いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第4話>ESFSグリフィン 発進! / ガンダム外伝

2007-05-18 12:31:11 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
・・・・・


「各部ハッチLOOK確認よぉ~し!」

「気密隔壁確認よろし?」

「気密隔壁よぉ~し!」

「・・・ リボーコロニー管制部、グリフィン艦長マメハです。
 滞在させていただきありがとうございました。
 発艦準備完了しています。
 発進プロセスに移行ください」

「・・・ ラジャ! ESFSグリフィン、発進プロセスに移行します。」
         (EFSF:Earth Federation Space Force、地球連邦宇宙軍の意味)

艦の前の視界をふさいでいた、グレーのゲートが開きだした・・
その先は、漆黒の宇宙・・ 全くの闇の世界であり、発艦時にはいつも奈落の底に
落とされるような・・そんな感覚を感じる。
ここを出たら、足元一枚下は地獄なのだ・・

「総員発艦体制をとれ!!」

作業中の要員も全て、何かにつかまるか、椅子に座ってベルトをし、発進時の発生Gの
アクシデントを回避する。

「係留索はなせぇ~」

「係留索解除よぉ~し!」

「発艦準備よぉーし!!」

「グリフィン発艦!」

「・・・ こちら管制部 航海に幸あらん事を!・・ 発進します!」

ズン!という低い響きがしたと思った瞬間、強めのGを背中に感じる・・
カタパルトで、巨体の艦を押し出したのだ・・
艦はゆっくりした速度でゲートをくぐり、宇宙に飛び出していく・・
完全にゲートを通過し、艦全体が完全に宇宙空間に浮かんだ状態になった・・
艦は、カタパルトの慣性力だけでコロニーから離れ、コロニーの行政範囲を示す
浮き標識横を通過した・・

「本艦はこれより月都市、フォンブラウン方面に進路を取る。
 総員発艦体制を維持せよ!
 上角23、取り舵14、全速前進!第3戦速までぇ~」

「イエス! アイマム!」

艦は進路を変え、加速していった・・・ 視界に月が入ってきた・・
となると、2時方向に地球が見えるはずだが・・
まだ見えないか・・ 艦の傾きがまだ宇宙海図上の平面と平行になってない
のだろう・・

  宇宙は3次元であるが、便宜上平面(二次元)と考えてよい。
  簡単に考えると、地球と月と各ラグランジュポイント(L1からL5までの5箇所)
  などの「地球-月世界」の各資源は、平面の相対座標で全て描けてしまう事が
  理解できる。
  航行はその面(宇宙図)から、浮かぶ(高度)、沈む、という概念である。

私は真っ暗な世界にポツンと浮かぶ地球を見るのが好きだ・・
きれいなブルー・・ 神秘な星 それが地球・・
しかし、そこに住む人間は、宇宙の事を解っちゃいない・・
我々スペースノイドは宇宙からいつも地球を見ている・・
だから、地球からも宇宙を見て欲しい・・  そんな事をいつも考えてしまう・・

「さてと・・ 訓練開始と行きますか!
 艦長! 慣性航行に入ったらお知らせください!
 モビルスーツデッキに行っています!」

「大尉、モビルスーツ隊の熟練たのみますね・・
 ルナ2から乗り込んだ2人とも・・筋は良いと思いますよ
 あと・・ MS隊の訓練と同時にMSデッキクルーの訓練も実施したいのだけど
 いかがかしら?」

「そりゃ、ありがたい・・ ちょっとその辺も訓練の中に入れてみます
 で・・ 艦長どの? いちごは好きでありますか?」

「えっ・・いちご?・・ いちごは好きよ♪ 甘くって水々しくって♪」

「光栄です♪ 我々のMS隊ですが「ベリー小隊」と名付けました。」

「まぁ! 素敵なお名前ね・・ そういえば訓練計画に「ベリーワン」って書かれて
 いたのは、そういう意味なのね♪」

「じゃぁ、今度、美味しいいちごを入手しましたら、ご一緒に!いかがですか?」

「ふふふ・・ 喜んで♪ 美味しい物を入手してくださいね。
 では・・ モビルスーツデッキのオペレーションリーダーを紹介するわ」

「艦内連絡、MSデッキ、オペレーションリーダーのターチン軍曹、モニターまで」

「・・・ 艦長! ターチンです! 何か?」

「今から、そちらにMS隊ベリー小隊のワサビィ隊長が行かれます
 MSの訓練にあわせ、MSデッキのオペレーション訓練も同時に実施します。
 打合せを行い、本日の訓練を実施してください・・」

「・・・ イエス、マム! 
ワサビィ隊長!MSデッキオペのターチン軍曹であります!」

モニターには、がっちりとした男が映っていた・・
実戦上がりだろう・・顔には自信と頼もしさを感じる。

「軍曹・・ ワサビィだ・・ これからは色々とお世話になる。
 今からそちらに行くので、ちょっと時間を作ってほしい・・」

「・・・ 了解です! 隊長どの! お待ちしております・・」


「では、艦長! いちごが入手できましたら、ご連絡いたします♪ では!」

「ええ・・ お誘い待っているわね♪」

私は軽く床を蹴って、コントロールデッキのエレベータに流れていった・・
エレベータに向かう最中に、マスミン特務と目が合った・・ 厳しい顔をしている・・
そういえば、今回の出撃の目的に、サイド6を襲撃したジオン艦の追跡任務が
あったが・・・・  
先ほど艦長の放送では月の表にある月面都市フォンブラウン方面と言っていた・・
・・ ちぃっ! 逆か!・・ 
月の表の中立都市フォンブラウンではなく、月の裏にあるジオンの拠点、
グラナダ方面が正しい進路って事か・・ こりゃ参謀殿(特務大尉)も大変だ・・

「これはこれは・・ マスミン特務・・ ご機嫌はいかがですかな?」

「ワサビィか? なんだ?」

「いえいえ、難しそうなお顔をされていましたので・・ 美人が台無しかと?」

「何を言っている・・ 貴様の狙いは・・ 私では無いだろう♪」

うっ・・ 艦長とのやり取りを、すっかり聞かれていたようだ・・

「私には、美味しいいちごは回ってこないもんなぁ・・」

「・・・(まずい・・)
 いや・・ その・・ あっ!そうだ! 例のジオン艦船・・ 行き先はやはり・・」

「みなまで言うな!」

「やはり、表ではなく、裏ですな?・・ こりゃ・・大変だ・・ 」

「さすがだな、やはり単なるスケベ親父だけではないな・・
 今回の任務はきつくなると思う、今はまだ何も言えないが、重大な任務になる・・」

「なるほど、ではまた訓練の後にでも、2人でゆっくりと・・」

「ふん! その気も無いくせに♪・・」

「そうそうその顔!・・ 特務には、その笑顔がお似合いですぜ! ではまた!」

ちょうど、エレベータが到着し、ドアが開く。私は体をエレベーター内に流した・・
グラナダかぁ・・ ジオンのキシリア・ザビ直轄の部隊ではないか・・
MS戦闘だけを考えていては駄目だって事か・・
敵の主力艦隊とは戦闘する気は無いだろうが、見つかったら到底この艦では
逃げ切る事等出来そうもない・・いくら戦闘艦に改装はしていても、
造船時のコンセプトが巡洋艦のような戦闘艦ではなく、配給輸送艦としての
基本設計であることでは構造上の問題点も出るだろう。

コロンブス級は中央に船の主要機能部分があり、左右に抱きかかえるように
大形のカーゴスペースを2つ持っている。その左側のカーゴスペースを
MSデッキに改造したのが本艦だ、右側のカーゴスペースは隔壁の内壁二重化
改装は実施されているが、単なるカーゴスペースであり、ジムコマンドGSの
修理用パーツ等が積まれている・・との事だ。カタパルトもなくMSデッキ
としては使用できない。というか、左舷MSデッキから右舷カーゴスペースには
人間が行き来する通路こそあるが、MSでの移動を行えるような大きな通路は
作られていない。

話は戻って構造上の問題点だが・・
例えば、現在乗っているエレベータの構造にもリスクがある・・
MSデッキとコントロールデッキは、エレベータで直結している、
これは移動に便利だが・・ 逆にMSデッキでの事故などが、
コントロールデッキにも影響を出す可能性があり、構造上の弱点になると感じる・・
エレベーターは縦穴で空洞なのである。
元々の構造では左右のカーゴスペースとコントロールデッキは直結してはいなかった。
左舷のカーゴスペースをMSデッキに改造したため、運用上の配慮からエレベータを
後から設置した事が、艦の中心部に縦穴を作ってしまった原因になっているのだ。
探せば他にも色々と出てくるだろう・・

ちなみに、MSデッキの高さは25メートルほどあり、ジムコマンドが直立できる。
そのデッキ対し、艦の中央部との接続部分が2階、3階とベランダのように突出
している形になっている、2階や3階にはそのまま、MSデッキの空中を移動する
のが通常だ・・
艦の中央部の4階にコントロールデッキがあり、3階には移住区、2階には
トレーニングルームや食堂などがある。1階には、飲料水タンクや倉庫、そして
推進剤タンク等が配置されており、カーゴスペースの高さの真中あたりの高さが
艦の中央部の1F部分に位置する。艦の中央部にぶら下げられた中距離ビーム砲の
制御コントロールも艦の1Fに作られており、エレベータはここまでだ。

尚、カーゴスペースには大形クレーンが設置されているが、MSデッキは撤去され、
そのかわりに簡易リフトが設置されているが・・ 宇宙空間では使用することは
ないだろう・・機関部分は艦後部に配置されている。
あとは・・ そうだ・・中からは見えないが左右のカーゴユニットの各上部に
ミサイル発射管が見えた・・ 艦の中央部には設置できず、やむなくカーゴユニット
上部にレイアウトされたと考える・・ 急所になるかもしれない・・
構造を調べておく必要がありそうだ・・

母艦は絶対に守らないといけない! それが地上の陸戦隊とは異なる、宇宙隊の
MS乗りとしての尊守すべき行動指針となっている。
その理由として、<宇宙には空気が無い・・母艦をやられる事は、自分達の帰る場所が
無くなる事を意味する。>と教えられた・・ しかし、理由はそれだけではない。

このような、小さな艦であっても、MS1個小隊を運用するための要員、
また艦を運用する要員を合わせると、100人以上の要員が配置されている。
つまり、それだけ沢山の影の支えがあってこそ、我々MSパイロットは
宇宙を駆ける事ができるのだ。MSパイロットは特別扱いされているが、実際は
偉くも何ともないのであるが。
この総員100余名の命を守る事ができるのは、我々MS隊だけだというのも
事実なのである。
100人以上乗艦している・・ 知らない奴もまだまだいるだろう・・

「徐々に顔を売って行くしかないな、 懇親会なんかを企画しようか♪」

などと口からは軽い言葉が漏れるのだが・・ 頭の中ではグルグルと思考がうずを巻く

やはり、この艦は狙われると脆いな・・
構造を考えたらサミー曹長の言うとおりだろう・・
艦の下部からの攻撃への防御訓練が必要だな。

MSは4機しかない・・ 運用方法が大きな課題だ・・
我軍のMS、ジムが実戦配備されてから、およそ一ヶ月・・
最初はジオンの連中も面食らっていたが、
最近はジオン軍の対MS戦技術が上がって来ていると感じる・・
やはり、脅威は、奴らがスペースノイドだって事か・・
宇宙での戦い方は彼らの方が一枚上手だ!
若い少尉たちが、太刀打ちするには、「1to2」を基本に戦うしかないが・・
大丈夫だろうか?・・

とエレベータが下降する間に、色々頭の中思考が交錯し、不安も見え隠れする・・

「ふぅ・・ 喉が渇いたな・・」

エレベータを2階で止め、食堂に体を流した・・
丁度、艦は慣性航行に移行したらしく、艦長からの艦内放送が流れた

「・・・ 艦長です。 発艦体制解除! 本艦は19マルマル時より、MS訓練に入る
     担当関係者は訓練プログラムに移行せよ! 以上!・・・」

食堂の給水機から、パックの飲料水ボトルを2つ取り出した。1つをポケットに
押し込み、1つの封を切った・・ ちょっと押し出し、空中に水の球を作る・・
それを指で掴んで口に運ぶ・・ へんな癖だが・・ストローで飲むのはどうも
好かん!

そのとき、誰かがTVのスイッチを入れた・・ まだサイド6の放送が届く空域だ
ん? 珍しいなぁ・・ 連邦軍のプロパガンダ放送じゃないか?
中立のサイド6だが・・やはり今回のジオンの強襲には腹が立っているのだろう・・
そこに、政治の力が働いているかもしれないが、我々にとっては有利に働く・・

ほう・・ 連邦軍もやるなぁ・・ 新型MSジムの部隊のニュースか・・
ありゃ、RGM-79を陸戦仕様に改造している奴だな・・ 陸軍で試作先行量産したタイプ
ではない・・ ん? 何? 聞き取りにくい・・  (もう年か?)

「オイ! TVのボリュームを大きくしてくれ!」

と、TVを付けて何人かで見ていたウェーブ(女性兵士の意)達の1人がこちらを見た

「あっ! 隊長! この隊、私の先輩がいるんです!」と・・ ユカ少尉だ・・

「そうか・・聞き取りにくかったのだが・・ ホワイトディンゴと言わなかったか?」

「ハイ!そうです隊長! ジオン勢力配下だったアリス・スプリングの街を
 無血で開城なんですって・・ジム3機の1個小隊が、ジオンから開放したんです!」

「それは、すごいな・・ 無血とは・・ 一体、レイヤー中尉はどのような手品を
 使ったんだ・・」

「ええっ?・・ 隊長はホワイトディンゴ隊の隊長をご存知なんですか?」

「ああ・・ ジャブローでMS変換訓練で一緒だった・・
 奴も私と同じで戦闘機乗りからの配置転換組で、MS戦術論は一流だったぞ、
 よくジャブローの酒場で議論したもんだ・・ 
 鬼教官だったバックス・バック中尉から、彼の配属先などは教えてくれてたが・・
 無血とはな・・ さすがだ・・ 
 この放送も、無血というイメージが、中立であるサイド6のお目に止まった訳だな・・
 そういえば・・ 少尉が知っている奴がいるって言ったな?」

「はい・・ 実は私・・ 軍楽隊からの配置転換なんです♪・・
 その軍楽隊に、同じようにMS適性を受けて配置転換した先輩がいて・・
 マクシミリアン・バーガー少尉で・・ 性格的にはヒロ中尉みたいな ♪ 」

「なるほどな・・ そういう奴がレイヤーの部下にいるのか・・ 
 少尉の先輩は、良い隊長の下についたな!  良いことだ・・」

「はい! で・・ ユカはぁ? 良い隊長の下に付いたのですか?」

「それはこれからの心掛けしだいってことかな・・」
 まぁ・・ 変なところで繋がりがあったな ♪ 今度、飯でも食おうか♪」
「と・・ 言っている間に、訓練の時間になるぞ、TVもそこそこにして、
 訓練の準備に入りたまえ・・」

「は~い! たいちょう♪ ベリーベース、職務に戻りまぁ~すっ!!」

TVには2機のジムが映し出されていた・・ 薄いグレー1色というカラーリングは
特殊部隊編成である事が推測される・・ しかし・・肩の「白い狼」の部隊マーク、
ホワイトディンゴか・・ カッコ良いではないか!
しかし、カッコ良さでは、私の「かじったいちご」にはとうてい勝てないが・・
(本当か? 絵はまだ見てないが・・)

というか、同じような戦術論を持論として議論していた奴が、成果を上げているという
事が、すごく嬉しかった。それは私の考えに間違いが無い!という確証にも変わるのだ、
心の中に芽生えていた、小さな不安をホワイトディンゴが打ち消してくれた! 

私はMSデッキに流れていった・・ 飲料水の玉をつまみながら・・・

「良し! 問題は無い! 行けるぞ!」

「<第5話>訓練開始!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/69b4168945e2ac0387709862e531bf2dに続く・・・
・・・・・

(2007/05/18 12:31)