授業者日記

バファローズ・スワローズのことや授業のことについて書いていました(現在は定期更新停止中)

仮説実験授業 《 2倍3倍の世界 》 と、体積3乗の法則

2015年11月03日 22時13分12秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
仮説実験授業の授業書《 2倍3倍の世界 》は、主に“相似”をテーマとしています。
科学の授業書の多くと同じように、「選び抜かれた問題を提示し、各々が仮説を立てて発表したうえで討論をし、最終的には実験で決着を付ける」という展開になっています。
その中で、相似比やコピー機の倍率のこと,“面積2乗の法則”や“体積3乗の法則”のことなどを、楽しく学べるように作られています。

現在の教育課程では、中学校3年生で相似を学習するのが一般的です。
(小学校でも高学年で、図形の拡大・縮小について簡単に学ぶ単元があるようです)
《 2倍3倍の世界 》で授業をした場合、教科書通り学ぶよりも格段に楽しく印象深く学ぶことができて、世界をグッと広げることができるのではないかと、そんなことを思います。

《 2倍3倍の世界 》は、単行本 『実験できる算数・数学』(出口陽正著,仮説社刊) の中に掲載されています。

私も、中学生と一緒にこの授業書(4部構成のうち、最後の第4部だけですが)を楽しむ機会がありました。
2回にわたった授業はグダグダになってしまったのですが、感想をとってみると、圧倒的に「5:とてもたのしかった」が多くて、想定外の高評価でした。分からないものですね……。
「見た目と事実の違いに驚いた。」 とか、「予想外の結果に驚いた。」 とか、「実感がわいた。」 とか、「実体験があったので分かりやすかった。」 とか、そんな感想をもらうと嬉しいですね

以下、簡単に授業のことを記してみます。
実験結果なども書かれていますので、ご注意下さい。

なお、仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、
『実験できる算数・数学』(出口陽正著,仮説社刊) をお買い求めの上、
仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。
また、実験のための道具が何点か必要となります。



【1時間目】

■ 三角錐の実験

アクリルの三角錐を2つ用意して、一方の半分まで水を満たして他方へ移すという作業を繰り返すとき、何杯でいっぱいになるかという問題。
見た目でいくと、4~6くらいになりそうなのですが、きちんと8杯入ります。


■ 計量カップの実験

大きな計量カップと小さな計量カップがあります。直径は大が80mmで小が40mmです。高さは大が40mmで小が25mmです。小さい方を水で満たして大きい方へ移すという作業を繰り返すとき、何杯でいっぱいになるかという問題。
こちらは見た目でいくと、15杯や20杯は入りそうに見えるのですが、8杯しか入りません。


■ 体積3乗の法則 / 捉えにくい量 体積

相似な立体の体積比は、相似比の3乗で決まります。
三角錐と計量カップの実験の結果は、“体積3乗の法則” で考えればどちらも「8」に決まっているし、それが当たり前なのですが、体積という量は人間にとっては捉えにくい量で、理論と直感にかなりズレが出てきてしまうということを実感できます。だからこそ、法則が必要であり、理論が大切なのだということもいえそうです。


【2時間目】

■ アリとノミの話

仮に私たちの身長が10分の1になったとき、体重は “体積3乗の法則” により1000分の1になります。
そして、持ち上げられる重さの限界値は、筋肉の太さで決まるので、“面積2乗の法則”より 100分の1になります。
例えば、身長180cm,体重60kgの人が、身長18cmのコビトになったとき、体重は60gになります。
そして、この人がもともと50kgのものを持てたとすると、コビトになったとは500gまで持てます(体重は60gしかないのに)。
この差があるため、アリは力持ちで、ノミは跳躍力が凄まじいのです。


■ ガリバーとコビトの話

恒温動物は、体温を維持するために食事をする必要があります。失われる熱量は身体の表面積で決まります。
身長がガリバーの12分の1であるコビトは、ガリバーの144分の1の食料で生きていくことができます。
ところが、コビトの胃袋の容積はガリバーの1728分の1しかありません。
そのため、コビトはガリバーの12倍のピッチで食べ続ける必要があります。
サイズをどんどん小さくしていくと、やがて一日中食べ続けても無理になります。それが、恒温動物の小ささの限界です。

【 生徒の評価 】

3クラスの生徒たちの評価(たのしさ)は、以下の通りでした。
「5:とてもたのしかった」  71人(62%)
「4:たのしかった」     25人(22%)
「3:どちらともいえない」  13人(11%)
「2:つまらなかった」     2人( 2%)
「1:とてもつまらなかった」  3人( 3%)





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