上回る売上を示しているものさえある。NHKでもテレビ東京でも、ちあきなおみを題材にした番組が次々と制作され、圧倒的な反響に支えられて放映回数を伸ばしている。
重ねて言うが、劇的な夭折(ようせつ)でもなく、2度と舞台に立たぬと引退を宣言したのでもない。あくまで「休業中の歌手」が巻き起こしているブームなのだ。

白鳩みえ~メリー児玉~五城ミエ~南条美恵子~ちあきなおみ  と変遷した彼女の芸名。いろいろな苦労の歴史がそこに見て取れる。 (本名は 瀬川三恵子)

「四つのお願い」「X+Y=LOVE」「喝采」「黄昏のビギン」などの大ヒットしたシングルもあるが、それらよりかえってカバー曲のほうに目もくらむようなすばらしい歌唱を聞かせる作品が目白押しなのだ。

ちあきなおみの今が見たい、聞きたい。
今どうしているのだろう。

かかっていたビートルズが終わったので、次はちあきの作品集を聞くことにする。

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2 コメント

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Unknown (YOKO)
2009-01-22 02:17:49
私もバンマスと同じ気持ちですよ。どうして生活してるのか、なんてプライベートな領域まで気になる事があります。ある人から「ようこさん、ちあきなおみが歌っている(朝日のあたる家)やってよ」と言うリクエストがありました。彼女のCDでは「朝日楼」と言う邦題が付いてましたが、重いんですよ・・重い・・彼女独特の表現だから説得力がありますが、何か私だとおちゃらけた雰囲気になってしまいそうで二の足をふんでしまいます。う~~ん。
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う~ん (igakun@発行人)
2009-01-22 08:46:32
>YOKO さま

けっしておちゃらけにはならないと思うんですが(笑)・・・あのメンタル的にヘヴィーな表現をマネ(コピー)するとなると自分を相当なところまで追い詰めていかないとわざとらしくなるかもしれないですね。

なんてったってYOKOさんは<根明(ねあか)>ですからねぇ。

あえて手を出さないのも彼女のトリビュートになるような気がしますね。
コピーはヤボってもんかも。
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