ユーラシアの風~2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

別れ

2010年05月07日 | 出発前
泣いても笑っても準備は今日まで。
時間単位ですべきことのメモを書き、こなしていく。

部屋の掃除と引き払い、住所変更、携帯電話の手続き、両替、予防接種、
不足物品の購入、知り合いへ挨拶、お守りをもらいにいく…
なんか別に今日じゃなくても良かったものがちらほらあるのは、
段取りの悪さが露呈している。3年間の社会人生活は何だったの?と
トロい自分が我ながら腹立たしい。

パッキングを終え、寝床に入ったのは午前1時を回った。
彼女の家にお世話になっている。

眠っていたけど、起きてくれた。

結婚しようと言って、ゼクシイを買ったのは去年の6月。
でも、何か苦しくて、違和感がぬぐえなくて、
そのもどかしさの原因のひとつが世界放浪だろうと気づいたのが7月。
きみの誕生日が、10日あまりに迫った、最低のタイミングだった。

それから10ヶ月。許せない、ありえない、そんな仕打ちを受ける筋合いはない
という思いから、旅を一緒に楽しもう、自分も自分の時間を充実させよう、
というところにまで気持ちを昇華してくれていたことを、枕元で囁いてくれた。

実際に、嫌味ひとつ言わず、静かに受け入れようとしてくれていた。
そして、旅が近づくにつれ寛容で、愛情に満ちた言葉と態度で
接してくれていたように思う。
いや、それは、実は旅が決まる前からそうだったのが、
改めて浮き彫りになっただけなのかもしれない。

そんなきみを置いていくという行為が、どれほど馬鹿げていて、
利己的であるのかが、ようやく分かってきたのかもしれない。

とにかく、謝るしかなかった。
そして、必ずきみの元に戻ると、そして結婚しようと誓った。

このときもらった手編みのミサンガが、今右腕に結ばれている。
こいつを、絶対きみの手でほどいてもらおう。

いつまでもおセンチ気分でいられない。
旅に出れば日本の人間関係ともしばしお別れ。
そして目の前の人々とこそ向き合うべきだということも分かる。
でも、この気持ちを忘れないで、毎日、走り出す前に思い出そうと思う。

どこまでも同じ空の下、ともに前へ進み続けよう。




…うわっ、くさ(笑)
でも正直な今の気持ち。