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茶道具、取り合わせの基本知識  蓋置/建水

2006-10-17 18:21:02 | 茶道豆知識
●蓋置
釜の熱い蓋を置く場所が必要となりますから「蓋置」がいります。蓋置は唐物の文房具等から見立てられたものも多く、墨台や筆架、利休好みと伝えられる「七種の蓋置」として上げられる「穂屋(火屋、火舎」「栄螺(さざえ)」「三つ人形」「五徳」「一閑(韓)人」「蟹」「三つ葉」等もそのよい例でしょう。唐銅物は、七種に止まらず「駅鈴(馬鈴)」「印」「笹蟹」「墨台」「輪」「夜学」など多種が見立てられていっています。
様々な形状の物を見立てたため、蓋を置くための「扱い」がある物も多く見受けられます。
竹の蓋置もやはり茶人が青竹を切り、用い出したのが始まりで「引切り」と称しますが、「在判」のあるものは青竹でなくとも用います。
利休ごろから「竹の蓋置」を盛んに用いるようになったと云われており、初期には「節の無いもの」後に「炉用」「風炉用」で節の位置を替え用いるようになった、とされています。
竹以外には「駅鈴(馬鈴)」はこの扱いをする決まりがになっています。

「白竹蓋置で在銘の無いものは稽古用」と考えて下さい。本来新しければ青いものです、白くなったものは「使い古しの印」で客前に用いるものではありません。
「透かし」や「置上」「蒔絵」など細工のある竹の蓋置は陶器の物と同様に扱う方が良いでしょう。また特殊な竹を使用した物があってもそれに準じた方が無難でしょう。但しこれは、どちらかといったら「煎茶趣味」といって「抹茶(こういういい方はあまり好ましく思いませんが、煎茶道と区別するため)」の方では使わないものです。後に述べますが「竹の蓋置」は「侘びに適う」道具の代表といえるでしょう。
「陶器類の蓋置」も見立てから始まり唐銅物(七種蓋置など)の模倣などや「つくね」といった単純な物や、その可塑性により様々な工夫で色々な形があります。

●建水
お点前で湯や水を使ったら捨てる場所が必要になります。即ち水翻であるところの建水です。「建」の意味は「覆す」と言う意味を表し「水翻」「水覆」(いずれも、みずこぼし)とも書き、「水下」「骨吐(ほねはき)」とも著したりします。建水は台子、長板以外は客側から目につかず地味な存在ではありますが、「茶に近い道具の第二位」とも言われ、いざ取り合せとなるとなかなかこれといったものがなく以外と難しくもあります。

よく巷説に「七種建水」といわれる「餌畚(えふご)」「大脇差」「差替」「瓢箪」「棒の先」「槍鞘(やりのさや)」「金盥(かなだらい、合子にあたるか?)」が茶人に膾炙されることもよくありましたが、例によって近世茶人の語呂合わせの感は否めなくなっているのが一般的です。個々の材質も成り立ちも異なる点からいささか無理があります。ただ、建水の形状などを知るためには一つのきっかけになるという意味では意義がもあると思われます。
材質としては第一に「砂張」「唐銅」「モウル」など金属製の物、これらは勿論皆具の中の物ですが、最初は転用品、利休以後好み物が出てきます。広く「小間」「広間」「薄茶」「濃茶」を問わず使用されます。
殊に先ほどの逸話にも登場する「砂張」は取り合わせには非常に「気の利いた」建水ですが、扱いには材質としてデリケートなものですので畳にすらせたり、清めるときにもタオルでこすったりして 付けないよう気をつけたいものです。こすれた砂張物は価値が半減してしまいますし、同様に常に身近な「唐銅」物にしても気を付けたいものです。

次に陶磁器製の物では、古く焼締の「備前」「信楽」「丹波」「伊賀」に代表される「無釉陶器」が好まれます。また、海外の見立ての代表ですが、水指同様「ハンネラ」「南蛮」等も小振りの物を建水に見立てます。殊に「南蛮甕の蓋(なんばんかめのふた)」は古くからの記述があり茶席でのご馳走の一つです。
「施釉陶器」の中にも千家伝来、黄瀬戸の「大脇差」瀬戸黒の「差替」や「高取焼」等一部みられますが、「青磁」や「染付」等を除き一般には少ないようです。
武野紹鴎が砂張(合子、骨吐)や南蛮甕の蓋などはなかなか手に入りにくい物なので「木地曲建水(面桶めんつう)」を「使い切り」を条件に「竹の蓋置」と共に使用され始められたとのことです。「青竹の引切に木地曲の建水」は近世濃茶席の定番のようになっているのはこの故事に基づいた物と思われます。また「濃茶が木地曲、塗りは薄茶が常識」と言う方もおられます。
塗り物の建水には「春慶塗」や近世になって「鮨桶」「漆桶」などの他「竹」を塗った物も登場していきます。






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