ユーラシアの風~2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

すべて、つながっている(植林ツアー2)

2010年05月27日 | 中国(1)天津→呼市
今回のプロジェクトに使う日本の資金は、「カーボンオフセット」というものだ。
自分たちが仕事や私生活で出した二酸化炭素を、
植林などの活動を支援することで吸収・相殺しようという考え方。
欧米人の結婚式でそんなこと掲げてる人見ますよね。
日本の年賀状にもそんなものがあったっけ。

朝克さんたちは、その「吸収側」の現場にいるわけだ。

しかし、4万本と言えど相手は自然。当たり前だが何割かは枯死する。
おまけにひどい乾燥地帯。3ヶ月雨が降らないこともざら。
ところが、4万本は契約らしく、100%を要求されるらしい。
自分もいちサラリーマン。寸分たがわぬ数字を要求する気は分からなくはない。
しかし、この現実を見ると、途方もない。

ここも、木を植えることが地元の振興に結びついているうちはいい。
今は灌漑設備の整備や、管理にお金が出ている。
これらの木が大きくなったとき、住民の貧しさが解消されていなければ、
50年前と同じ結果が待っているのは想像に難くない。、

援助対象のカラマツなど以外に、自己資金で収入に結びつくアンズを植えたり、
村人の信頼を得ようと足繁く通い奔走している朝克さん。

「途上国での植林に役立てています」なんていうクレジットだけ見ても、
決して想像できない現場がここに広がっている。


この日は、資材の搬入とホースを埋める穴掘りのつづき。
お手伝いを申し出た。

朝から大量のホースとタンク、70キロ近い重さのポンプをトラックに積み込む。
手を貸すも中国語が分からず、なんとなく邪魔しているような気もする。
ポンプはあまりの重さにギブアップ。変わってもらう。
穴掘りも、現地の人たちのスピードは半端じゃない。
コツをつかんだころにはもう夕方。



○ホースを引っ張るために、山の上まで900m穴を掘る。


フフホトに来て、あっという間に一週間が過ぎてしまった。
「地球に恩返し」なんて並大抵のことではない。
そもそも恩もクソも…私たち人間は生きているだけでそれを消費する存在。
しかし、そのペースが地球のペースを上回ると、ひずみが出る。

どうすればいいのか、ひとつの決まった答えは出ていない。
むしろ、答えはたくさんあるのだろう。
よりよい明日にむけて、汗を流す人々に出会った。

こういった活動に、偽善とか、無駄とか言う人もいる。
難しすぎて、距離を置く人もいる。
しかし、黄砂、砂漠化、カシミヤ、そしてカーボンオフセットという仕組みを通じて、
日本と内蒙古はすでにつながっている。
この事実を、知ってほしいと思う。



○大召。チベット仏教(ラマ教)のお寺。
 モンゴル族はラマ教なので、毎年ここにお参りに来るんだとか。



○突然の雨。みんなで雨宿り。本当に天気が読みづらい。

明日からは、フフホトに別れを告げて、回族(イスラム教徒)の街・銀川に向かいます。