天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

オコゼ鯨

2021-03-15 16:52:01 | 日記

 リチウムとトリチウムは日本人にとってほとんど同じに聞こえるけれど、実は物質的にも用途的にも大きな懸隔がある。リチウムは電気自動車の燃料であるリチウム電池として表の脚光を浴びている一方、トリチウムは福島原発爆発炎上事故後に抱え切れないほど溜まった放射性物質の海洋放出問題として裏の注目を浴びている。似て非なるものと言えるけれど、トリチウムが三重水素、別表記では「水素3」と呼ばれるのに対し、リチウムは原子番号が3の元素であり、ともに「3」が共通因子となっている。繋がりは「3」だけでなく、お里を探ると、トリチウムは原爆の材料であり、核融合炉の燃料でもあるのに対し、リチウムは電池用途よりも前に水爆製造に用いられており、縁戚関係がかなり深いのである。というか、リチウムの仲間に中性子を照射するとトリチウムが生産されるという親子関係にもなる。さらには、リチウムは電池材料として既に有名であるけれど、トリチウムも蛍光物質に当てると発光するトリチウムライトを、さらに太陽電池素子に照射すると電気が起きる原子力電池になり、電池材料の仲間でもあったのである。
 リチウムはテスラ電気自動車の登場と2030年代までの世界自動車メーカーの追随により、需給の更なるタイト化が見込まれている。情報産業面でGAFAがけん引した米国の世界支配も中国にひたひたと追い上げられているのに続き、電気自動車で出遅れると二級国家に転落しかねないと、米国は危機感を持ってリチウムの開発と自給体制の構築に力を入れているそうである。一方、日本はハイブリッド車優勢の余韻に浸りながら電気自動車に舵を切りつつあるけれど、目先は東京五輪の無事開催以外に余念がない。このためリチウムより、トリチウムが当面の関心の的となっている。しかし、東京五輪閉幕まで国際世論を刺激しないよう、米国主導の中国包囲網に賛同しつつ、リチウムやトリチウムのことはおくびにも出さない方針である。そして、五輪・パラリンピックが終わった途端に、福島原発施設に貯蔵されたトリチウム処理水が大量に海洋放出されるらしい。物理やDNAの原理は分からないけれど、リチウムなんか自然界になんぼでもある物なので全く心配ない、と専門家に説明されると、たぶん他人事なので、まあいいか、となってしましやすい。ところが専門家という人種が、原発爆発炎上の真っ盛りには何の役にも立たず、10年経っても首を捻っているみたいだし、新型コロナウイルス肺炎を前に3密を避け、手洗いうがいマスク着用を励行しましょう程度のことしか言えないのだから、ド素人とそんなに変わらない。それで飯を食っているので、尋ねられると何か答えなくては格好がつかないからであり、物をしっかり把握して言っているとはとても思えない。全く心配ないなら、なぜトリチウムに各国で規制基準が設けられているのか、不安になる。
 その不安を推し進めていくと、海洋放出後の魚類の生態に及ぶ。クジラがオコゼのような形にならないだろうか。クジラはオーストラリアが煩いので食べるのは我慢しても、マグロやサバが数年後にアンコウのような顔にならないだろうか。或いはそのように突然変異しても、意外にも以前より美味だったり、滋養が増してエネルギー源として向上しているかもしれないので、軽々に不安がる必要はないかもしれない。でもそれは安全面を強調した専門家がまず毒見して、安全性を保証する確約をしてほしい。

りちうむと
とりちうむとは
異にして
海に流せば
ちりとてちん味