いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第5話>訓練開始! / ガンダム外伝

2007-05-26 07:57:28 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102

・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
・・・・・

MSデッキにはターチン軍曹が待っていた・・
彼らの課題は、MSの射出時間・・ つまり1機目を射出した後の2機目を射出する
までのインターバルを、いかに短くするか・・と言うことらしい。

カタパルトは簡易カタパルトと呼ばれる小型の物であるが、リニアモータであるため
トルクがあり、高速にMSを射出する事が可能である。
このカタパルトの初速度に艦船の進んでいる速度がプラスされた速度で、MSは射出
されるのだが・・ 後続機が出てくるまでは、MSは単機で行動している。
後続機発進まで時間がかかり距離が開いてしまうと、編隊行動を連携する事が難しく
なる以上に、単機での行動時間が長くなる事が大きなリスクになっている。
パイロットにとっては、死活問題だ。

「軍曹・・ 今、どれぐらいのインターバルで射出可能なんだ?」

「そうですね・・ オートでしたら、人手が不要ですが30秒ほどかかります・・」
「それを手動でやったら・・ 7秒は短縮できるんちゃうかな・・・」

「7秒か・・ なんとか10秒短縮でけへんか?」
「おっと・・ うつったかな ♪」

「へぇ・・ ひょっとしたら隊長さん、サイド1の出身ですか?」

「やっぱわかるか?・・」

「なんや・・ 同郷なんですか!! こりゃええわ! ハッハッハ♪
 せやけど、いくら同郷でも無理な物は無理です!
 7秒短縮でもかなり難しいのに、10秒は・・」

「いや・・ 言いたい事は解る・・ でも、その3秒でも生死を分ける時がある・・
 せめて、ジオンのムサイ型みたいに、カタパルトが2つあったら、楽なんやけど・・」
 努力目標として計画できないやろか?」

ジオンの主流の巡洋艦であるムサイ型のカタパルトは、更にぶら下げ型でもあり
ザクなどMSは常にカタパルトにぶら下がった状態になっている。
そのため、連続射出速度も速く、敵発見後のMS隊展開までの時間が非常に短い。
連邦軍のカタパルト技術はまだまだジオン軍の足元にも及ばないのだろう・・
やはり、設計者が重力下で暮らしているか、宇宙で暮らしているかの大きな違い
だと感じる・・

「うーん 実は問題は本艦のスラスター制御連携なんやけど・・。
 オートでカタパルトを運用すると、カタパルト射出の反動を本艦が受けないように、
 本艦のスラスターから自動的に推進剤を吐き出し、カタパルト反動を相殺する
 システムとが連動しているんやけど・・・
 実はそいつを手動で起動しないといけなくなるんで・・
 そのタイミングは訓練で取得するしか、ないんやけど・・
 オペレータ要員の頭数から、作業の担当を振り分けてるけど・・
 この、連携処理で数秒ロスしてしまうんやな・・・ 悔しいけど・・
 プロセスコンピュータの計算結果から推進剤制御システムに連動できるよう
 システムを修正できれば、時間ロスが無くなるんやけど・・」

「軍曹・・ それは対応可能ということなのか?」

「副艦長のクロヒッツ少佐なら、システムのプロフェッショナルやと聞いてます、
 一度相談するしかないなぁ・・  隊長が相談していただけませんか?」

「その問題が解決すれば、10秒短縮し20秒間隔での射出も可能なんだな?」

「そうですね・・ あとは訓練でオペレータを鍛錬すれば・・」

「では最終目標を20秒間隔としておくが、当面はシステムが改訂されたと仮定し
 訓練を実施する。 また問題が発生したら報告してくれ!
 クロヒッツ副長には、私から話をしておこう・・」


「次に、各種弾薬と推進剤の補充時間だが・・現在は?」

推進剤とはスラスターから吐き出される重金属の微粒子である。
この推進剤をMSは背中の部分に設置されているランドセルのスラスターノズルから
吐き出す事で、真空である宇宙空間で推進力を得る事ができるのだ・・
MSの性能スペックにもある「スラスター総推力 74,000kg」はこの推進剤を排出
できる性能であり、この数値が大きければ大きいほど、最大速度が高い事になる
しかし、逆に推進剤を沢山使用する事「燃費が悪い」も表している・・
量産ジムや有名なガンダムは55,500kgであったが、新型ジムコマンドは74,000kgで
性能が上がっている反面、燃費が悪いので、MAX時での戦闘可能時間が短くなる・・
と言う事でもあるのだ。推進剤が無くなると、単なる標的に化すだけなのだ!
尚、姿勢制御などはバーニアと呼ばれる小さなロケットノズルで制御している。 
こちらは推進剤は使用しない・・


「各種弾薬も推進剤もカートリッジ交換で簡単に実施可能やね。
 ただ、ビーム・ガン(エネルギーCAP)の補充は時間的に無理があるので、
 カーゴにある予備のビーム・ガン4機を使用可能にしといて、持ち変えるのがベスト
 ちゃうかな・・
 せやけど・・実は予備は4丁しかありません・・ 持って帰ってくださいね!
 あと、カーゴにある手持ちの武器は・・ 試作のバズーカが2丁と
 ジム用のビームスプレーガンが4丁です・・
 まぁ後日補充する・・とか言ってたけど・・ いつになるんかな・・」

「そうか・・ ビーム・ガンを捨てて来た場合、チーム編成にも支障が出るな・・
 そこは臨機応変に行くしかない・・ ガンを守って自分が死んだら意味無いからな!
 まぁ・・なにか宇宙で見つけたら拾ってくるか?」

「そうやね・・まぁ、あってもザクのマシンガンやけど・・ 
 無いよりまし・・って感じやね!」
 
「後の課題は?」

「そうそう・・ 各部位の整備班による検査時間がネックになると思います・
 通常整備ではない、再出検査工程の見直しが要るのとちゃうかな・・。
 検査が不要やったら、5分で再出可能ですわ。」

「なるほど・・ でも・・5分は長くないか?・・
 なんとか、3分以内で再出可能になるよう、鍛錬して欲しい!」

「3分以内かぁ・・ うーん、 各種弾薬の補充だけならいけるかもしれへんなぁ・・」

「いや・・それでは駄目だ!・・ 推進剤が切れてしまったら、帰艦できなくなる・・
 ただでさえ、この新型はスラスター出力が大きい、カートリッジの容量は
 基本的には変わらんのだろう?」

「そうやね・・ RGM79(ジム)と同じ容量やと聞いてます。」

「やはり、推進剤の交換も含めた努力目標をして3分以内で再発できるよう、考えて
 訓練して欲しい・・」

「了解です・・ ただ確約はできませんよ、でも最善は尽くしましょう!」

「頼んだぞ! その暁には、ビールでも奢らせてくれ!♪
 再出検査の是非については、私から整備班のサミー曹長と話をしてみよう・・
 同様に問題がでたら、随時報告してくれ!
 では、本日の訓練は、カタパルト緊急射出(スクランブル)と、着艦&射出
 (タッチアンドゴー)とする。各々の完了基準を設定しておいてくれ!」

「了解でさぁ!」

・・・

時計を見た・・ 訓練開始まであと30分程だ・・ 
私はMSデッキで直立している私の乗機に近づき、各部の自己点検を開始した。
メカニック任せは、パイロット失格だ! 周りのチームのジムに目をやる、

「みんな、やってるな・・」

ヒロ中尉はもちろん、リン少尉、ミィ少尉、そしてユカ少尉までが・・
ちゃんと、自分の愛機の自己点検を実施している。個々の担当メカニックとも
連携できているようだ。ちょっと私語が多いようだが、まぁ良いか・・
我小隊の文化でもある。文化は守らないと・・ (本当か?)

自己点検を終了し、愛機を見上げた・・
ん・・ ほう・・上手いじゃないか! 我々のジムコマンドGSの肩の部分に
美味しそうな「かじったいちご」の部隊マークが記載されていた・・
サミー曹長には酒を奢ってやらねばならないな・・

「サミー曹長はいるか?」

「今、214で最終点検中です・・」

「おう! ありがとう!」

私は一番奥に位置する214号機のハンガーに流れていった・・
そこには、サミー曹長とミィ、ユカの両少尉が最終点検を行っている・・

「曹長! タッチアンドゴーの訓練をしたいのだが・・・
 いま、MSデッキOP長のターチン軍曹と話をしてきた・・
 3分以内で、簡易整備など可能だろうか?」

「大尉・・ 無茶は言わないで下さい・・ 3分なんて何も出来ないのと
 一緒です! 我々からすると、整備不良でパイロットに迷惑は掛けたく
 ありませんから・・ 簡易整備でも30分はかかっちゃいますよ・・」

「そうか・・ だったら、整備は無しで再度飛ぶしか無いなぁ・・
 他の艦ではどのような運用になっているのか?」

「戦闘時のMSへの補給は、まだ余り実例がありません・・
 大尉が良くご存知の戦闘機運用と同じではないでしょうか?」

「やっぱりそうか・・ ただな・・MSって奴は戦闘機と違って、かなりデリケート
 なんでな・・ 少しでも整備面でできる事がないか?考えているのだが・・」

「だったら・・ 戦闘時の挙動LOGをMSからダウンロードし、解析しましょうか?
 異常値があれば、それをパイロットに知らせます。それなら3分で可能かも・・
 でも、異常値が何処で出ているか・・の事実だけしか伝えられません。
 その判断は個々でお願いしますね・・」

「なるほどな・・ ただ、パイロットだけに知らせるのではなく、私とここにいる
 ユカ少尉にも伝えてほしい! 少尉はMSオペレータだ、MSにも乗る事が
 あると思うが・・」

「了解です!」

「あとは何が出来るか?」

「要員を配置すれば、目視チェックぐらいは出来そうですが・・
 MSデッキオペレータチームの邪魔になるといけませんね・・
 ターチン軍曹と相談します。 ただ、今日の訓練には間に合いません・・
 今日の訓練を整備班に見学させ、今後の運用を作成します。」

「OKだ! 宜しく頼む・・
 そうだ・・ かじったいちご・・中々良いぞ♪
 こんど、楽しいところに連れてってあげよう! セーラー服だぞ♪」

「♪! 大尉! お供させていただきます ♪」

「あっ! リン少尉に連絡しなくっちゃ!」

「おいこら、ミィ少尉! これは大人同士の会話だ! 軍機であるぞ!」

「リン少尉ぃ~ 隊長さんがねぇ・・」


「ミィ? なぁに?」・・

しまった リン少尉のハンガーは隣だ・・ リン少尉がこちらに流れてきた・・

「バ・・ バカ! リン少尉が来るじゃないか! たこ焼き奢るから内緒な?」

「え~っ・・ たこ焼きですかぁ? まるで子ども扱い!!
 ユカもそう思うでしょ?」

「じゃぁ・・ たこ焼き以外なら、何が良いのだ?」

「え~とぉ・・  セーラー服♪!」

「なにぃ?・・ あれは・・ 大人の・・ 」

「大尉・・ 私は少尉たちとご一緒しても良いですよ!
 ねっ♪ 一緒に行きましょう♪ セーラー服!」

と、サミー曹長までニヤニヤしている・・ ここは仕方が無い・・

「良し、解った、セーラー服は最重要機密であるぞ! 良いな!」

「了解であります! 隊長!!♪」  (ふぅ・・なんとか治めたぞ!) 


「何が了解なの?」とリン少尉がやってきた・・

「おう!、タッチアンドゴーの訓練について話をしていたんだ・・
 サミー曹長の意見も聞いたので、訓練計画を説明する・・
 ヒロ中尉も呼んでくれ・・」

(お願いだから・・ミィ少尉・・ ニヤニヤしないでくれ・・)

・・・

「みんな、集まったな・・」
「艦長からの命令だ!我々の訓練を実施するにあたり、MSデッキオペレータの
 訓練も同時に実施する。
 申し訳ないが、全員自分の部屋や食堂等で待機の事・・ それから・・
 既に着用しているノーマルスーツだが・・ スクランブル訓練も兼ねて実施する
 これも悪いが脱いで待機しておいてくれ・・」

「そうなると、思ってました・・ 仕方ないっすね 了解です!」

「隊長・・ちょっと良いでしょうか・・」

「なんだ?ユカ少尉?」

「スクランブルで気が付いたのですが・・
 今後、スクランブル体制を組んでいた方が良いのではないでしょうか?
 隊長を除き、私を含めた4人で2名体制のローテーションを組んでおくと
 個々のスケジュールが組みやすくなると思うのですが・・」

「そうだな・・ 良いプランだな・・
 ただ、4人で回すと、きついぞ・・ また索敵ミッションではないので
 確実に戦闘になる・・ ミィとユカのコンビは、まだ承認できない。
 だから、私もローテーションに半分入れてローテーションを考えてくれ」

「了解しました! 計画書を作成しておきます!」


「それから・・ タッチアンドゴーも・・行う予定だ・・
 着艦時の進入速度の調整は十分に注意すること、 
 着艦の失敗は一歩間違えると艦をお釈迦にする可能性もある 絶対にあせるなよ・・・
 着艦後、推進剤と弾薬のカートリッジ交換を行うが、ハンガーまでの移動は不要だ、
 カタパルト横のブースで作業を受けてくれ、完了後に再発進する。
 ビーム・ガンの交換を忘れるなよ!
 タイムは計測するが、くれぐれもあせるなよ・・」

「ひぃぇ~ぇ・・ 何分っすか?」

「目標3分だ!」

「ふぅ! ション便行く暇も無いって事っすね!」

「まあな・・
 では! MSの最終点検が済んだら 訓練開始まで、解散!」

「了解!」


私は居住区に向けて軽く床をけった、その後ろからリン少尉が話し掛けてきた・・

「でも・・ 隊長ぉ・・ ミィやユカは既に新型に乗ってるのですが、私達3人は
 まだこの子たちに乗ってません・・ いきなりスクランブルですか?
 中尉は気にされていないようですが・・ 」

「リン少尉の言い分も解る・・ しかしな・・ 会っていきなり、ベットに行く事も
 あるだろ♪ 」

「またぁ・・そういう例えばかりしていると、新人の2人にも嫌われちゃいますよ!」

「にも? も・・って・・ 一体?」

「有名ですからねぇ~♪」

「誰が広めたんだ?」

「そんなの、決まってるじゃないですか? ね? 中尉!」

「えっ? 何? 何? 俺の事? 誰かが、かっこ良いな!って言ってるのかな?」

「ほんと、ヒロ中尉はなんでもプラス思考なんだから・・」

「そうだな・・ そのプラス思考で助かる事も多い・・見習う事だ・・」

「ハイ♪ たいちょ!」

訓練のためとはいえ、一旦日常の生活に戻るなど無駄な行動ともとれるが、
こういう積み重ねの擬似経験が、いざという時に役に立つ事を経験則で知っている。
ちょっと、学生時代に経験した、避難訓練や消防訓練を思い出した。
あの頃は、「こんな無駄なことを!馬鹿らしい!」ってサボっていたっけ・・
もう、随分も前のように感じる・・ 

さて、艦長に報告しておこうか・・と、私は部屋に入り、ポケットから
飲料水ボトルを取り出し封を切った・・

・・・

「艦長・・ ワサビィです!・・」

「・・・ 艦長です。 大尉・・ なんですか?・・」

「定刻通り訓練開始いたします。艦内放送をトリガーに
 スクランブル訓練とします。 艦内放送をお願いいたします。
 で・・ カタパルトを手動で起動しますので、艦に発射時の反動が
 発生します。ご了承ください・・」

「・・・ そうなの・・ 解ったわ・・・ でも、毎回そうなるの?・・」

「いえ・・ まだクロヒッツ少佐とは相談していませんが、
 制御プログラムにインターフェースを組込めば、解消できるかと
 考えています・・」

「・・・ 解ったわ・・ 私からも副長に伝えておくわね・・
     訓練が終了したら、相談してください!」

「イエス!マム! ありがとうございます! では!・・・」

飲料水の水玉を空中に浮かべ・・ カメレオンのように食いついた・・

「<第6話>MS戦闘論」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c95957df215b12e4eb73b298b0bc0f5に続く・・・
・・・・・

(2007/05/26 07:57)