『公園のドングリたち』の初回は、その1・ドングリの基礎知識についてまとめてみました。
今日はドングリウオッチングの2回目として、近隣の公園に植栽されているドングリの木を、もう少し詳しく調べてみましょう。
『1回目のドングリの基礎知識』をご覧になっていない方は、あらかじご覧いただくとより分かりやすいと思います。
近所の公園に植栽されているドングリが実る木の中から、特にその本数の多い木を6つ取り上げて、画像で説明します。
公園管理者が設置した樹種の案内板が付いた木について、デジカメで撮影し、また自宅でそのドングリについて調べましたので、各ドングリの木の特徴は、間違いないと思います。
どうぞ参考にして、お住みの近くの公園で、楽しいドングリウオッチングをしてみては如何でしょうか。
《コナラ》
公園の中のドングリの木の中で、最も多く植栽されているのがコナラでした。
コナラはブナ目ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で別名ホウソ。
コナラ(小楢)の名は、もうひとつの日本の主要なナラであるミズナラの別名であるオオナラ(大楢)と比較してつけられました。
材は木炭の原料や、シイタケの原木に使われます。
多くの菌類と菌根を作るため、コナラ林には多くの菌根性のきのこが生えます。
また、かつて東北地方の山村では、コナラのドングリはミズナラのドングリと並んで重要な食料でした。
かつて岩手県などの山村周囲の森林には、大量のドングリを実らせるコナラやミズナラの巨木が数多く自生し、食用としての需要をよくまかなっていました。
大正期以降、このコナラやミズナラの森林は、東京近郊への木炭の供給のため伐採を受け、往古のコナラやミズナラの巨木が生い茂った森林は失われました。

見慣れたドングリ
殻斗の模様は、うろこ状

葉のふちはギザギザになっています

コナラの幹

コナラの木
《マテバシイ》
マテバシイは、ブナ科の常緑高木。
学名の種小名の edulis は、英語の edible に相当するラテン語の形容詞で、「食べられる」という意味。
和名は、葉がマテガイに似たシイノキであるという意味。
松浦市鷹島では、マテバシイを原料にした焼酎が製造されているそうです。
公園にもかなりの本数が植えられていて、私にとってこの木はもっとも有望な食べられるドングリとなりそうです。
でも、木によっては、まったくドングリを付けていないものも、どうした訳か見かけます。

マテバシイの長楕円形のドングリ、炒って食用に出来ます

マテバシイの葉は互生し厚くてなめらか、ギザギザはありません

マテバシイの幹

マテバシイの木
《スダジイ》
スダジイは、ブナ科シイ属の常緑広葉樹。
別名イタジイ、ナガジイとも呼ばれ、一般的に「椎(シイ)の木」と言われているのは、このスダジイです。
材が硬く、耐潮性が強く、丈夫であるため巨木になりやすい。
この木のドングリは、【渋がほとんどないドングリ】の代表格ですので、食用のためには、しっかり調べておく必要があります!

スダジイのドングリが熟すと、殻斗(から)の先端は3裂し、中にある堅果を覗かせる

特徴的な形のスダジイのドングリ

スダジイの葉縁の上半分に鋭い鋸歯があるが、個体によっては鋸歯が鈍く目立たない場合や、鋸歯が認められない場合もある
また、葉の裏側が白色から赤銅色を呈するため見分けがつきやすい

スダジイの幹…成長すると樹皮に縦の切れ目が入ることが特徴

スダジイの木
《ミズナラ》
ミズナラは、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹。
温帯の落葉広葉樹林の代表的構成種で、別名オオナラ(大楢)。
近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、鹿児島県高隈山を南限に、北は北海道から樺太・南千島まで分布。
ブナと並んで落葉広葉樹林の主要樹種の一つで、ブナに比べると、やや明るい場所を好む。
樹高は、大きなものでは35mに達する。

奥多摩の山奥にに生き残るミズナラの巨木
5月頃に長さ5cmほどの花を咲かせ、秋にはドングリが熟す。
コナラと同様、シイタケ栽培の原木などに利用される。
ドングリは灰汁抜きをすることによって食用になる。
現在はほとんど食用にされないが、かつては山村の重要な食料だった。
渋のあるミズナラとコナラのドングリを、食用に出来る工夫を知れば、我が家のエンゲル係数は、数段減少するのだが??

ミズナラのドングリ

ミズナラの葉はつやのない緑で、コナラよりももっと波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)がある

ミズナラの幹

ミズナラの木
《クヌギ》
クヌギはブナ科コナラ属の落葉樹。
新緑・紅葉がきれいで、クヌギの語源は国木(くにき)からという説がある。
古名はつるばみ。漢字では櫟、椚、橡などと表記する。

クヌギのドングリは、ドングリの中では直径が約2cmと大きくほぼ球形
半分は椀型の殻斗につつまれていて、殻斗のまわりにはたくさんの鱗片がつく
この鱗片が細く尖って反り返った棘状になっているのがこの種の特徴
実は大きくて美味しそうですが、渋味が強いため残念ながらそのままでは食用にならない

クヌギの葉は互生、長楕円形で周囲には鋭い鋸歯がならぶ
葉は薄いが硬く、表面にはつやがある

クヌギは幹の一部から樹液がしみ出ていることがある
カブトムシやクワガタなどの甲虫類やチョウ、オオスズメバチなどの昆虫が樹液を求めて集まる

クヌギの木
《シラカシ》
シラカシ(白樫・白橿)は、ブナ科コナラ属の常緑高木、いわゆるカシ類の一種。
名前は、材が白色であることからで、樹皮の黒さから「くろかし」の名もある。
公園や庭にもよく植えられ、楽器の材料にもなります

シラカシのドングリ
殻斗の模様は縞模様が特徴

シラカシの葉は5~12cmの長楕円形で互生し厚い。
上半部の縁には鋸歯があり、上面は濃い緑色でつやがあり、下面は薄い緑。

シラカシの幹
樹皮 : 黒色。

シラカシの木
私の周辺にある公園のドングリをウオッチングしましたが、特別に特色を持って植栽している公園ではないので、皆さんの近辺にある公園にも、今回載せたドングリの木がたぶん植えられていると思います。
この私の資料を参考に、どうぞ子供時代に戻って、ドングリ探しを楽しまれることを願っています。
又、小さなお子様がいらっしゃったら、ドングリ工作の面白さを教えてあげてください。
ドングリは樹種により多様な形状がありますが、一つの種類に属しているドングリ複数個を並べて比較した場合、いずれの樹種であっても形状はほぼ同一です。
このことから、抜きん出たものが存在しない集団を指して「どんぐりの背比べ」と言う慣用句が生まれました。
ドングリは、漢字で団栗と表記しますが、「団」は「まるい」という意味を持ち、団栗は「丸い栗」という意味になります。
次回は、ドングリウオッチングの最終回として、
実際にドングリを料理して食べてみたいと思います。
ご期待ください。
ドングリについて興味ある方は、以下のブログをご覧下さい。
ドングリを食す…身近にあった自然の恵み…Part4

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今日はドングリウオッチングの2回目として、近隣の公園に植栽されているドングリの木を、もう少し詳しく調べてみましょう。
『1回目のドングリの基礎知識』をご覧になっていない方は、あらかじご覧いただくとより分かりやすいと思います。
近所の公園に植栽されているドングリが実る木の中から、特にその本数の多い木を6つ取り上げて、画像で説明します。
公園管理者が設置した樹種の案内板が付いた木について、デジカメで撮影し、また自宅でそのドングリについて調べましたので、各ドングリの木の特徴は、間違いないと思います。
どうぞ参考にして、お住みの近くの公園で、楽しいドングリウオッチングをしてみては如何でしょうか。
《コナラ》
公園の中のドングリの木の中で、最も多く植栽されているのがコナラでした。
コナラはブナ目ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で別名ホウソ。
コナラ(小楢)の名は、もうひとつの日本の主要なナラであるミズナラの別名であるオオナラ(大楢)と比較してつけられました。
材は木炭の原料や、シイタケの原木に使われます。
多くの菌類と菌根を作るため、コナラ林には多くの菌根性のきのこが生えます。
また、かつて東北地方の山村では、コナラのドングリはミズナラのドングリと並んで重要な食料でした。
かつて岩手県などの山村周囲の森林には、大量のドングリを実らせるコナラやミズナラの巨木が数多く自生し、食用としての需要をよくまかなっていました。
大正期以降、このコナラやミズナラの森林は、東京近郊への木炭の供給のため伐採を受け、往古のコナラやミズナラの巨木が生い茂った森林は失われました。

見慣れたドングリ
殻斗の模様は、うろこ状

葉のふちはギザギザになっています

コナラの幹

コナラの木
《マテバシイ》
マテバシイは、ブナ科の常緑高木。
学名の種小名の edulis は、英語の edible に相当するラテン語の形容詞で、「食べられる」という意味。
和名は、葉がマテガイに似たシイノキであるという意味。
松浦市鷹島では、マテバシイを原料にした焼酎が製造されているそうです。
公園にもかなりの本数が植えられていて、私にとってこの木はもっとも有望な食べられるドングリとなりそうです。
でも、木によっては、まったくドングリを付けていないものも、どうした訳か見かけます。

マテバシイの長楕円形のドングリ、炒って食用に出来ます

マテバシイの葉は互生し厚くてなめらか、ギザギザはありません

マテバシイの幹

マテバシイの木
《スダジイ》
スダジイは、ブナ科シイ属の常緑広葉樹。
別名イタジイ、ナガジイとも呼ばれ、一般的に「椎(シイ)の木」と言われているのは、このスダジイです。
材が硬く、耐潮性が強く、丈夫であるため巨木になりやすい。
この木のドングリは、【渋がほとんどないドングリ】の代表格ですので、食用のためには、しっかり調べておく必要があります!

スダジイのドングリが熟すと、殻斗(から)の先端は3裂し、中にある堅果を覗かせる

特徴的な形のスダジイのドングリ

スダジイの葉縁の上半分に鋭い鋸歯があるが、個体によっては鋸歯が鈍く目立たない場合や、鋸歯が認められない場合もある
また、葉の裏側が白色から赤銅色を呈するため見分けがつきやすい

スダジイの幹…成長すると樹皮に縦の切れ目が入ることが特徴

スダジイの木
《ミズナラ》
ミズナラは、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹。
温帯の落葉広葉樹林の代表的構成種で、別名オオナラ(大楢)。
近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、鹿児島県高隈山を南限に、北は北海道から樺太・南千島まで分布。
ブナと並んで落葉広葉樹林の主要樹種の一つで、ブナに比べると、やや明るい場所を好む。
樹高は、大きなものでは35mに達する。

奥多摩の山奥にに生き残るミズナラの巨木
5月頃に長さ5cmほどの花を咲かせ、秋にはドングリが熟す。
コナラと同様、シイタケ栽培の原木などに利用される。
ドングリは灰汁抜きをすることによって食用になる。
現在はほとんど食用にされないが、かつては山村の重要な食料だった。
渋のあるミズナラとコナラのドングリを、食用に出来る工夫を知れば、我が家のエンゲル係数は、数段減少するのだが??

ミズナラのドングリ

ミズナラの葉はつやのない緑で、コナラよりももっと波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)がある

ミズナラの幹

ミズナラの木
《クヌギ》
クヌギはブナ科コナラ属の落葉樹。
新緑・紅葉がきれいで、クヌギの語源は国木(くにき)からという説がある。
古名はつるばみ。漢字では櫟、椚、橡などと表記する。

クヌギのドングリは、ドングリの中では直径が約2cmと大きくほぼ球形
半分は椀型の殻斗につつまれていて、殻斗のまわりにはたくさんの鱗片がつく
この鱗片が細く尖って反り返った棘状になっているのがこの種の特徴
実は大きくて美味しそうですが、渋味が強いため残念ながらそのままでは食用にならない

クヌギの葉は互生、長楕円形で周囲には鋭い鋸歯がならぶ
葉は薄いが硬く、表面にはつやがある

クヌギは幹の一部から樹液がしみ出ていることがある
カブトムシやクワガタなどの甲虫類やチョウ、オオスズメバチなどの昆虫が樹液を求めて集まる

クヌギの木
《シラカシ》
シラカシ(白樫・白橿)は、ブナ科コナラ属の常緑高木、いわゆるカシ類の一種。
名前は、材が白色であることからで、樹皮の黒さから「くろかし」の名もある。
公園や庭にもよく植えられ、楽器の材料にもなります

シラカシのドングリ
殻斗の模様は縞模様が特徴

シラカシの葉は5~12cmの長楕円形で互生し厚い。
上半部の縁には鋸歯があり、上面は濃い緑色でつやがあり、下面は薄い緑。

シラカシの幹
樹皮 : 黒色。

シラカシの木
私の周辺にある公園のドングリをウオッチングしましたが、特別に特色を持って植栽している公園ではないので、皆さんの近辺にある公園にも、今回載せたドングリの木がたぶん植えられていると思います。
この私の資料を参考に、どうぞ子供時代に戻って、ドングリ探しを楽しまれることを願っています。
又、小さなお子様がいらっしゃったら、ドングリ工作の面白さを教えてあげてください。
ドングリは樹種により多様な形状がありますが、一つの種類に属しているドングリ複数個を並べて比較した場合、いずれの樹種であっても形状はほぼ同一です。
このことから、抜きん出たものが存在しない集団を指して「どんぐりの背比べ」と言う慣用句が生まれました。
ドングリは、漢字で団栗と表記しますが、「団」は「まるい」という意味を持ち、団栗は「丸い栗」という意味になります。
次回は、ドングリウオッチングの最終回として、
実際にドングリを料理して食べてみたいと思います。
ご期待ください。
ドングリについて興味ある方は、以下のブログをご覧下さい。
ドングリを食す…身近にあった自然の恵み…Part4

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