沖縄・伝統文化

沖縄の伝統行事や伝統芸能・民俗芸能などを紹介するブログです。
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那覇市辻・二十日正月

2006-02-26 15:05:22 | 行事
旧暦一月二十日は二十日正月(はちかそーぐわち)と呼ばれ、かつて遊郭があった那覇市辻町ではジュリ馬行列などの新年行事が行われます。今年の旧暦一月二十日は二月十七日だったのですが、当日は拝所での神事のみが行われ、二十日正月の奉納芸能は26日に披露されました。また、本来は辻町一帯で道ジュネー(練り歩き)が行われるのですが、この日はあいにくの雨、辻町の料亭「那覇」の座敷で奉納芸能が演じられました。

奉納芸の幕開けは、ミルク様と獅子が登場します。大きな団扇を持っていて、両脇には袖持ちの娘がつき従っています。

沖縄の獅子舞いは通常、お盆や十五夜祭りなどの際に邪気払いとして演じられるものです。また、地域によっては獅子が二頭で登場する場合もあります。辻町の獅子は一頭だけですが、ワクヤーと呼ばれるけしかけ役も登場し、獅子をけしかけては芸をさせます。

祝儀舞踊のなかでもひときわ華やかな通称「四つ竹」の演舞が始まりました。

民謡・「ジュリ馬の由来」に振りをつけた踊りです。尾類(ジュリ)とは、遊郭で働いていた遊女のことです。

最後に披露された「ジュリ馬」、本来は紅型衣装に馬型を着けた若い女性たちが「ユイユイユイユイ」とかけ声をかけながら大集団で辻町一帯を練り歩くものです。ただし、このジュリ馬行列には、その由来ゆえに賛否両論あって、公的な行事としては実施しにくい状況にあり、辻町の町内会組織が独自に実施しているようです。

組踊・二童敵討

2006-02-12 19:20:46 | 舞台公演
野村流音楽協会具志川支部主催の組踊・舞踊地謡研修部発表会の舞台から、組踊「二童敵討」をご紹介します。三線の古典音楽奏者にとって、舞踊や組踊の地謡をつとめることが最終目標の一つだと思います。この高度な演奏技量を維持・育成するため、定期的に研修部発表会が行われているのです。当日の組踊の舞台から親泊久玄先生(国指定組踊技能保持者)の許可を得て撮影した画像でご紹介します。

中城城主護佐丸を攻め滅ぼして、もはや向かうところ敵なしとなった勝連按司あまおへは、野遊びに出かける用意を供に命じます。親泊久玄先生演じる勝連の按司あまおへが登場するやいなや、迫力ある七目付けを演じますが、画像は「ゆかる日ゆ選でぃ まさる日ゆ選でぃ 首里戦すらに 那覇戦すらに」と唱える場面です。

一方、中城城主護佐丸の遺児鶴松と亀千代は、母親に決死の覚悟で父の仇討ちを決意したことを告げます。母親との別れの場面ですが、伊野波節の伴奏にのせてかなり長く演じられる場面でもあります。勇壮なストーリーが多い組踊ではありますが、実はこうした母子の別れなど、惜別の情を表現する場面こそが長く演じられるのです。

あまおへが野遊びに出ていることを聞きつけた鶴松と亀千代は、踊り子に扮してあまおへの野遊びの宴にうまく潜り込み、舞を披露してあまおへに取り入ります。
画像は兄弟があまおへと供の者たちに酒のお酌をして、酔わせてしまう場面です。

すっかり酔いがまわって上機嫌のあまおへは、兄弟の踊りの褒美として、刀や帯、着物まで与えてしまいます。

踊りながら、下帯姿になってしまったあまおへに迫る機会をうかがう兄弟は、ついに名乗りをあげてあまおへを討ち取ります。画像はあまおへに迫る兄弟の場面です。一般的に、組踊では討ち取るシーンや戦闘シーンそのものは表現されず、幕外でおこなわれます。この後、敵を討ち取った兄弟は、やりこのしぃ節(歌詞はかじゃでぃ風)とともに喜びの舞いを舞いながら帰っていきます。

沖縄国際洋蘭博覧会

2006-02-04 11:24:54 | Weblog
沖縄海洋博記念公園・熱帯ドリームセンターで開催される「沖縄国際洋蘭博覧会」へいってきました。洋蘭栽培業者や愛好家が手塩にかけて育てた蘭の花を展示・即売している会場は蘭の甘い香りで満ちていました。

温室内の華やかな蘭の花です。暖かく湿度の高い温室に入った途端、カメラのレンズが曇ってしまいましたが、ちょうどソフトフォーカスレンズのような幻想的な雰囲気になったところをそのまま撮影しました。

洋蘭博覧会事務局はかねてから蘭栽培の盛んなタイ国とも交流が深く、この日もタイ国の舞踊団が特設舞台でタイ舞踊を披露してくれました。
タイ農村の舞踊「フォーンポーンラーン」という舞踊ですが、踊り方と衣装からすると、タイ東北部・イサーンの農民踊りのようです。ケーン(笙)とポーンラーンという木琴の音色が入り交じったリズムと沖縄のカチャーシーにも似た手踊りがなんとなく郷愁を誘います。

タイ北部の踊り「フォーンペーン」の画像です。踊り手の指先はみごとに逆反りして印を結んでいます。フォーンとは踊りのことですが、いわゆる打ち組み踊りを指しているようです。

鳥人(キンナリー)のマノーラ姫の踊り「マノーラ・プーチャーヤン」の場面です。
とても長いつけ爪をしています。
伝説の鳥人・天女マノーラは、人間に捕まり、翼を取り上げられてしまいました。そこを王子に気に入られて妃になったのですが、謀略によって焼き殺されるところ、舞を披露するふりをしてそのまま飛び去ってしまうというストーリーだそうです。アジア全域に伝わる天女伝説にも通じるように思えます。