授業者日記

バファローズ・スワローズのことや授業のことについて書いていました(現在は定期更新停止中)

仮説実験授業・授業プラン <カタカナとひらがな>

2010年12月25日 23時45分10秒 | 仮説実験授業とその周辺の“たのしい授業”
中1と中2向けの冬期講習で、仮説実験授業の授業プラン <カタカナとひらがな> を実施しました。
出席してくれた生徒さんが3人と少なかったのですが、なかなかたのしめましたよ。

※ この授業書は 『たのしい授業』2008年11月臨時増刊号(仮説社刊) に所蔵されています。但し2010年12月現在品切れのようです…。

↓ 板書写真(クリックすると大きくなります)


以下、簡単な授業記録を記してみます。
但し仮説実験授業の進め方にはいくつかの約束事があります。
もしご自分で授業を実施されたい方は、仮説実験授業のABC(仮説社刊)仮説実験授業をはじめよう(仮説社刊) などで授業運営法を確認してから実施してくださるようお願いします。

[質問1]
あなたはカタカナとひらがながどのようにしてできたかを知っていますか。カタカナとひらがなは現在日本で広く使われていますが、日本と同じように漢字を使っている中国などではどうでしょう。中国や韓国,北朝鮮でもカタカナやひらがなは使われているでしょうか。

ア.日本と同じくらい使われている  0
イ.少しは使われている       1 *
ウ.まったく使われていない     2 **
エ.その他(   )        0

予想が2つに分かれました。
「何か理由があれば、もしよかったら教えてください」と聞いたけど、特に発言は無し。
まぁ、『なんとなく』ということでしょうかね?
正解は“ウ”でした。多数派が正解となりました。

[おはなし1] 
質問1に続いておはなしがあります。講師(私)がゆっくり読みました。内容は下のような感じ。

・ 「カタカナ」や「ひらがな」は日本だけのもの
・ 「カタカナ」や「ひらがな」は漢字をもとに日本人がつくりあげた文字
・ 漢字がカタカナやひらがなに姿を変えていったようすをのぞいてみよう!

引き続いてカタカナのでき方について、“アイウエオ”を例に示して簡単に説明がされているので、これも読みました。
結局以下のことがわかります。

・ 漢字のある一部分をとりあげてカタカナにしている

[問題1]
次の漢字からはどのようなカタカナが生まれたと思いますか。あなたの予想を右の四角の中に書いてごらんなさい。

問題については掲載しませんが、示された漢字からどんなカタカナが生まれたかを考えてもらいました。
変化の中間の状態が描かれているので、わりと予想しやすかったようです。
見て回ったら(教員用語で言うところの“机間巡視”??)、みんな正しく予想できていました。

[問題2]
今度は逆に、そのカタカナのもとになった漢字を予想してみましょう。点線で囲まれた○の中には、カタカナになる時に消えた部分があります。□の中に元の字を書いてみましょう。

これも問題を載せませんが、板書画像から見ることができます。
「もとになった漢字と、できあがるカタカナの読みは一緒になるから、それもヒントにしてみてね」と助言はしましたが、正しく予想できていました。

[作業1]
左上の漢字と見比べながらカタカナ48文字を書き入れ、下の表を完成させましょう。

カタカナともとになった漢字の対応表を、50音表の形式でつくってもらいました。
以後は、この表をつかって、漢字をカタカナになおせるわけです。

[研究問題1]
つぎの文の漢字を全てカタカナに直し、下に書いてごらんなさい。なんと書いてあるのかわかりますか?

以下のように漢字の当て字で書かれた簡単な文を、先ほどの作業でつくってもらった50音表を見ながらカタカナに直してもらいます。
読者のみなさんも(表がないからむつかしいですが)よかったらトライしてみてください。解答はこの記事の一番後ろにつけておきます。
今回授業を受けてくれた生徒さんは、「めんどくさい」とかいいながらもカタカナに直してくれて、よくできてました。

(1) 幾乃宇 八 阿女。

(2) 三尓奈 加散乎 散之万之多。

(3) 阿之多 八 久毛利

(4) 己止利多千 八 祢牟利万須。

(5) 散伊多 散伊多 己須毛須 散伊多。

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カタカナはここまでで、ひらがなへ話は移ります。
ひらがなのでき方が“あいうえお”を例に説明されていて、

・ ひらがなの場合は、カタカナのように漢字の一部をとりあげるというのではなくて、漢字全体をくずして書いていく中でできあがってきた

ということがわかります。

[問題3]
次の漢字からはどのようなひらがなが生まれたと思いますか。あなたの予想を右の四角の中に書いてごらんなさい。

問題は省略です。よろしければ板書画像をごらんください。

漢字の一部分を取り出してきたカタカナに対して、漢字をくずしてしまっているひらがなは、より予想を立てるのがむつかしいようです。
それでも、「描かれているくずし途中の状態の図」と、「もとの漢字とできるひらがなの読みは同じ」というところをとっかかりになんとか予想を立ててくれました。
おおむねよくできていました。

[問題4]
今度は逆に、そのひらがなのもとになった漢字を予想してみましょう。これは少しむつかしいので、先生にヒントを出してもらいましょう。

問題は省略。よろしければ板書画像をごらんください。

問題文にも書かれているように、これはなかなかにむつかしいです。
一応くずす中間のものも書かれているのですが、モノによってはけっこう強引なくずし方をしてたりするので、むつかしいですね。
いろいろヒントを出したりして、みんなで一緒に考えました。

[作業2]
左上の漢字と見比べながらひらがな48文字を書き入れ、下の表を完成させましょう。

カタカナのときと同様、ひらがなともとになった漢字の対応表を、50音表の形式でつくってもらいました。

[研究問題2]
つぎの文の漢字を全てひらがなに直し、下に書いてごらんなさい。なんと書いてあるのかわかりますか?

以下のように漢字の当て字で書かれた簡単な文を、先ほどの作業でつくってもらった50音表を見ながらひらがなに直してもらいます。
読者のみなさんも(表がないからむつかしいですが)よかったらトライしてみてください。解答はこの記事の一番後ろにつけておきます。
生徒さんたちはややめんどくさがりながらも、表をみながらひらがなになおしてくれました。
「ひらがなやカタカナがなかったころは、こういう風に全部漢字で書いてたんやで。万葉集とかも」という話もさらっとしましたが、きっとひらがなやカタカナがあることのありがたさを感じてくれたことでしょう…。

(1) 和太之 波 安奈太 遠 安以之天留

(2) 安奈太 毛 和太之 遠 安以之天留

(3) 不太利 波 己宇衣无 遠 安留幾末寸

(4) 天 止 天 遠 川奈以天 安留幾末寸

(5) 知以左 奈 己以 乃 毛乃加太利


[おはなし2]
最後のまとめのお話しです。要点を箇条書きで記しておきます。

・ カタカナは「片仮名」,ひらがなは「平仮名」
・ 「仮名」には“まにあわせの文字”という意味がある。
  (対して漢字を“本当の文字”という意味で「真名」ともよぶ)
・ 「片」は“一部分”という意味。つまり「片仮名」は“漢字のある一部分をとってつくった仮名”という意味。
・ 「平」は“かんたんな”という意味。つまり「平仮名」は“漢字をかんたんな形にくずしてつくった文字”という意味。
・ カタカナもひらがなも平安時代にはほぼ今の形にできあがっていた
・ できたばかりのころは、主に男性は漢字とカタカナを使い、女性はひらがなを使っていたが、やがてそういう習慣はなくなっていき、現在のように仮名と漢字を適当に混ぜながら文章を書くようになった。
・ 現在はひらがなが中心で、カタカナは外来語や擬音語くらいにしか使わないが、第2次大戦以前は、文章が漢字とカタカナだけで書かれることも多かった。

(終わり)

最後に評価と感想をとりました。

□ 評価
 5 とってもたのしかった       1人 *
 4 まあまあたのしかった       2人 **
 3 たのしくもつまらなくもなかった  0人
 2 ちょっとつまらなかった      0人
 1 すごくつまらなかった       0人

□ 感想
「おもしろかった。カタカナに直して読んだりひらがなに直して読むのは楽しいけどめんどくさい」(評価4・中2女子)

「カタカナとひらがなができても漢字は必要だなと思った。昔の人は、逆に、すごいなと思った」(評価5・中2女子)

「カタカナは、だいたい漢字からもどすこともできるけど、ひらがなは、漢字にもどすのがむずかしかったです」(評価4・中1男子)


いつもの国語の授業なんて、怖くて感想なんか取れやしないけど、今回の授業はこんなに高評価。
私自身が <カタカナとひらがな> を授業にかけるのは初めてだったけど、授業しててすごく楽しかったし、生徒さんもたのしんでくれたのでよかったですわ。
そんなに盛り上がる授業プランではないけど、終わったあとにすごく充実感のあるプランだなぁと私は思いました。
こういう内容って、なかなか授業する機会が無い内容なので、こういう機会(冬期講習)でやれてよかったです。
ぜひまたどこかで機会をつくって授業したい

記事はこれで終わりですが、研究問題の答えを下に載せておきますね。

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[研究問題1] の解答
(1) キノウ ハ アメ
(2) ミンナ カサヲ サシマシタ
(3) アシタ ハ クモリ
(4) コトリタチ ハ ネムリマス
(5) サイタ サイタ コスモス サイタ

[研究問題2] の解答
(1) わたし は あなた を あいしてる
(2) あなた も わたし を あいしてる
(3) ふたり は こうえん を あるきます
(4) て と て を つないで あるきます
(5) ちいさ な こい の ものがたり


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カタカナとひらがな (肥さん)
2010-12-31 19:55:45
この授業プランは,私も平安時代のところで
やってみたいと思っています。
授業記録をありがとうございます。
返信する
肥さんへ (DFT24)
2010-12-31 20:31:06
肥さん、こんばんは!
コメントありがとうございます☆

冬期講習では中1と中2の合同授業が1日だけ入っていて、いつもの授業とメンバーが違う(いつも教えない中1が来るし、逆に中2でも来ない子もいる)ために、内容をどうしようかといろいろ考えていました。
120分では授業書はむつかしいし、何か短く出来るプランはないかなぁと思って、これを選びました。
科目が「国語&社会」ということになっているので、ちょうどいいかとも思いまして(両科目にまたがる内容ですし)。

本当は7人くらい来るはずが実際は3人で、人数が少なかったのでサンプル数としては少ないですが、お役に立てれば幸いです。

2003年の高専時代、幸田正孝先生の「地理」で出会った仮説。
初めは幸田先生の見よう見まねでやっていましたが、だんだん板についてきたかなぁと思っています。
普段はなかなかやれないのですが、機会をみつけていろいろやっていきたいです。
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