バンマスの独り言 (igakun-bass)

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訃報・ドナルド・ダック・ダン

2012年05月14日 | 音楽:ポピュラー系
アメリカのソウル/R&Bのベーシスト、ドナルド・ダック・ダンが東京で亡くなった!


ソウル/R&B系のベースは聞くのも弾くのも昔から好きで、今でもロックベースに疲れた時によく弾いている。
他にモダン・ジャズベースもよく聞くのだけれど、あの4ビートのラインはコピーをするとかどうとかの世界ではなく、弾き手の感性そのものなのでけっしてマネしようとは思わない。

ジャコ・パストリアスの出現からベースの世界はテクニック至上主義の若手が増えた。彼らを聞けばものすごい指の動きにあっけにとられることも多い。

この前ここで紹介した岡田治郎(現プリズム)のテクニックのものすごさにはいささかショックを受けたけれど、それ以前から脈々と勢力を伸ばしてきたテクニック至上主義の流れを無視することは出来ない。

その出発点は、忘れてはならない1970年代後半の日本のフュージョンの草分けでもあるバンド「スペース・サーカス」の伝説的なベーシスト岡野一(はじめ)の弾く「アリババ」(アルバム:ファンキー・キャラバンより)で全国のベーシストが驚愕した驚異のベーステクニックである。
少しずつテクニック至上主義を押し上げていった原点がこのバンドのアルバムにはあるように思える。

ちなみにシロウトが弾く「アリババ」

それはそれでいいのだけれども、テクニックに走るあまり、音楽の本質である楽しさが変質し、心から楽しくなるようなベース弾きが少なくなってきたように思えてならない。

1970年代はツェッペリンやDパープルなどのブリティッシュ勢やマウンテン、GFRなどのアメリカ勢のハードロックに僕は夢中だったが、それでも折から来日していたソウルの「オーティス・クレイ」などのダンサブルでソウルフルな音楽にも夢中だった。実際にこのジャンルの多くのライブを観に行ったし、映画「ブルース・ブラザーズ」の世界にも魅了された。この映画はコメディであると同時にカーアクションの映画でもあり、大物ミュージシャンの出演する音楽的にも価値の高いミュージカル映画だったのだが、そこで登場する主人公二人(ジョン・ベルーシ&ダン・エイクロイド)とともに演技し、バックで演奏もしていたのが
「Booker T. & the M.G.'s」だった。



そしていつもモジャモジャ頭でパイプをくゆらせていたベーシストがドナルド・ダック・ダンだった。
スタジオ・ミュージシャンのバンドである「Booker T. & the M.G.'s」は知る人ぞ知るソウル/R&B系の立役者である。
軽妙でオシャレなノリのソウル・ミュージックでは多くのボーカリストのバックを長年務めてきた。

その彼らが先週ブルーノート東京に出演していた。詳細はココ(音が出るので注意!)

この公演には何としても行きたかったんだけれど残念ながらカネもヒマもチケットも無くて、悔しい思いをしていたのだ。
きっと昔の暖かな音楽が聞けたろうに・・・。

僕は昔NYで彼らを数回見ていたので大体の雰囲気は知っているが、まさかのまさか!ベースのダック・ダンが最終日の翌日に僕らの東京で突然亡くなってしまうなんて考えてもみなかった。

ショックだ。

今のダック・ダンは歳も取ったし、あのおとぼけベースが聞けたのかどうかはわからない。でも彼は逝ってしまった。
それも異国の地で。

今、彼の参加しているアルバムを聞いている。やっぱり味のあるベースだ。
でも「味のある」ベースってなんだろうね?

一言で言うとその天性のソウル系のリズム感と現代ベースとはちょっと違う「ヘタウマ感」かな?

とにかく「昔の良さ」を地味ながら出し続けた偉大でチャーミングなベーシストを我々は我々の住む東京で失ってしまった。

今朝の朝刊には各紙報道していたようだが、ニュース元は同じらしくよく分からない顛末だ。
事件性は無いと警察は発表したようだが、彼も70歳。長年の疲れが出たのか?
一緒に来ていた盟友、スティーブ・クロッパー(ギタリスト、名曲「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」の作者)もどんなにショックを受けているだろう。

この訃報はとても悲しかった。

近年のダック・ダン




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (テーラー)
2012-05-21 22:55:47
信じられないですね
しかも日本で…
久しぶりだね! (バンマス@発行人)
2012-05-22 14:56:54
>テーラー さま

先週土曜日のNHKFMでダック・ダンの追悼リクエスト集をしていたよ。

知らない曲もあったんだけど、どれもこれもベースに味があって、しかもけっこうテクがかっこよくて、あらためて彼の死を惜しんだ。

テーラーくんもこのての音楽は好きなんだよね?

オレ、ブルース・ブラザース、やりたいな!
Unknown (Unknown)
2021-04-28 20:20:58
4ビートのベースラインは
感性というより完全なロジックなのだと
思っていました。
ありがとうございます。 (バンマス@発行人)
2021-05-02 10:43:35
>Unknown さま
コメントありがとうございます。
ずいぶん以前の記事に反応していただき、驚きましたが、ベースラインに関してはそのあらゆるジャンルのものがすべて感性で作られるべきだと個人的には信じています。

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