霜月満月

　日本の片田舎の爺として米国政治や大統領に関心を持ったのはオバマ前大統領が来日し、広島原爆ドームに訪れた時くらいだったのが、トランプ大統領に代わってぐっと親かしみが出てきた。米国の謀略戦の先鋒のようなツイッターを利用し始め、トランプ・フォロアーになった。それがコロナ肺炎蔓延防止にしっかり取り組まなかったため大統領選に敗北し、ホワイトハウスを去ると、ツイッターも無味乾燥となり、淋しくなると諦めていた。バイデン老大統領ではツイートもせず、記者の呼び掛けに応えもせず、菅化して、米国への関心が無くなると思っていた。ところが、広報部長を始め、ホワイトハウス広報担当スタッフ７人にすべて女性を起用するというではないか。暫くはウオッチしてみるつもりである。ただ、トランプスタッフの誰にも興味が湧かなかったし、菅官邸の女性広報スタッフのように、気に食わない報道に厳つい目を光らせるだけの人材だったら、聞く耳も見る目も持たなくなるだろう。
　疑いの眼差しで散歩に出ると、目に飛び込んできたのはひと際大きい満月だった。霜月満月と言っても別に恥ずかしいものを覗いたわけでない。まだ上に昇りきらない満月を撮影しただけである。しばし心を洗われる光景だった。思えば今年は目に見えない敵に脅え、右往左往しただけの日々であっただけに尚更の感がする。あすから師走。時間が止まって何の予定も忙しさもないけれど、敵だけは、乾燥と寒さの咳に交じって、忙しく動き回るのだろうなあ。恒例の親子孫の正月の集まりも無くさざるを得ない。かと言って温泉は、露天も風俗もどちらも行ける状況ではない。独酌ときつねうどんで年末年始を過ごすしかなさそうである。どうりで今晩の満月は、コロナの影にでも覆われたのか、半影月食であった。

霜月の
望月ひやり
影の差す
明くれば師走
ころなも翔けむ

運動日

曇りの中に青空が覗くひやっと涼しい秋晴れは運動に最適の日。我らが強さに憧れた日々、屈強の権現だったマイク・タイソンがまたリングに立つとは果報である。歴史上の人物と思っていたけれど、54歳とは意外に若いな。今はすっかりダメだけれど、その年なら私でも十分タつことができた。相手は４階級制覇のジョーンズとは、どこから引っ張り出してきたのか、正にドリームマッチである。タイソンのファイトマネーが10億4千万円というのも、パンチ力がいまだに衰えていない。

そんな金を資力も腕力も持たない者が稼ぐには、ジャパンカップしかない。王者アーモンドアイに無敗三冠男女のコントレイル、デアリングタクトと、これもタイソン戦に負けない豪華メンバーで、目移りして仕方がない。菊花賞ではたった１割配当だったコントレイルでも単勝が3.1倍と、取り組み妙味がある。要するに、さっぱり分からん。お日柄から、本日は「赤口」なので、赤帽のデアリングタクトが来るだろう。スポニチ特別ゲストの田中将大投手が人気３頭の中でローテーションに一番余裕があるデアリングを軸に据えるように、３枠５番と産後の肥立ちも良さそうだ。

それに女子ゴルフのリコー杯はきょう最終日を残し、黄金若手世代の西村優菜が２位、笹生優花が４位と、首位10アンダーの原英莉花にそれぞれ１、３打差でぴったり付けている。仕事を早めに切り上げ、華麗な逆転劇をこの目で確かめたい。

笹生が差そうとした瞬間に、グローリーヴェイズが長駆大外から駆け抜ける小穴の逆転劇が見られ、小銭が稼げるかもしれない。

 

年末の

ジャンボ宝くじ

十億円

一撃仕留む

タイソン仰ぐ

桐一葉

　昨日の東京都のコロナ感染者が570人と過去最多だったと聞かされても、米欧の規模に比べるとまだまだという捉え方もあるけれど、新型コロナウイルス感染の後遺症により上前歯が1本抜け落ちたニューヨーク出身の女性（43歳）の口元のどアップ写真をネットニュースで見付けて、なめてはいけないと自分に言い聞かせた。他の歯並びは綺麗だったので、余計に痛ましい印象を与えていた。感染規模が小さいうえ、死者も数えるほどなので、そんなに神経質になることはないとの見方も見聞きするけれど、運悪くコロナに罹ってもサバイバルすればお終いというのでなくて、症例先進国の報告からは後遺症が深刻なようである。日本でも感染者の話では味覚、嗅覚がなくなったと体験談が聞かれたけれど、再検査で陰性に戻ってからも味覚が戻らない人の話がリポートされている。飯も酒も味がしないとなれば、回復したことにならない。日本人の耐性が強いのか取材力が弱いのか、コロナ患者事後リポートにあまりお目に掛からないけれど、味気のない生活を強いられるよりもっと痛ましい多くの後遺症が欧米では報告されている。新型コロナ肺炎と言われるけれど、単に呼吸器疾患だけでなく、血管障害も起こすそうである。歯茎への血流が止まるのか出血や痛みもなく、ある日突然ポロリと歯が抜け落ちるそうである。むかしから、『一「は」落ちて天下の秋を知る』と言って、滅亡の前触れとされる。歯だけでなく、頭髪も抜け、下痢や吐き気、悪寒、不眠症に方向麻痺、思考力低下から不整脈、幻覚も起こすといわれる。以前は、日本モデルでコロナを克服したなどと言う人がいたから、これは日本人なら誰でも知っているＳ級の人がもう一度人柱となって警告灯とならなければ甘い見方が収まらないと感じたものだけれど、そこまでいかなくてもこの後遺症の実態が広く知れ渡ることによって、コロナ舐め病の抑止効果になると考え直している。
　冷凍ポテトフライ業務用１kgというのをスーパーで見付けた。オーブンが無く、電子レンジのパン焼き用台に載せるのも難しいので、電気調理台の魚焼きトレーに入れて焼いた。待っている間に飲み始めて、忘れた。３日後にまた焼こうとして、トレーを開けたら出来上がりが出てきた。でも、冷えていたので、温める程度に焼き直したら、ポテトの端が炭になって出てきた。ひょっとして、既に感染後、自然治癒したものの、後遺症が出ているのかもしれない。

猫は尻
嘗めて良けれど
人はいさ
コロナ舐めれば
命か歯と毛

表がダメなら裏返し

　東京都の27日のコロナ感染は570人と過去最多を更新か。小池知事の言う５つの「小」でなく、大の方向に突き進んでいる感じである。これに海外に門戸を徐々に開いていくとなると、よほどの敵対国でない限りそんなに根は排外主義でないけれど、やはり杞憂が先に立つ。沖縄で勤務しているときは、ニライカナイは幸と楽しみを招来してくれる存在であったけれど、好いものばかり運んでくれるわけでないことは、はるばる来訪してくる動機を想像すれば、無邪気に喜んでばかりいられない。
　マイナンバーカードを早く作れとお上に急かされ、別にけつの毛羽までお上に覗かれても痛くも痒くもないので、素直にずいぶん前に申し込んだ。暫くしたら地元役所から準備ができたので取りに来いと葉書が届いた。ただ呉れるのかと思ったら、ポイント５前後の虫メガネが必要になる細かい文字で、やれ本人確認用に４つの書類を持参しろとか、署名用電子証明書暗証番号とか４種類の暗証番号を事前に考えておけとか、面倒臭いことこの上なく、１カ月以上経っても貰いに行く気になれない。デジタル化を進めるための道筋のアナログ度の敷居の高さが飛び越えられなくて往生する。デジタル庁の新大臣が内定したようだけれど、お役所の自己満足でなく、利用者に使いやすいデジタル化をお願いしたい。
　ＥＴＣカードも人を舐めている。今年に入ってコロナ禍によりＥＴＣカードを使う場面が無く、最近久しぶりに車を走らせたら、いきなりこれから先は有料道路、との標示が目に入った。慌ててダッシュボードからカードを取り出し、挿入口に入れても読み取れないと言うので、逆向きにしてもやっぱり同じ自動応答を繰り返された。期限が来て無効になっているのかと思って、家に帰ってからクレジット会社に電話すると、これも自動応答しか受け付けない。ＥＴＣ関係の方は「３」を押せというので、そうするとＥＴＣのお申込みですね、としか言わない。ＥＴＣが読み取れない原因を聞こうと思っても、生身の人が出てくれない。諦めつつ、念のためにもう一度挿入にチャレンジすると、今までカードの表面を上に、前と後ろを入れ替えていたのを、逆さにして裏面を上に挿入すると、確認できました、とあっさり許容してくれた。読み取り機設置の上下を間違っていたのか、とんだ手間を取らせられた。表でだめなら、裏返して挿入して往かせるほどの若さと根気は残っていないというのに。

五つ小だ
デジタルだとか
むつかしき
こと言ふお上
うろとふばかり

蜜柑たわわ

　穏やかな、またも小春日和と呼べる１日であった。カラッとしていて静かな風が肌に優しく、コロナ菌が拡散しやすそうな陽気だと感じた。有田でも西宇和でもないけれど、散歩の途次の庭木の蜜柑も見事な色映えを放ちながら、たわわに実っていた。バイデン大統領への政権移行の道筋が米国でつき始めたようである。思えば選挙結果が判明してからも不正選挙だったと粘ったり、桜を見る会の補填が見え見えでも参加者がホテルに直接支払ったから知らないとか、トランプ米大統領と安倍前首相が息が合っていたのは、性向も合っていたからのようである。違うところはトランプ大統領は恐るべき新型コロナウイルスにでも病気に強いのに対し、安倍前首相は病気で２度も辞任せざるを得なかったことである。いや、そんなに柔弱なら日本憲政史上最長の８年近くも政権を維持できるわけがない。案外病気が理由でなく、森友学園の設立問題で、もし本人や身内が関わっていたとしたら首相はもとより議員も辞職すると国会答弁した綻びが出そうになったためだとしたら、有言実行タイプで、トランプ氏より今のところ進退が鮮やかだったと評価してよいのかもしれない。
　大相撲の今年の場所が終わってしまって楽しみが少なくなったのに、プロ野球日本シリーズも尻切れトンボのように、ソフトバンクの４連勝であっけなく幕を閉じた。西鉄ライオンズファンとして川上哲治監督時代の憎たらしいほど強い巨人のイメージを刷り込まれたアンチ・ジャイアンツにとって、物足りな過ぎる。選手層の力量に差があっても原采配のミラクルが飛び出すだろうと予想していたのに、肩透かしだった。こうなると、もっと頑張ってほしいと願うのは、白鵬にもう一度土俵に活を入れてほしい期待するのと、似た感情のような気がする。
　とにかく、師走に行くはずだったGoToキャンペーンの三陸旅行もキャンセルし、何の予定もなく暇である。一発勝負に出て年末宝くじとも思うけれど、外れるのが分かっていて3000円は痛い。そこでお願いだけれど、政府は新型コロナ肺炎の第３波にたじろいで、GoToトラベルもGoToイートもぐっと絞るというのだから、その浮いたお金をGoToジャンボに回して、年末ジャンボ宝くじを10枚１綴り3000円で購入する際、GoToトラベルとほぼ同じ割引率の33.3％を助成し、2000円で買えるようにしてくれないだろうか。験のいい人気店に人が溢れるとトラベル・イートの二の舞だから、菅首相が唱えるデジタル化方針に沿って、ネット販売に限定すればよい。これで販売コストが浮くので、当たり本数を増やすことができ、三方一両得のアイデアと思える。

たちばなや
小春日和の
うらうらに
昔もはやり
病ひたわわに