沖縄・伝統文化

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第三回・古謝弘子独演会

2006-06-03 18:40:11 | 舞台公演
宮城流朱之会・古謝弘子会主が三回目の独演会を行いました。古謝弘子会主は幼少の頃から宮城美能留氏に師事、芸歴50年を誇る沖縄県伝統舞踊保持者ですが、10年を節目に独演会を開くという、たゆまぬ研鑽を続ける舞踊家の一人です。また、宮城流美能留会・早苗、園美両家元はあいさつ文のなかで、「幼い頃に目にした、師である宮城美能留(父)との稽古風景は、息をのむような緊迫した中で行われていたことが、今でも脳裏に焼き付いています」と紹介しています。
今回は「し情七彩・古典七踊」をテーマにして、古典・女七踊を一人で演じる大舞台です。出演者も、地謡に島袋正雄氏、照喜名朝一氏の人間国宝はじめ、富川盛良氏、新垣万善氏、松田健八氏、前川朝文氏、中村一雄氏、司会と幕間の解説者として上原直彦氏、三隅治雄氏、崎間麗進氏など、めったに見られない豪華な顔ぶれです。なお、舞台の写真はすべて古謝弘子会主の許可を得て撮影したものです。

古典・女七踊りの幕開けは「柳(やなじ)」、花篭を持って登場し、一曲目の中城ハンタ前節にあわせて踊ります。続いて二曲目は、柳節・「柳は緑 花は紅 人は唯情 梅は匂ひ」の歌詞にあわせて、小道具の柳の枝をさっと投げかけるように伸ばします。

古典・女踊りのなかでもよく知られている「かせかけ」ですが、よどみなく流れるような所作はもちろん、なにげないしぐさの一つ一つにも弘子先生ならではの細やかさが表現されています。

この日のために用意された衣装のなかでも一際目をひいた知念績元氏作のフク木染め、黄色地の薄衣装を羽織って「作田(ちくてん)」を踊ります。見るからに涼しげで繊細な黄色地の衣装は、別名団扇踊りともいわれる「作田」を一層引き立てました。

古典・女踊のなかでも最も難度が高いといわれる「諸屯(しゅどん)」、古典舞踊はその所作と様式が厳格に定められていますが、限られているとはいえ、踊り手の個性や思い入れがあらわれるものです。解説者の三隅治雄氏の言を借りれば、「古謝弘子会主の人生の思いが込められている」諸屯です。

「約束やしちょてぃ 二十日夜ぬ月ぬよ 上がるまでぃ わね待たちよ」
結びの演目は創作舞踊「ナークニー汀間当(てぃーまーとぅ)」、師匠・宮城美能留氏が弘子会主のために創作した創作舞踊です。前半部は秘めた恋心を唄う「ナークニー」に合わせて静かに踊り、後半部には賑やかな「汀間当(てぃーまーとぅ)」に合わせて踊る村娘の情熱を表現します。実のところ、古謝弘子先生は動きの激しい雑踊りの娘踊(あんぐわーもーい)をも得意としており、いくつものオハコ芸を持っています。


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