準備
インドに旅行に行くのは初めてで,現地に友人もなく非常に不安でした.卒論執筆も目前に迫っていたこともあり,VISA,PASSPORT以外の準備は一切しておらず,前日にアタフタするはめに!!実際の準備に当たってインドの様な国に行くには安全グッズを準備をするべきだと思い,特別に付け加えた旅行グッズは「バイク用の防犯チェーン」,「腹巻タイプウエストポーチ」,「胃腸薬」,「カロリーメート」,「ミネラルウォータ」,「トイレットペーパ」です.結局準備をするのに時間が掛かりすぎ,その日は一睡もすることなく朝に….
文責:曽浩彦
名古屋大学 工学部 機械航空工学科 曽 浩彦
IEEEに所属して間もない私にとって,IEEEがどのような組織であるかはインドに行くまで不鮮明なままでした.しかし,今回の学会ではそんな私にとって非常に有意義な経験と知識,そして数多くの友人を得る機会となりました.インド学生学会の大まかな流れとして初日はIEEEに歴史,目的,組織構成など基本的な情報や,各国で行われている活動(女性支援,教育・育成等)について幅広く紹介していただきました.2日目には世界各国の学生主導で行われている活動報告でした.3日目は全体のまとめという形をとりました.当初「学会」と聞いていたため,研究報告が行われているような学術的な場を想像していた私にとって,今学会は良い意味で期待を裏切った内容になりました.さらにこの学会では非常に多くの事を学ぶことができました.私が今回の学会に参加し学んだことは主に3つあります.
まず,1つ目にIEEEが女性エンジニアの育成の非常に力を入れていたことです.今回は女性支援プログラムの進展や経緯について多くの報告がなされ,さらには多数のスピーカ達が女性エンジニア増加や支援の重要性を説いていました.また,インド,スリランカ,パキスタンでも女性が代表を務めるように,IEEEにおいても女性が重要な役割を担ってきていることは明らかです.近年,日本でも女性の社会進出が増加する一方で,工学研究科の女子学生比率は国際的に比較しても分るように11%程度と非常に小さな値を示しています.また,ご存知のとおり今学会に参加した日本人女性エンジニアの参加はありませんでした.一方で中国,インドの学生の女性エンジニアの参加率は30%を越えています.この事から女性が必ずしも工学系に興味を持たないわけではないことがわかります.すなわち,日本の工学系では女性進出に関しては後進国であることは明らかです.すなわち,IEEEが力を入れている女性支援プログラムも女子学生そのものが少なければ,IEEEの有益性を日本では十分生かしきれていないのではないかと思いました.
次に,2つ目としてIEEEが多様な教育プログラムを持っていることです.小学生が科学に関心を持たせるプログラムを始め,大学生を対象にしたリーダシッププログラムやキャリア形成プログラム等が取り上げられていました.また,日本カウンシルによっても多様なリーダシッププログラム等が開かれており,近年本大学においても独自に「キャリア形成論」といった講義が開講されるなど,研究や専門知識だけでなく,職業能力開発の重要性に対する認識が高まっています.しかしながら,近年の急激な社会環境の変化に追従するために必要とされる職業能力は従来とは異質で新しいものであると同時に現在学生のニーズにまでは十分に行き届いていません.この事は05年度に名古屋大学に一般教養科目として「キャリア形成論」が導入されたことからも分るように,大学側がキャリア形成を重要視し直したのは最近の事であり,尚且つそれが学部や研究科単位ではなく一般教養としての深さまでにしか掘り下げられていない事が明白です.キャリア形成は個人ごとに多種多様であり,学部あるいは研究科が異なれば時によっては必要な知識が全く持って異なってくるのは当然です.すなわち,一般教養科目では十分なキャリア形成を行うことは不可能です.この事からIEEEの行う工学系の学生を対象としたリーダシッププログラムは工学系の学生にとって有益なものであり,より多くの学生が参加すべきであると私は考えます.
また,ISBIRによる産学協同プログラムの紹介も行われました.ISBIRとは企業と大学の連携ではなく企業とIEEEの連携を目的としています.「産学協同」という言葉も以前より広く普及するようにはなってきましたし,実際にも本大学でも企業と共同研究を行う研究室は数多くあります.しかしながら,大学研究成果の民間企業への技術促進するためのTLO (技術移転機関)によるロイヤルティー収入を比較した場合,米国TLOが10億ドルものの金額を生み出す一方で,日本TLOでは5.5億円と成果そのものには米国に大きく差をつけられていることが明らかです.この事は大学における研究が十分に社会に還元されていないと考えることも可能です.すなわち,米国発の非営利目的のISBIRから得られる情報を日本人が共用することは非常に優れた機会であることがわかります.
3つ目に驚かされたことはインド学生達が非常に元気であると言うことです.この事は前回中国で行われた学生学会に参加した名古屋支部の多賀谷氏が報告したレポートでも同様に述べられています.まず,私が着目したいのが彼らの突出した英語能力です.英語が準公用語であるとされてはいますが,現地の住民がほとんど英語を話せないことから,インド人学生の英語力は学習によって身につけられた能力であるということは明白です.一方我々,日本人学生の英語力はインド人学生に面と向かって日本人の英語力の低さを指摘されまでに至りました.さらに,インドの多くの学生支部が200人以上を超える大所帯であることです.日本でその数を超えているのは東京支部と関西支部のみである.ある学生支部では学生による活動回数が一年で100回以上にも登るものもありました.実際,3日に1度である.このようにインド支部に活力がある理由の1とつとして,私が考えるには学部生会員の数にあると思います.正確な数を把握することはできませんが,今回私が知り合ったインド人学生の全員が学部生であったことは確かである.学部生では研究テーマなどをまだ持っておらず専門的な話があまりできないといった短所はあるものの,若いうちから国内のみにとどまらず今回のような国際的にエンジニアのつながりを持つことを持てる機会にあふれているのは非常に良い環境にあると思います.さらにインドの学生生活の詳細は分りませんが日本では学部生の大半は修士と比較すると自由な時間が多く,学部生が多いインドでは,学生支部運営には時間に融通のきく学部生が多く参加していることが,彼らの活動をより活発にしていっているのだと私は考えています.
今回,私が学んだことを要約すると,IEEEに在籍する女子学生の増加,学生のキャリア形成の重要性の認識が有益な情報を活用することにつながり.さらにはより若い,すなわち学部の2,3年生がIEEEに目を向けることにより活発な学生活動を行うことが可能であると考えています.
当学生学会に参加するに当たって多大な協力をしてくださった名古屋支部の片山先生,多賀谷さん,小林さんに心より感謝します.最後となりましたが,現地での様々な助言と協力をして下さった参加者らに心より感謝します.
(左から順に)私,Raphael,大俣さん,神田さん,Hirantha,大野さん
私
名古屋支部 名古屋大学
Raphael
福岡支部 熊本大学
大俣さん
関西支部 立命館大学
神田さん
関西支部 京都大学
Hirantha
関西支部 大阪大学
大野さん
東京支部 明治大学
講師の岡本先生は光ネットワークにおける信号ルーティング,
高速光スイッチのネットワークへの応用,光+IP網などの様々な
研究をなされてきました.
その光ネットワークをテーマに今回ご講演いただけることとなりました.
講演会の日時等は以下のようになっております.
主催: IEICE名古屋大学学生ブランチ
共催: IEEE名古屋大学学生ブランチ
【日時】
2月15(金)14:00~(講演2時間ほど,17:00~懇親会)
【場所】
名古屋大学 電気系会議室(IB電子情報館北5F)
【講師】
慶應義塾大学山中研究室 岡本 聡 准教授
【テーマ】
「“ひかり”によるネットワーク革命」
【概要】
光通信技術の発展により、ブロードバンドやユビキタス世界の礎が
築かれている。光通信によるアクセスネットワークとバックボーン
ネットワークの変革の最近(!最新)の動向を紹介する。
どうぞ皆様お誘い合わせの上,ぜひご参加下さい.
学生ブランチにされていない方のご参加も歓迎いたします.
なお,講演会,懇親会ともに参加は無料です.
準備の都合上,参加人数を把握する必要がありますので,
お手数ですが,小林<kobayasi@katayama.nuee.nagoya-u.ac.jp>
まで出席の旨をご連絡ください.