授業者日記

バファローズ・スワローズのことや授業のことについて書いていました(現在は定期更新停止中)

仮説証明授業 《 図形と角度 》

2015年11月21日 22時05分14秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
仮説証明授業《 図形と角度 》は、幾何学と証明の入門にぴったりの授業書です。

科学の授業書のように、華々しい実験はありませんが、数学と論理の世界の美しさと奥深さにふれることができます。
なんだか凄いことを知ったような感じがして、しみじみとした余韻が残る授業書だと思います。

この授業書は、以下の5部構成になっています。

第1部 直線
第2部 三角形と四角形
第3部 平行線と角度
第4部 三角形の角の和のなぞ
第5部 四角形・五角形の内角の和

現在の教育課程では、中学校2年生で対頂角・同位角・錯角について学んだり、多角形の内角・外角について学んだりするようになっています。
《 図形と角度 》の第3部以降は、概ねその内容と重なっています。
ただ、小学校の高学年以上であれば、全編通して授業することは十分可能ですし、実践例も多くあるようです。

私も、中学生と一緒にこの授業書の第3部以降を楽しむ機会がありました。
クラス毎に差がありますが、たのしさで7割以上、わかりやすさで9割以上の生徒が好意的な評価をしているので、実施してよかったといえると思います。

以下、簡単に授業のことを記してみます。
内容に関することなども書かれていますので、ご注意下さい。

なお、仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
仮説社 にて授業書をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。

偶然にして、月刊誌『たのしい授業』の2015年10月号 が算数・数学の特集で、《 図形と角度 》の授業記録も載っています。そちらも参考になるかもしれません。

【1時間目】

■ 第3部(平行線と角度)

対頂角,同位角,錯角が主たる内容です。ここでは掲示物を工夫しました。OHP用の透明なシートに、マジックペンで同位角や錯角を 色つきで書いておき、それを画用紙に印刷した図の上に重ねるというものです。“錯角はZの角” というのは定番の教え方のようにも思いますが、これを最初に考えついた人は賢いですよね。
また、平行四辺形と菱形が登場したところで、定義についての話もしました。何かを定義するというのは難しいということ、世の中の多くのものについて定義はあやふやでも何となく分かったつもりになっていることなど、“犬 の定義” などを例に話してみました。


■ 第4部(三角形の角の和のなぞ)

第4部では "三角形の内角の和=180度” という有名な定理を証明します。
例えばノートに描いた三角形の内角を分度器で測って足してみるとか、三角形を重ねて切ってそれらを並べるとか、実験的な方法で調べてみることは、それはそれで意義があります。ただ、そうした方法には限度があります。
「すべての三角形が」 or 「どんな三角形でも」 内角の和が180度であることを言うには、論理を使うしかないのです。
授業書には、その論理が4人の登場人物による試行錯誤のストーリーで綴られています。そして、今回の授業では画用紙と透明シートを使って、その流れを黒板上で再現しました。
また、数学で言う「すべて」「どんな○○でも」は本当に例外なくすべてであること、100%の世界なのだということなどを伝えるとともに、定理や証明といった語を紹介しました。


【2時間目】

■ 第5部(四角形・五角形の内角の和)

第5部は四角形・五角形を切り口に、多角形の内角の和の定理を導く展開になっています。
そして、最後の問題がまことに興味深いのです。それは、「三角形の辺上に180度の角があると思うと、これは四角形とみなすこともできるのでは?」という問題です。
皆さんはこの〈 あやしい四角形 〉を四角形と認めますか? もし認めるとすれば、三角形 → 〈 あやしい四角形 〉 → 〈 あやしい五角形 〉 → 〈あやしい六角形〉 → …… と果てしなく続いていってしまうのですが・・・。ちなみに、生徒たちに訊いてみるとクラスにより結果はマチマチで、「認めたくない!」が多数のクラスもあれば、半々のクラスもあり、「認めても良いんじゃない?」が多数のクラスもありました。


■ 数学は概念を拡張する

そして、最後の話、『数学は概念を拡張する』でこの授業はおしまいになります。
「数学は堅苦しい学問だと思われることがあります。しかし、じつは数学は自分の都合のよいように記号や数を作ったり、言葉の意味(概念)を広げていく自由な学問といった方がよいのです」
授業書のお話では、0やマイナスの数のことが書かれています。今回の授業では、それに加えて、虚数単位の i のことにも少しだけふれてみました。
今回の授業を受けてくれた生徒たちの学力層は高く、この授業書の本篇の部分を彼らの多くは「易しすぎる」と感じるだろうということは承知の上で授業をしました。でも、この最後の話だけは、きっと興味をもって食らいついてくるだろうと、事前に予想を立てていました。
実際、授業の感想文を読んでみると、予想通り、この話のことを書いてくれた生徒が多数いました。かれらの視野が、ぐっと広がったのなら、大いに喜ばしい限りです。


【 生徒の評価と感想 】

3クラスの生徒たちの評価(たのしさ)は、以下の通りでした。
「5:とてもたのしかった」  42人(36%)
「4:たのしかった」     46人(40%)
「3:どちらともいえない」  25人(22%)
「2:つまらなかった」     2人( 1%)
「1:とてもつまらなかった」  1人( 1%)

☆ 《 図形と角度 》感想文より。括弧内の数字は「たのしさ」と「わかりやすさ」
 ・ 最後のプリントに「数学は自由な学問」と書いてあり、数学に対する見方が変わって、いい体験になった。(5,5)
 ・ 181°以上の角がある四角形でも360°になるということ。(5,5)
 ・ 平行線と角度の授業(=第3部)で透明シートを使って、対頂角,同位角,錯角をやってくれたので、わかりやすかった。もっと、0の数の話のような面白い話をしてほしい。(4,4)
 ・ 証明が楽しかった。(4,4)
 ・ 〈 あやしい四角形 〉に関する話が興味深かったです。(4,4)
 ・ 透明なシートを使って角度が同じということを教えるというところが分かりやすかったです。(4,5)
 ・ あやしい四角形が面白かった。数学のトリビアをもっと教えて欲しいです。(3,5)
 ・ とても説明が分かりやすく、よく分かった。幾何が楽しくなった。興味が持てる授業だった。もっとこの単元のことを知りたいと思った。(5,5)
 ・ 「あやしい四角形」が面白かった(5,5)
 ・ 「-1はiの2乗である」ということが分かった。(4,4)
 ・ 図があって、分かりやすかった(4,5)
 ・ 今日の授業の0の話やマイナスの事がとても面白かった。(4,5)
 ・ 今日の授業の先生の演説がよかったです(5,5)
 ・ 三角形が見方によれば四角形になれること。(4,4)
 ・ 数学のことがよくわかってよかった。(5,5)
 ・ 三角形の辺に適当な点をとると何角形にでもなれるということが、屁理屈だが納得できた。 □2=-1となる数をつくったことによる利点などの話が、テストとは関係なく、とてもおもしろいと思ったので、他にも数や図形に関する雑学がもっと知りたい。数学は元々好きだったが、知らなかったことや、新しい複雑な知識も非常にためになると思う。角度の定理や証明も、とても分かりやすかった。(5,5)
 ・ 〈あやしい四角形〉を四角形と見立てて考えることが、とても面白くて、数学に対する考えが深まり興味がわいたので、面白かった。(3,5)
 ・ 早く証明をやりたいです。(5,5)
 ・ 最後の「概念拡張」の話が面白い考え方だと思って、数学に興味をもてた(5,5)
 ・ 三角形の内角の和が180°の証明など、やったことがないものだったのでおもしろかった。解説もわかりやすかった。(4,4)
 ・ 数学の世界は本当に自由だということが分かり、何か凄いことを教わった気がしました。(4,5)
 ・ 今まで常識的に覚えてきたものを証明するところが難しかったけど、楽しかった。(4,5)
 ・ とても興味が湧いたし、勉強になりました。(5,5)
 ・ 授業の範囲から少しそれた、豆知識がとても面白かった。(3,4)
 ・ 言われてみればそうであるが、ややこしいと最後のは思った。(3,4)
 ・ 概念拡張の話に興味を持った。図形と角の語がおもしろかった。(4,5)
 ・ 三角形を四角形に見立てても、内角の法則が成り立つことを初めて知った。(5,5)
 ・ 専門的な部分まで教えてくれたところが良かったです。(4,4)
 ・ 定理や定義などの数学の根本的なところについて学べた。(4,5)
 ・ 会話をつかって説明されてて、よくわかり面白かった。(4,4)
 ・ すごいな。数学って本当に雄大な学問だなぁ(3,3)
 ・ 角度に興味を持てた。(5,5)
 ・ i^2=-1というのが実際に役に立つというのが意外だった。(4,4)
 ・ 図形から数学の概念まで飛んでおもしろかった。定理について考えるのが面白かった。(4,5)
 ・ あやしい四角形がおもしろい(4,4)
 ・ 最後の問題(=あやしい四角形)は腑に落ちなかった。(4,4)
 ・ 今回の授業は、これまでやってきた問題を解くというものは少なく、理解を深めることが中心であり、今までやらなかった学習をし、最後には数学の概念を学んでとてもためになったと思った(4,5)
 ・ あやしい四角形などが作れるなんて、考えたこともなかった。(3,4)
 ・ あやしい四角形について興味を持った。その後の数学とは何かについての文が良かった。(4,4)
 ・ 定理は自由だった。(3,3)
 ・ プリントが物語のように進んでいくのがおもしろかった。(5,5)
 ・ 三角形と言ってもいろいろな見方があることを知り、おもしろかったです。(4,4)
 ・ 数学は新しい概念を作る学問である。(4,4)
 ・ 授業の最後の方にやった「あやしい四角形」について興味を持った。(5,5)
 ・ もう少し静かな授業で、少しずつ雑談を入れていってほしい。授業自体はけっこう面白く、数学者になりたいと考えたりもできた。(3,4)
 ・ あやしい四角形が、なるほどと思い面白かったです。(4,4)



仮説実験授業 《 2倍3倍の世界 》 と、体積3乗の法則

2015年11月03日 22時13分12秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
仮説実験授業の授業書《 2倍3倍の世界 》は、主に“相似”をテーマとしています。
科学の授業書の多くと同じように、「選び抜かれた問題を提示し、各々が仮説を立てて発表したうえで討論をし、最終的には実験で決着を付ける」という展開になっています。
その中で、相似比やコピー機の倍率のこと,“面積2乗の法則”や“体積3乗の法則”のことなどを、楽しく学べるように作られています。

現在の教育課程では、中学校3年生で相似を学習するのが一般的です。
(小学校でも高学年で、図形の拡大・縮小について簡単に学ぶ単元があるようです)
《 2倍3倍の世界 》で授業をした場合、教科書通り学ぶよりも格段に楽しく印象深く学ぶことができて、世界をグッと広げることができるのではないかと、そんなことを思います。

《 2倍3倍の世界 》は、単行本 『実験できる算数・数学』(出口陽正著,仮説社刊) の中に掲載されています。

私も、中学生と一緒にこの授業書(4部構成のうち、最後の第4部だけですが)を楽しむ機会がありました。
2回にわたった授業はグダグダになってしまったのですが、感想をとってみると、圧倒的に「5:とてもたのしかった」が多くて、想定外の高評価でした。分からないものですね……。
「見た目と事実の違いに驚いた。」 とか、「予想外の結果に驚いた。」 とか、「実感がわいた。」 とか、「実体験があったので分かりやすかった。」 とか、そんな感想をもらうと嬉しいですね

以下、簡単に授業のことを記してみます。
実験結果なども書かれていますので、ご注意下さい。

なお、仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
『実験できる算数・数学』(出口陽正著,仮説社刊) をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。
また、実験のための道具が何点か必要となります。



【1時間目】

■ 三角錐の実験

アクリルの三角錐を2つ用意して、一方の半分まで水を満たして他方へ移すという作業を繰り返すとき、何杯でいっぱいになるかという問題。
見た目でいくと、4~6くらいになりそうなのですが、きちんと8杯入ります。


■ 計量カップの実験

大きな計量カップと小さな計量カップがあります。直径は大が80mmで小が40mmです。高さは大が40mmで小が25mmです。小さい方を水で満たして大きい方へ移すという作業を繰り返すとき、何杯でいっぱいになるかという問題。
こちらは見た目でいくと、15杯や20杯は入りそうに見えるのですが、8杯しか入りません。


■ 体積3乗の法則 / 捉えにくい量 体積

相似な立体の体積比は、相似比の3乗で決まります。
三角錐と計量カップの実験の結果は、“体積3乗の法則” で考えればどちらも「8」に決まっているし、それが当たり前なのですが、体積という量は人間にとっては捉えにくい量で、理論と直感にかなりズレが出てきてしまうということを実感できます。だからこそ、法則が必要であり、理論が大切なのだということもいえそうです。


【2時間目】

■ アリとノミの話

仮に私たちの身長が10分の1になったとき、体重は “体積3乗の法則” により1000分の1になります。
そして、持ち上げられる重さの限界値は、筋肉の太さで決まるので、“面積2乗の法則”より 100分の1になります。
例えば、身長180cm,体重60kgの人が、身長18cmのコビトになったとき、体重は60gになります。
そして、この人がもともと50kgのものを持てたとすると、コビトになったとは500gまで持てます(体重は60gしかないのに)。
この差があるため、アリは力持ちで、ノミは跳躍力が凄まじいのです。


■ ガリバーとコビトの話

恒温動物は、体温を維持するために食事をする必要があります。失われる熱量は身体の表面積で決まります。
身長がガリバーの12分の1であるコビトは、ガリバーの144分の1の食料で生きていくことができます。
ところが、コビトの胃袋の容積はガリバーの1728分の1しかありません。
そのため、コビトはガリバーの12倍のピッチで食べ続ける必要があります。
サイズをどんどん小さくしていくと、やがて一日中食べ続けても無理になります。それが、恒温動物の小ささの限界です。

【 生徒の評価 】

3クラスの生徒たちの評価(たのしさ)は、以下の通りでした。
「5:とてもたのしかった」  71人(62%)
「4:たのしかった」     25人(22%)
「3:どちらともいえない」  13人(11%)
「2:つまらなかった」     2人( 2%)
「1:とてもつまらなかった」  3人( 3%)




ミニ授業書 <日本国憲法とその構成> で公民分野の導入

2011年04月06日 23時59分59秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
2006年に塾の仕事をはじめてから、中3は毎年欠かさず担当し続けています。

2006年 → 中3
2007年 → 中3,中1
2008年 → 中3,中2
2009年 → 中3,中2
2010年 → 中3,中2
2011年 → 中3,中2

ということは、公民の授業をするのは6回目ということになります。

戦後史もかなり丁寧にやっていたため歴史が長引いていたものの、
ようやく歴史を終わらせることができたので、
今日は、公民分野の導入として、去年・一昨年に引き続いて、<日本国憲法とその構成> を実施しました
※ このミニ授業書は、入門・日本国憲法と三権分立(仮説社刊) に所蔵されています。

今年の中3の子たちは去年の中2ということで、すでに1年間、地理と歴史の授業をしてきた子たちです。
ただ、残念ながら、夏期講習に来てくれた一部の子たちを除いて、仮説実験授業をしてあげる機会が無く、今日がはじめての授業書という子が大半でした。

また、去年の授業記録 をご覧いただけばわかるとおり、去年は7月の実施で、すでに教科書でうんざりするくらい憲法の勉強をした後での実施になってしまいました。
「今年は絶対教科書をやる前にやる」ということはだいぶ前から決意してまして、うまく時間をつくって、教科書に入る前に授業書をすることができました。
やはり、そうして正解だったと思います。



以下、簡単な授業記録を記してみます。
但し仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
入門・日本国憲法と三権分立(仮説社刊) をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。



最初に、憲法とは その国の中心となるきまり であるということを確認するようになっています。
その後、ついでに、「歴史で出てきた「憲法」を挙げられる?」という発問をしてみたら、十七条の憲法とか、ワイマール憲法とか、大日本帝国憲法とか、まぁそのあたりが出てきました。

さて、問題がはじまります。

[問題1] 条文の数
予想
ア.10条くらい   0 
イ.50条くらい   1 * 
ウ.100条くらい  8 ********
エ.200条以上   3 ***

理由は皆様「なんとなく」でした。
ただし、「聖徳太子のつくった大昔の憲法でさえ十七条もあったのだから、アはありえない」という意見は出ました。

正解はウ。日本国憲法は103条からなっています。

[問題2] 章の数
予想
ア.5章くらい   1 *
イ.10章くらい  5 *****
ウ.20章くらい  6 ******

これも皆様「なんとなく」でした。
賑やかな子たちなんですが、中3になるとなかなか理由とかは言いづらいのでしょう。
授業運営上、「発言しない自由」も保障するので、発言したくない子にムリヤリ発言させるようなことはしません。
(この点はふだんの授業でも意識していることです)
しかし、予想分布を見ると、結構たくさんの章に分かれていると考えている子が多かったようです。

正解はイ。日本国憲法には11章まであります。



[問題3] 章に含まれる条の数のかたより
予想
ア.1章につき、だいたい10条程度で、特にかたよりはない。
イ.ある章は1条だけだったり、またある章は20条以上あったりと、章によってかたよりがある。

予想分布
ア 02 ** 
イ 10 **********

ばらつきがあるというのが多数派になりました。理由は「なんとなく」ばかりでしたけども。

正解はイ。一番短い章は1条だけですし、一番長い章は30条以上あります。

ここで、「日本国憲法の三大原理」が紹介されます。

三大原理 → 国民主権,平和主義,基本的人権の尊重

これをやる前、歴史で戦後史をやっておりまして、日本国憲法の制定のところも3月14日(つまり1ヶ月以内)に授業したばかりなのですが、まぁきれいさっぱりお忘れになっている方がそこそこ。
まぁ、そんなもんよなぁ

(しかし塾講師としては成績を上げないといけないので、なんとか定期テストまでに覚えてもらわないと)

[問題4] 第1章第1条の内容
予想
ア.国民主権のこと      0
イ.平和主義のこと      0
ウ.基本的人権の尊重のこと  1 *
エ.天皇のこと       10 **********
オ.内閣のこと        0
カ.その他          1

なんか、その他で「俺のこと」とか言うてた子がいましたが、まぁ適当に受け流しつつ板書はします
あえて否定する必要はないでしょうし、雰囲気を壊さないことが大切だと思いますからね。

予想分布は圧倒的にエが多かったですね。
理由としては、「なんとなく」以外には、「本で読んだ」とか「新聞で読んだ」とかがありました。
あとは、「小学校で聞いたような気がする」というのもありましたね。
(小6の最後で影が薄いけど憲法とか政治の単元があるんですよね)

正解は アとエです。
第1条には、天皇が日本国と日本国民統合の象徴であること、国民が主権者であることが書かれています。



[問題5] 平和主義は第何章に書かれているか

予想
ア.第2章     3 ***
イ.第3章     2 **
ウ.第4~6章   6 ******
エ.第7~11章  1 *

ほどよく分かれて分布しました。
多数派はウでした。「真ん中あたりにありそう」という意見が出ました。
第2勢力のアの人からは、「さっきの順番からすると、国民主権が1章なら平和主義は2章」という意見が出ました。確かに、三大原理は、国民主権,平和主義,基本的人権の尊重 という順番で紹介されてましたからね。
あとは「なんとなく」がほとんどでした。

正解はアでした。日本国憲法の第2章が「戦争の放棄」という章で、平和主義について書かれています。
ちなみに、第2章には第9条ただ1つだけが存在しているので、「憲法第9条」という言葉が「戦争放棄」の代名詞になることもあります。

第3章は「国民の権利及び義務」というタイトルで、基本的人権や国民の義務について約30条にわたって書かれています。

つまり、日本国憲法には ①国民主権 ②平和主義 ③基本的人権の尊重 の順に三大原理が記されている ということです。

[質問]
第1~3章には、日本国憲法の三大原理のことが書かれていました。
それでは、それに続く7つの章(4~10章)にはどんなことが書かれていると思いますか。思いつくものを挙げてみてください。

結婚や離婚,出生と死亡,税金,選挙,政党,国会,内閣,教育,警察,海上保安庁 などなどの意見が出ました。





第4章~第6章には国の3つの権力 <三権分立> のことが書かれています。
第4章:国会
第5章:内閣
第6章:司法(裁判所)

第7章は「財政」で、税金のことや国の予算のことなどが書かれています。
第8章は「地方自治」で地方公共団体(都道府県や市町村)のことが書かれています。
第9章は「改正」で日本国憲法を変更するときのことが書かれています。
第10章は「最高法規」で、憲法の違反する法律や条約は無効であることなどが書かれています。

以上のような憲法の構成が図表にされているので、それを配布して、白板にも貼りました。この図表は、埼玉県の肥沼孝治先生の製作です。
ただ、配布した資料の印刷がちょっと不鮮明になってしまったのと、前に貼ったものの大きさが小さかったのが反省点です。
(感想文ではそのことを指摘してくれた子がいました)

授業の終わりに、評価をしてもらいました。

「たのしさ」
5 6人 ******
4 4人 ****
3 1人 *
2 0人
1 0人

「わかりやすさ」
5 5人 *****
4 5人 *****
3 1人 *
2 0人 
1 0人 

大多数が5や4の評価でしたので、支持率は高く、授業は成功だったといえるのではないかと思っています。
授業は始終ざわざわした感じでしたが、良い雰囲気でできたと思います。
最後の[質問]ではたくさんのアイディアが出てきましたし。

感想をいくつか引用してみます。

● 日本国憲法について、だいたいの内容がよく分かった。問題形式でやるこ事で、意外と頭に入れることができた(たのしさ5,わかりやすさ5)

● 中3で何を勉強するのかわからなかったけど、何を勉強するのかわかってよかったです。又、クイズ形式で頭にとても入りやすかったです(たのしさ5,わかりやすさ5)

● こうやって、問題が選択する授業は初めてだったので、楽しかったし、憲法のしくみがわかりました(たのしさ4,わかりやすさ4)

● 普通に授業を聞いているより、自分で考える時間があるので、集中できて分かりやすいと思います(たのしさ4,わかりやすさ4)

● 公民の大まかなことが、特に平和主義とかそーいや9条だったとか、1章の1条は小学校でやったことだったり、少しずつ思い出しながらやっていけた(たのしさ4,わかりやすさ4)

● どの条がどの章に入っているのかがわかった(たのしさ5,わかりやすさ4)

● 発言して楽しかった(たのしさ5,わかりやすさ5)

● 今回の授業を聞いてあんまりわからなかったけど、クイズはとてもたのしかったです。憲法にはいろいろなものがあるとわかりました(たのしさ3,わかりやすさ3)

● クイズが楽しかった(たのしさ5,わかりやすさ5)

● 自分の記憶が正しかったのでよかったです!! クイズがたのしかったです。グラフの章と内容が分かりやすかったです(たのしさ5,わかりやすさ5)

● 図が見にくかった。憲法にはいろいろあった(たのしさ4,わかりやすさ4)

生徒さんたちには、この授業が「仮説実験授業」なのだということは話していないので、感想文では一様に「クイズ」と書いてます。
授業運営法はしっかりしておりますので、ご安心ください

唯一「3」の評価だった子も感想文をみると、「たのしかった」と書いてくれてますね。
板倉先生が以前に、授業のよさを、

[1] たのしくてわかる授業
[2] たのしくてわからない授業
[3] たのしくなくてわからない授業
[4] たのしくなくてわかる授業

の順にされていたと思うのですが、この中で言うと、彼女の感想は [2] にあたるわけで、問題はないということになるのでしょうね。

また、最後の感想で「図が見にくかった」とあるのは先述したとおり私の準備不足ですね。
前に掲示するなら、せめてあと2倍くらいには拡大するべきでしたし、印刷した資料も不鮮明でしたから。
せっかくの素材を殺してしまいましたので、反省です。

さて、次回からは公民の教科書を進めるわけですが、その内容はだいたい下のような感じなのです。

・ 人間の尊重と日本国憲法(主に憲法の概要,人権について学ぶ)
・ 現代の民主政治と社会(選挙,国会,内閣,裁判所,地方自治など)
・ わたしたちの暮らしと経済(消費・流通・生産,市場経済,金融,財政,福祉など)
・ 地球社会とわたしたち(国際問題,国際政治,世界平和など)

ご覧いただけばわかるように、ここに書かれている内容の多くを今回の授業では紹介することができています。
1年間かけて「公民」で勉強する内容のアウトラインは、この授業書で十分つかんでもらえたのではないかなぁと思います。
「地理」や「歴史」に比べて、生徒さんにとってはイメージがつかみにくい「公民」なので、だいたいのイメージを最初に掴んでもらえたのはかなり意義が有ったと思います。

つまり、やはりこの授業書は公民分野の導入でやるのがいちばんだというのが、私の実験結果です。

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仮説実験授業 <世界の国ぐに>第1部 の続き(完結編)

2011年03月29日 23時59分59秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
以前に記したとおり、<世界の国ぐに> で授業開きをしました。

初回は [問題6] で終わってしまったので、今日は [問題7] と [問題8] をやりました。
先回(3/15)休んでいた人が来たため、生徒さん3人での授業となりました。

授業の冒頭では、前回の内容(つまり[問題6]まで)の小テストをしました。
テストをするということは予告してあったものの、2週間経ってのテストだからどうなるかなぁと思ってましたが、受けてくれた2人とも90点を超えていました

※ ちなみに問題は下のような感じでした

1.空欄を漢字1字で埋めてください。
メルカトル図法で描かれた地図では、赤道から離れれば離れるほど、実際の面積よりも[    ]く描かれています。

2.適切なものを記号で選んでください。
 (1) スウェーデンとナイジェリアの面積比べ(授業書の問題とほとんど一緒,地図もつけた)
 (2) ロシアと中国の面積比べ(授業書の問題そのまま,地図もつけた)

3.面積の広い国を1位から6位まで挙げてください

4.人口の多い国を1位から3位まで挙げてください

5.空欄を埋めてください。(国名や地域名)
国の経済の活発さを示すGDPを調べてみると、世界の経済は[    ]と[      ]と[        ]を中心に動いているといえる。


テストを終えた後、面積と人口とGDPのランキングを一通りおさらいしてから、[問題7]へと入りました。
先回居なかった生徒さんもいますし、先回居た2人にとっても、二週間ぶりの授業になるからということで丁寧におさらいしました。

↓ 板書画像です。クリックすると大きくなります


[問題7] は GDP についての問題なのですが、[問題6]では単純にGDPの額を見たのに対して、<1人あたりのGDP> を比べてみようというものです(ただし人口1000万人以上の国に限定)。
単純にGDPを比べたのでは、人口の多い国が有利ですからね。
(中国と日本のGDPが一緒だからといって、それは経済力が一緒というわけではないのですよね。中国は日本の10倍の人口があるから)
単純なGDPの額を見ると、アメリカが世界第1位なのだということは、[問題6]ですでに確認済みなのですが、さて、生徒さんたちはどういう予想を立てたのかというと、ドイツ,日本,インド という3カ国が挙がって参りました。
ドイツとインドの子は「なんとなく」だったですね。日本の子は、「単純な額だとアメリカがトップだけど、アメリカは日本より人口が多いから、1人あたりにすると日本が勝つ」という意見でした。
正解は、アメリカなのです。やはり世界の経済の一番の中心地はアメリカなんですねぇ。

[問題8] は 貿易についての問題。日本との貿易額が多い国を予想してもらうものです。まず1位と2位を聞いてみると、アメリカと中国が人気でした。
アメリカは「工場がたくさんあるから」という理由,中国は「近いから」という理由が出てきました。2位にドイツを挙げてくれた子がいましたが、これも「工場がたくさんあるから」という理由でした。
生徒さんたちの読みがなかなか鋭くてびっくりしましたね。
確かに1位はアメリカで、2位は中国なのです。理由も言ってくれたものが核心をついているように思えます。すばらしいなぁ
3位~5位に入ってそうな国も予想してもらいました。韓国,イギリス,オーストラリア,ドイツ,インドなどが出そろいました。3人ともオーストラリアを入れていたのがおもしろかったです。理由はみんな「なんとなく」でしたが
正解は3位が韓国,4位がドイツ,5位がタイなのです。タイはなかなか出てきづらいですね。

その後、お話で、貿易黒字と貿易赤字のこととか、<貿易摩擦問題> のこととかをさらっと見て、これで第1部は終わり。

生徒さんたちの感想をご紹介いたします。

・ 予想するのが楽しかった(当たるとうれしい^_^)。でも、2004年の資料よりもっと新しいのはないのですか?? (たのしさ5,わかりやすさ4)

・ どこで貿易しているかとか知らなかったので、知れてよかったです (たのしさ4,わかりやすさ4)

・ たのしく授業をやってもらえていてたのしかった(たのしさ5,わかりやすさ5)

一番下の生徒さんが、前回休んでいた子(はじめて出会う子)です。

資料についての指摘がありました。授業書は、今出ているなかで最新の第4版(2005年発行)を使って授業したのですが、なんせ6年前のものなので、GDPとか貿易の資料が少々古かったのです。
確かに5年以上も経つと、変化もあるので、最新のデータも用意したらよかったかなぁと思いました。
それでも良い評価をしてくれたのは、感謝感激雨あられですね。

今回授業したのはとりあえず第1部だけです。本当は第2部,第3部,第4部ってあるんですが。
中1を受け持てば全部やるんですけども、中2ではなかなか全部はしんどいです。
今考えているのは、地理の「文化」についての単元で、<世界の国ぐに>の第4部(言語と国名を扱っている)と、ミニ授業書の <沖縄> をやってみたいなぁというのがあります。
どうなるかわかりませんけどね。

なんにせよ、生徒さんたちといい出会いで授業開きができて、仮説実験授業での授業開きは大成功だったかなぁと思います。
今まで5年間、授業開きで仮説をやらなかったのがすごく惜しいことのように思えますね。

もうしばらくしたら、中3の授業では <日本国憲法とその構成> をやろうと思っています(予定では4月11日かな?)。
去年も一昨年も授業にかけたのですが、今回授業する子たちは大人数で、なかなかにぎやかだったりするので、どうなるか楽しみです。


※ この記事を読まれて授業を実施されたいと思われた方、
この授業書は 世界の国ぐに(仮説社刊) に所蔵されています。
但し、仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。


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仮説実験授業 <世界の国ぐに>第1部 で授業開き

2011年03月15日 22時45分28秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
日曜日に中3の子たちとの最後の授業を終えたばかりですが、
今度は中1の子たち(来年中2になる)との出会いの授業を迎えました。

※ 私の中学生の受け持ちは、来年も中2と中3の国語と社会です。

今日は初回ということで、自己紹介をしたり、授業の方針とかをお伝えしたりしました。
そして、授業開きに、世界地理の土台というか、知識の結晶の核をつくってもらうべく、仮説実験授業の <世界の国ぐに> 第1部 を実施しました。

これまでも、合間を縫ってちょこちょこ授業書や授業プランをやってはきましたが、実は授業開きでやるのははじめてです。
今まではずっと、最初の授業は教科書でした。

中1は人数が少なくて3人なのですが、1人欠席のため、2人だけの超少人数授業でした。
中2を13名の大所帯でやっているのとは対照的です。

板書の画像を下に載せてみます。クリックすると大きくなります。





<世界の国ぐに> は2006年に塾講師を初めて以来、毎年必ずなんやかんやで授業にかけている授業書なのですが、今日は今まででいちばんゆっくり進めたかなぁと思います。
授業書には1時間40分ほど充てることができました。
当初の計画では第1部を終わらせようと思ったのですが、[問題6] まででタイムリミットとなりました。残り( [問題7] と [問題8] )は次回、教科書授業やる前にやろうと思います。

受講してくれた生徒さん2名に書いてもらった感想文を紹介します。

・ GDPのニュースはテレビとかで聞いたことがあるけど、意味があまりよくわからなかったけど、今日初めて分かった! ランキングを当てるのが楽しかった。(たのしさ4,わかりやすさ4)

・ 学校の授業では、あんまりきいてないから、くわしく教えてもらえたのでよかったです。もっと、くわしく調べてみたいと思った。(たのしさ5,わかりやすさ5)

授業をする前に、自己紹介でいろいろ話をしたんですが、上の感想を書いた子は社会は好きだが苦手(歴史が好きで興味あり)、下の感想を書いた子は社会科にはあまり興味が無くかつ苦手とのことでした。
それをふまえて感想文を読んでみると、社会科に <たのしさ> や <興味> をもってもらえたので、授業開きとしてはなかなかいい感じでできたのではないかと思います。

[問題1] や [問題2] は、<なんとなく> で予想を立てていた2人の生徒さんでしたが、[問題3] は、前の2つの問題を通して、押しつけでなく納得して受け入れた知識(メルカトル図法は赤道から離れるほど面積が誇張されるということ)をきちんと適用して予想を立てていたのが感動的でした。
授業書はよくできているなぁと改めて感じました。

[問題6] の予想ではいろいろな国が予想に上がりましたが、西ヨーロッパの国々が全く出てきませんでした。
大人にとっては常識として認識されているであろう、<世界の経済は、アメリカとEUと日本を中心に動いている> ということは、子どもたちにとっては決して常識ではないのだなぁと教えられました。
教科書授業をするときでも、<こちらが常識だと思っていることが、生徒たちにとっても常識であるとは限らない> ということを常に念頭に置いているつもりですが、さらにその認識を強めました。

この記事を読まれて授業を実施されたいと思われた方、
この授業書は 世界の国ぐに(仮説社刊) に所蔵されています。
但し、仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
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仮説実験授業・授業プラン <カタカナとひらがな>

2010年12月25日 23時45分10秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
中1と中2向けの冬期講習で、仮説実験授業の授業プラン <カタカナとひらがな> を実施しました。
出席してくれた生徒さんが3人と少なかったのですが、なかなかたのしめましたよ。

※ この授業書は 『たのしい授業』2008年11月臨時増刊号(仮説社刊) に所蔵されています。但し2010年12月現在品切れのようです…。

↓ 板書写真(クリックすると大きくなります)


以下、簡単な授業記録を記してみます。
但し仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。

[質問1]
あなたはカタカナとひらがながどのようにしてできたかを知っていますか。カタカナとひらがなは現在日本で広く使われていますが、日本と同じように漢字を使っている中国などではどうでしょう。中国や韓国,北朝鮮でもカタカナやひらがなは使われているでしょうか。

ア.日本と同じくらい使われている  0
イ.少しは使われている       1 *
ウ.まったく使われていない     2 **
エ.その他(   )        0

予想が2つに分かれました。
「何か理由があれば、もしよかったら教えてください」と聞いたけど、特に発言は無し。
まぁ、『なんとなく』ということでしょうかね?
正解は“ウ”でした。多数派が正解となりました。

[おはなし1] 
質問1に続いておはなしがあります。講師(私)がゆっくり読みました。内容は下のような感じ。

・ 「カタカナ」や「ひらがな」は日本だけのもの
・ 「カタカナ」や「ひらがな」は漢字をもとに日本人がつくりあげた文字
・ 漢字がカタカナやひらがなに姿を変えていったようすをのぞいてみよう!

引き続いてカタカナのでき方について、“アイウエオ”を例に示して簡単に説明がされているので、これも読みました。
結局以下のことがわかります。

・ 漢字のある一部分をとりあげてカタカナにしている

[問題1]
次の漢字からはどのようなカタカナが生まれたと思いますか。あなたの予想を右の四角の中に書いてごらんなさい。

問題については掲載しませんが、示された漢字からどんなカタカナが生まれたかを考えてもらいました。
変化の中間の状態が描かれているので、わりと予想しやすかったようです。
見て回ったら(教員用語で言うところの“机間巡視”??)、みんな正しく予想できていました。

[問題2]
今度は逆に、そのカタカナのもとになった漢字を予想してみましょう。点線で囲まれた○の中には、カタカナになる時に消えた部分があります。□の中に元の字を書いてみましょう。

これも問題を載せませんが、板書画像から見ることができます。
「もとになった漢字と、できあがるカタカナの読みは一緒になるから、それもヒントにしてみてね」と助言はしましたが、正しく予想できていました。

[作業1]
左上の漢字と見比べながらカタカナ48文字を書き入れ、下の表を完成させましょう。

カタカナともとになった漢字の対応表を、50音表の形式でつくってもらいました。
以後は、この表をつかって、漢字をカタカナになおせるわけです。

[研究問題1]
つぎの文の漢字を全てカタカナに直し、下に書いてごらんなさい。なんと書いてあるのかわかりますか?

以下のように漢字の当て字で書かれた簡単な文を、先ほどの作業でつくってもらった50音表を見ながらカタカナに直してもらいます。
読者のみなさんも(表がないからむつかしいですが)よかったらトライしてみてください。解答はこの記事の一番後ろにつけておきます。
今回授業を受けてくれた生徒さんは、「めんどくさい」とかいいながらもカタカナに直してくれて、よくできてました。

(1) 幾乃宇 八 阿女。

(2) 三尓奈 加散乎 散之万之多。

(3) 阿之多 八 久毛利

(4) 己止利多千 八 祢牟利万須。

(5) 散伊多 散伊多 己須毛須 散伊多。

----------------------------------------

カタカナはここまでで、ひらがなへ話は移ります。
ひらがなのでき方が“あいうえお”を例に説明されていて、

・ ひらがなの場合は、カタカナのように漢字の一部をとりあげるというのではなくて、漢字全体をくずして書いていく中でできあがってきた

ということがわかります。

[問題3]
次の漢字からはどのようなひらがなが生まれたと思いますか。あなたの予想を右の四角の中に書いてごらんなさい。

問題は省略です。よろしければ板書画像をごらんください。

漢字の一部分を取り出してきたカタカナに対して、漢字をくずしてしまっているひらがなは、より予想を立てるのがむつかしいようです。
それでも、「描かれているくずし途中の状態の図」と、「もとの漢字とできるひらがなの読みは同じ」というところをとっかかりになんとか予想を立ててくれました。
おおむねよくできていました。

[問題4]
今度は逆に、そのひらがなのもとになった漢字を予想してみましょう。これは少しむつかしいので、先生にヒントを出してもらいましょう。

問題は省略。よろしければ板書画像をごらんください。

問題文にも書かれているように、これはなかなかにむつかしいです。
一応くずす中間のものも書かれているのですが、モノによってはけっこう強引なくずし方をしてたりするので、むつかしいですね。
いろいろヒントを出したりして、みんなで一緒に考えました。

[作業2]
左上の漢字と見比べながらひらがな48文字を書き入れ、下の表を完成させましょう。

カタカナのときと同様、ひらがなともとになった漢字の対応表を、50音表の形式でつくってもらいました。

[研究問題2]
つぎの文の漢字を全てひらがなに直し、下に書いてごらんなさい。なんと書いてあるのかわかりますか?

以下のように漢字の当て字で書かれた簡単な文を、先ほどの作業でつくってもらった50音表を見ながらひらがなに直してもらいます。
読者のみなさんも(表がないからむつかしいですが)よかったらトライしてみてください。解答はこの記事の一番後ろにつけておきます。
生徒さんたちはややめんどくさがりながらも、表をみながらひらがなになおしてくれました。
「ひらがなやカタカナがなかったころは、こういう風に全部漢字で書いてたんやで。万葉集とかも」という話もさらっとしましたが、きっとひらがなやカタカナがあることのありがたさを感じてくれたことでしょう…。

(1) 和太之 波 安奈太 遠 安以之天留

(2) 安奈太 毛 和太之 遠 安以之天留

(3) 不太利 波 己宇衣无 遠 安留幾末寸

(4) 天 止 天 遠 川奈以天 安留幾末寸

(5) 知以左 奈 己以 乃 毛乃加太利


[おはなし2]
最後のまとめのお話しです。要点を箇条書きで記しておきます。

・ カタカナは「片仮名」,ひらがなは「平仮名」
・ 「仮名」には“まにあわせの文字”という意味がある。
  (対して漢字を“本当の文字”という意味で「真名」ともよぶ)
・ 「片」は“一部分”という意味。つまり「片仮名」は“漢字のある一部分をとってつくった仮名”という意味。
・ 「平」は“かんたんな”という意味。つまり「平仮名」は“漢字をかんたんな形にくずしてつくった文字”という意味。
・ カタカナもひらがなも平安時代にはほぼ今の形にできあがっていた
・ できたばかりのころは、主に男性は漢字とカタカナを使い、女性はひらがなを使っていたが、やがてそういう習慣はなくなっていき、現在のように仮名と漢字を適当に混ぜながら文章を書くようになった。
・ 現在はひらがなが中心で、カタカナは外来語や擬音語くらいにしか使わないが、第2次大戦以前は、文章が漢字とカタカナだけで書かれることも多かった。

(終わり)

最後に評価と感想をとりました。

□ 評価
 5 とってもたのしかった       1人 *
 4 まあまあたのしかった       2人 **
 3 たのしくもつまらなくもなかった  0人
 2 ちょっとつまらなかった      0人
 1 すごくつまらなかった       0人

□ 感想
「おもしろかった。カタカナに直して読んだりひらがなに直して読むのは楽しいけどめんどくさい」(評価4・中2女子)

「カタカナとひらがなができても漢字は必要だなと思った。昔の人は、逆に、すごいなと思った」(評価5・中2女子)

「カタカナは、だいたい漢字からもどすこともできるけど、ひらがなは、漢字にもどすのがむずかしかったです」(評価4・中1男子)


いつもの国語の授業なんて、怖くて感想なんか取れやしないけど、今回の授業はこんなに高評価。
私自身が <カタカナとひらがな> を授業にかけるのは初めてだったけど、授業しててすごく楽しかったし、生徒さんもたのしんでくれたのでよかったですわ。
そんなに盛り上がる授業プランではないけど、終わったあとにすごく充実感のあるプランだなぁと私は思いました。
こういう内容って、なかなか授業する機会が無い内容なので、こういう機会(冬期講習)でやれてよかったです。
ぜひまたどこかで機会をつくって授業したい

記事はこれで終わりですが、研究問題の答えを下に載せておきますね。

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[研究問題1] の解答
(1) キノウ ハ アメ
(2) ミンナ カサヲ サシマシタ
(3) アシタ ハ クモリ
(4) コトリタチ ハ ネムリマス
(5) サイタ サイタ コスモス サイタ

[研究問題2] の解答
(1) わたし は あなた を あいしてる
(2) あなた も わたし を あいしてる
(3) ふたり は こうえん を あるきます
(4) て と て を つないで あるきます
(5) ちいさ な こい の ものがたり

仮説実験授業 <世界の国ぐに> 第1部

2010年08月04日 17時45分26秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
中1と中2の合同授業で、仮説実験授業 <世界の国ぐに> の第1部を実施しました。

※ この授業書は 世界の国ぐに(仮説社刊) に所蔵されています。





以下、簡単な授業記録を記してみます。
但し仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
世界の国ぐに(仮説社刊) をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。


(随時更新予定)

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仮説実験授業・ミニ授業書 <日本国憲法とその構成>

2010年07月05日 13時56分45秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
中3の授業で久々の仮説実験授業をやりました。
ミニ授業書の <日本国憲法とその構成> です。

※ このミニ授業書は、入門・日本国憲法と三権分立(仮説社刊) に所蔵されています。

↓ 板書の画像です。クリックすると大きくなります。


以下、簡単な授業記録を記してみます。
但し仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
入門・日本国憲法と三権分立(仮説社刊) をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。

[問題1]
日本国憲法は第1条,第2条,… というふうに、<条文> という一連の文章から成り立っています。
それでは、この憲法はいったいどれくらいの条文から成り立っていると思いますか。予想してみてください。

予想
ア.10条くらい   0 
イ.50条くらい   0 
ウ.100条くらい  6 ******
エ.200条以上   0

みんなウになりました。
理由としては、「なんとなく」,「100はキリがいい」,「50では少ないし200は多すぎる」,「試験勉強の時に98条かなんかを見た覚えがある」などがありました。
(4月から6月にかけて教科書の『日本国憲法と基本的人権』の単元を実施済みで、多くの生徒の期末試験の範囲でした)

正解はウ。日本国憲法は103条からなっています。

[問題2]
日本国憲法は、100条ほどの条文を、内容によって <章> と呼ばれるまとまりに分けています。
それでは、いくつくらいの章に分けられていると思いますか。

予想
ア.5章くらい   0 
イ.10章くらい  6 ******
ウ.20章くらい  0 

これもみんなイになりました。
理由としては、「なんとなく」,「真ん中だから」など。

正解はイ。日本国憲法には11章まであります。

[問題3]
日本国憲法は、「約10章,約100条から成り立っている」ともいえます。
では、 <章> によって、そこに含まれる <条> の数には、大きな違いがあると思いますか。

予想
ア.1章につき、だいたい10条程度で、特にかたよりはない。
イ.ある章は1条だけだったり、またある章は20条以上あったりと、章によってかたよりがある。

予想分布
ア 1 *     ↓ 0 
イ 5 *****   6 ******

最初アを選んだ生徒がいましたが、すぐにイに変更しました。
これといった根拠は無かったみたいです。
結局、全員イということになりました。
理由としては「なんとなく」,「テスト勉強したとき短い章があった覚えがある」など。

正解はイ。一番短い章は1条だけですし、一番長い章は30条以上あります。

ここで、「日本国憲法の三大原理」が紹介されます。

三大原理 → 国民主権,平和主義,基本的人権の尊重

生徒たちにとってはすでに教科書で学習して、テストに必出だからと覚え込まされた内容なので、さらりと復習しました。

[問題4]
それでは、日本国憲法の第1章第1条には、どんなことが書かれていると思いますか。

予想
ア.国民主権のこと     4 ****
イ.平和主義のこと     0
ウ.基本的人権の尊重のこと 0
エ.天皇のこと       6 ******
オ.内閣のこと       0
カ.その他         0

複数選択可能にしたところ、アとエに両方挙げた人が4人,エのみに挙げた人が2人でした。
日本国憲法の第1条はよく定期テストに出題されるんです。
そういういうこともあって、私の授業でも絶対覚えるようにと何度か教え込みましたし、期末テストが終わったばかりということもあって、頭の中にまだ知識が残っていたのでしょう。

正解は アとエです。
第1条には、天皇が日本国と日本国民統合の象徴であること、国民が主権者であることが書かれています。

[問題5]
それでは、三大原則のもう1つ、<平和主義> は第何章に出てくると思いますか。

予想
ア.第2章     0 
イ.第3章     6 ******
ウ.第4~6章   0
エ.第7~11章  0

全員がイを選びました。
授業者の私から、「それやったら第2章にはなにが書いてあるんやと思う?」と聞いてみると、「基本的人権に関すること」という意見が出ました。
教科書では、日本国憲法の三大原理は、①国民主権 ②基本的人権の尊重 ③平和主義 の順番に書かれていて、私も教科書授業のときはそういう風に教えたので、その影響でしょうかね。

正解はアでした。日本国憲法の第2章が「戦争の放棄」という章で、平和主義について書かれています。
ちなみに、第2章には第9条ただ1つだけが存在しているので、「憲法第9条」という言葉が「戦争放棄」の代名詞になることもあります。

第3章は「国民の権利及び義務」というタイトルで、基本的人権や国民の義務について約30条にわたって書かれています。
つまり、日本国憲法には ①国民主権 ②平和主義 ③基本的人権の尊重 の順に三大原理が記されているということです。

[質問]
第1~3章には、日本国憲法の三大原理のことが書かれていました。
それでは、それに続く7つの章(4~10章)にはどんなことが書かれていると思いますか。思いつくものを挙げてみてください。

教育,福祉,税金,労働,犯罪関係,都道府県,領域(領土・領空・領海)などの意見が出ました。

第4章~第6章には国の3つの権力 <三権分立> のことが書かれています。
第4章:国会
第5章:内閣
第6章:司法(裁判所)

第7章は「財政」で、税金のことや国の予算のことなどが書かれています。
第8章は「地方自治」で地方公共団体(都道府県や市町村)のことが書かれています。
第9章は「改正」で日本国憲法を変更するときのことが書かれています。
第10章は「最高法規」で、憲法の違反する法律や条約は無効であることなどが書かれています。

授業の終わりに、評価をしてもらいました。

「たのしさ」
5 4人 ****
4 1人 *
3 1人 *
2 0人
1 0人

「わかりやすさ」
5 4人 ****
4 1人 *
3 1人 *
2 0人 
1 0人 

感想をいくつか引用してみます。

● 憲法は103条で11章だと分かったので、勉強になりました。あと、1章は国民主権,2章は平和主義,3章は基本的人権の尊重ということもおぼえられたのでよかった。

● 憲法のことが楽しく学べた。表がみやすかった。
(表とは最後のページについている[作業]のところのだと思います)

● イラストが付いてて和やかな気持ちになった!!!

● クイズみたいだった。

● 最後の問題がむずかった。

● 日本国憲法の事が知れてよかった。でもプリントの枚数が多いので、もっとecoで紙を大切に使って欲しかったです。
(仮説はどうしても紙を消費しますよね…。続きが読めてしまうと困りますので小分けに配らないといけないし…)

反省としては、やっぱり4月にこの授業をやればよかったなぁと思いました。
諸事情でこの時期になったんですが、教科書で日本国憲法や基本的人権について散々学んだあとだったし、期末試験でちょうどそのあたりが試験範囲だったので、けっこうみんな知識が残っていて、予想分布が偏ってしまいました。
もし4月にやっていたらどうだったかということに少し興味があります。

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