東日本大震災10年目。各地に爪痕が残ったまま、避難生活を余儀なくされている人が4万1千人を超える現実が痛々しい。その惨状をPR道具のようにしてオリンピックを誘致したけれど、東京都に利用できるかどうか今のところ不透明な競技施設等を建設したものの、被災地復興との力の入れ方と比べ趣旨に沿っているのか。爪痕でまだ一番生々しいのは、メディアの写真や映像を通してだけれども、爆発炎上の福島原発の生きた残骸である。常に止どめを刺す異様な執念を燃やさなければ、再び猛威を振るうターミネーターのような生命力を持たせたのが科学の帰結と言える。それが10年経つと、最大の被害者は原発であるかのような顔をして、政治、行政、関連業界は原発復興のムードを醸成しようとする。五輪準備のタイムリミットが迫ると、検査数を絞って感染者数を少なく見せようと操作するように、寒波降雪に紛れて停電を起こさせて原発の必要性を演出するなど、人為も手が込んできた。他愛ない手品に口をポカーンと開けて喜ぶ、平和でのどかな観客が大半なのだから、数頭の牧羊犬に吠え立てられて移動する羊の群れのように、望む方向に進めばよい。騎虎の勢いは誰にも止められない。
昨晩は楽天テレビでソフトバンク対巨人のオープン戦を観戦した。BSアンテナはNHKの集金攻勢が煩わしいと思って取り付けていないので、これまで地上波中継しか見ることができなかったけれど、CM中断のない野球中継は興趣が殺がれずけっこう楽しめた。優雅な気分でハイボールを飲みながら、何か王侯貴族になった感じだった。ソフトバンク武田、巨人今村の両先発投手が淡々と力勝負をして引き締まっていた。最近は球の勝負より神経戦が中心になっているのか、1試合に2時間半から3時間かかると、最後まで見る気が失せることが多い。ソフトバンク川島の派手なステップ打法が気に入ったけれど、目を奪ったのは巨人のセカンド若林の守備だった。ダブルプレーの2塁トスが鮮やかだったし、一二塁間の打球の捌きが素晴らしかった。二塁手は広島の菊池ばかりではないと強く印象付けられた。
早くも開幕が待ち遠しくなり、27日の第2戦で楽天田中将大と日ハム吉田輝星の甲子園準優勝投手対決が実現することを期待したい。栗山監督ならきっとそんな愛嬌のある演出をしてくれるだろう。
鶴竜が春場所休場とは残念な。進退問題に発展するのかなあ。今の大関、関脇が実力で世代交代を迫るなら、引退も仕方ないけれど、ズル休みでない負傷欠場なら、1年を20日で暮らすいい男の江戸時代に戻ってもいいと思う。ヤクザみたいに後輩の頭をビール瓶で殴って焼きを入れたわけではないのだから...。
大なゐと
つなみは神の
わざならむ
原発炎上
ひとの業なり