宗葉の、チョイト思う事。言いたい事。

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●T氏の茶会

2015-03-24 09:58:39 | 茶の湯
お茶の仲間が和室に炉を切って茶室とした。
そのお披露目としての茶会を行うという事で招待を受けた。元々はふた月前にする予定だったが、本人の足に菌が入り正座する事が出来なく成り延期するはめになった。
一旦盛り上がったやる気も、全てをチャラに戻しての再出発。前の状態にまで持って行く事は大変だったと想像する。
T氏は私のカルチャー教室での初めからの受講者で、60代半ばの現役でスタートしたが、真面目に自宅での稽古を欠かす事がない努力の結果で、
準師範を受けるまでになった。去年本部での灰型作りの講習に出席し、炭と同時に気持に火がついたみたいだ。
今は70半ばになったので、後何年出来るだろうと計算する事が出来ると、チト焦るようだ。
茶事の先輩である仲間に色々とアドバイスを受けまくり、灰作りからスタート。やはりお茶をやったからには炭で湯を沸かす事を経験したく成るものらしい。

今日の客は4人。男性は別室で着替えを済ませ、寄り付きで桜湯を頂き、茶室に移動し、席入。そろってから銘々に挨拶を受け、炉の炭手前が始まる。
炭斗を持ち出し、灰器を置いた後、炉中の拝見をし、見事な種炭の起こりを見せてもらった。炭の臭いと、香の臭いが鼻に心地よい刺激を与える。
気密性の高い住宅の為、炭の中毒にならないよう換気口やら窓やら、部屋の襖まで開けての炭手前。
種炭を起こすのには苦労したようで、何回かの模擬までやったそうで、奥さんも一役買った模様。旦那の道楽に付合うのも大変だろうと思う。
これだけで今日のお茶会は成功!客も亭主もそう感じたのではないか。
会席は仕出しの幕の内弁当に汁物を付けたもので、お酒もセンスの良い燗鍋や、酒器が出たがなんせ車で来た者や、体調による禁酒で、
亭主の気持を汲み取るところまで行かなく済まなかったと反省!
寄り付きに戻り濃茶に床や飾り付けをした茶室へと移動。道具は釜といい、亭主の性格を表しているように、派手な所無く落ち着いた感じの物で、茶碗など拝見する。
釜から湯気が濛々と立ち上り電熱器での稽古とは違う本物の感を受けた。今一度席を外し、薄茶の棚使用に模様替え。点法は前押しの高取による重ね茶碗。
亭主も疲れが出て来たようで袴を踏む回数も多く成る。正客の私も足の限界が来て椅子に腰掛けての作法となり誠に申し訳なかったが、勘弁して下さい。
名残の拝見を済ませ茶室披露の茶事を無事済ませる事になる。全てが終わってからのコーヒーがおいしかった~~~。

茶道具も何年にも渡り少しずつ貯めて、とうとう茶事を行うまで揃える事が出来たようだ。
灰もあく抜きから始め、炭手前の道具やら手前やらで、やる事なす事70歳を過ぎてからの経験で、それを実行する意気込みには感服する。
知らなかった茶道の面白みを知った歓びに、心から浸っているようだ。少々の間違いなんてたかが知れている。
湯が沸けば良いし、お茶が美味しく飲めればそれで良い。茶事、茶会に出て何故か気疲れをしまうようなものは困ったものだ。
おおにして他の流派に参加するとそうなる。
客側に手順、点前の知識がなければならないようなお茶会には、おもてなしも強制させられていて、お茶会というよりイベント参加みたいな感じになってしまうが、
今回の茶事では亭主、客とも常日頃から稽古も一緒の時が多く、気心の知れた本当のお茶の仲間という、これぞ私の求めている「お茶」の世界ではないだろうか。

後日話しを聞いたのだが、2~3日は虚脱状態だったそうだ!ただT氏の偉いところは次は風炉の炭手前へと眼を向けているところ!!!!!!!!!!!.。