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茶道具、取り合わせの基本知識  風炉先/煙草盆

2006-10-17 18:17:40 | 茶道豆知識
●風炉先屏風、結界
広間の一部を「屏風」で囲った場所で台子を据え「茶点て所」として始まったとされています。後に茶室を「囲い」とも言うのはここから始まっています。
茶室の原点である「囲い」の名残として広間、ことに周囲に「襖」「障子」に隣接する「点前座」には必ず「風炉先屏風」を据える決まりとなっています。
狭義でいうと「点前座」の道具側畳半分を「道具畳」と称しますが、その「道具」を保護する目的を残した屏風が「風炉先屏風」です。
一方、小間では点前座が壁で囲われてあったり、「風炉先窓」や「色紙窓」といわれる点前座を囲うように装飾性の高い窓なども取り付けられており、風炉先屏風は使用しません。

一般には「風炉先屏風」と同じよう使い方がされ、用途が同じと「勘違い」されている物に「結界」があります。
これは「座頂(ざちょう)」とも呼ばれるもので、二つ折りする風炉先屏風と違い一面だけ足をつけ単独で立ちます。「結界」は風炉先屏風の代用のように考えられることが多いようですが、「客座」と「点前座」を区切ったり「広間」を「小間」に区切ったりするために用いる物ですので「点前座先の部屋の隅」には置きません。

●道具としての畳
茶道具の話をしているのに「畳」の話題とはとご不審と思いますが、茶の湯は畳の上で点前をするのが原則であり「茶室は最大の茶道具」といってもよいでしょう。
ここで話をしている「畳」とはいわゆる「京間」のことを指します。

●煙草盆、喫煙具
天正年間にはすでにかなり普及していたと見られる喫煙習慣は利休時代から茶室にも浸透していったと考えられますが、利休、織部時代の好物の喫煙具は見当たりません。「お気楽に」との意味合いで出される「煙草盆」は江戸に入り「元伯宗旦」「小堀遠州」「金森宗和」あたりから「好物」の煙草盆が数多く登場します。

おそらく当時から濃茶の席での使用は考えにくく、「寄付待合」「腰掛待合」「薄茶席」に用いられるのが一派的であったようです。「片桐石州」や「山田宗偏」の煙草好きは殊に有名で宗偏流では懐石の最中にも「煙草盆」を持ち出す場合もあります。

「茶の湯で用いられた最初の煙草盆」ではないかと思っている「松の木行李蓋煙草盆」は、おそらくすべての流儀に共通して使用されているますし、煙草盆中の白眉であり、見込みの「節」の大きさと「時代」を鑑賞する物として流儀を問わず広く使われています。

「煙草盆」には必ず「火入」と「灰吹」が添えられます。「灰吹」は「吐月峰」とも呼ばれますがこれは静岡市にある山の名前で連歌師「宗長」がここに「柴屋寺」を開きここの竹を「灰吹」に用いたところからの名称です。
「火入」は煙草に火を付けるライターの役目を果たしますが、元々火入であった物は少なく「香炉」の小振りな物や「深向付」を見立てで使用したのが始まりです。
いずれにしても入念に手入れした「灰」を用いますが「菱灰」が決まりではなく「風炉灰」の上手を用いる法が巧者と考えられます。灰形は放射状に筋を付けた形を多く用いますが流儀、火入により「屋根形」の灰形をする処もあります。中に入れる「火入炭」も吟味してよく熾した物を用います。「菊炭」とおっしゃる方も居られるようですが茶の湯で用いるすべの炭は「菊炭」ですので悪しからず。
他に「煙管」「煙草入」を添わせる場合があります。「煙管」も後に多くの好物などが登場しますし、「煙草入」も唐物の見立てや檀紙の 畳紙など様々です。「煙草盆」のセットの中身を奇数で揃えるため「煙管」を用いた場合必ず「煙草入」を添えます。引出など「煙草入の付いた煙草盆」を用いる場合も同様に「煙管」を用います。

茶事では三ヶ所ないし四ヶ所、四回乃至五回登場する煙草盆ですので形状、材質、技法など異なったものを用い客を楽しませ、亭主としても大いに楽しんで下さい。


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