「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの現代陶芸入門講座(29)…萩焼・坂田泥華さん死去

2010年03月10日 | 陶芸
自分がかつて書いたブログの記事の閲覧数が、突然増えることがあります。

季節が巡ってくると、かならず増える記事もあります。

しかし、そうした季節に関わりなく急に閲覧数が増える場合もありますが、その記事に載せた人物に関する、最近の出来事が主な理由のことが多いようです。


以前現代陶芸入門に関するブログで、『坂田泥華』を取り上げましたが、最近その検索が急に増えました。

ネットで調べると、先月2月24日に14代『坂田泥華』が、94歳でお亡くなりになっていることが分かりました。

萩焼の重鎮・坂田泥華については、以下のブログで紹介しましたので参考にしてください。

マッキーの現代陶芸入門講座(18)…坂田泥華と吉賀大眉のぐい呑みと湯飲み


萩焼の人間国宝『三輪壽雪』(十一代三輪休雪)も100歳ですので、陶芸家は長生きするようです。

新しい挑戦を続ける三輪家に対して、どちらかというと職人気質の泥華さんでしたが、茶陶ではその使いやすさから大変人気がありました。


私は、表千家14代家元『而妙斎』(じみょうさい )が銘を入れた『千代の友』という坂田泥華の井戸茶碗を持っています。




坂田泥華の井戸茶碗(1986年・日本橋三越本店)



茶碗の高台


この坂田泥華の井戸茶碗は、かれこれ二十数年前に購入したものですが、とても使いやすい茶碗です。

萩焼は、使うほどに手に馴染み、色合いも優れたものになります。

しかし、そうだからこそ、高価な作品は、なかなか使えないと言ってもよいでしょう。

大事に飾っておくか、破損や色合いの変化を覚悟して日常使うか、その人の考え次第です。

萩の湯呑みは、大変使い勝手がよく、波多野善蔵や兼田昌尚などの作品を、私は日常使っています。

日常使っている作家物の湯呑みやぐい呑みの中には、破損してしまった物もあり、作家物を使う喜びと破損の危険は、常に隣り合わせです。



坂田泥華の箱書き



表千家14代家元『而妙斎』箱書き…銘『千代の友』



『三千家』について

三千家(さんせんけ)とは、茶道の流派のうち、表千家・裏千家・武者小路千家を総していう呼び名です。

表千家三代元伯宗旦の三男江岑宗左が家督を継承し不審菴表千家となり、宗旦の隠居所を四男仙叟宗室が継ぎ今日庵裏千家となり、さらに一度養子に出ていた次男一翁宗守が千家に戻り官休庵武者小路千家を称し、三千家が成立。

現代においては、裏千家と表千家は三笠宮家及び細川・近衞家を通してつながっており、日本における代表的な閨閥の一つと言ってよいと思います




井戸茶碗【いどちゃわん】について

高麗(こうらい)茶碗の一種で、李朝初期の朝鮮慶尚南道の産といわれ、室町末~桃山期に日本にもたらされました。

天正年間ころには、中国産の唐物茶碗をしのぎ、その評価は抹茶(まっちゃ)茶碗の最高位に置かれました。

大井戸(名物手)・青井戸・小井戸・井戸脇などの種類があり、井戸型という共通の形で、胴の荒いロクロ目、総釉、井戸釉と言われる枇杷(ビワ)色の釉薬などが特徴です。

井戸の名については、諸説有りますが、見込みが深いからつけられたという説もありますが、これは奈良興福寺の寺臣、井戸氏所持の茶碗が当時名高く、これから起こったものという説が一般的です。

井戸の名の起こりであるこの茶碗は、のちに筒井順慶に伝わって、深めで高台が高いので筒井の筒茶碗といわれ、井戸の中の名碗となっています。



ところで、14代坂田泥華は、当初13代を名乗っていましたが、文献を調べた結果14代と分かり、後に14代を名乗るようになりました。

したがって、13代と14代の坂田泥華は同一人物です。

また、ご子息の坂田慶造さんは、2004年5月に54歳の若さでお亡くなりになり、贈り名として15代坂田泥華を襲名させて、自身は以降坂田泥珠(でいじゅ)と改号しました。


萩焼の名家『坂 高麗左衛門』は、坂窯の当主を襲名する跡継ぎがいなく、また『坂田泥華』は現在どの様になっているのか、私は知りません。

陶芸の窯元は、伝統工芸的な色彩が強く、技術の伝承という側面があります。

単なる芸術家ではなく、そうした伝統の上に、個性を発揮する必要がありました。

少子化の時代、こうした伝統を継承する名家にとって、跡継ぎ問題は、頭の痛い重要事項となっていると推察されます。



萩焼については、坂田泥華の他に、以下のブログで紹介していますので、参考にしてください。

マッキーの現代陶芸入門講座(5)…三輪休雪のぐい呑み

マッキーの現代陶芸入門講座(24)…坂倉新兵衛と田原陶兵衛と坂高麗左衛門の萩焼



最後に地元の山口新聞の訃報記事を載せておきます。

『萩焼を代表する作家で、山口県指定無形文化財保持者の坂田泥珠(さかた・でいじゅ)さん=14代泥華(でいか)=が24日午前8時9分、肺炎のため長門市の病院で死去した。94歳だった。自宅は長門市深川湯本1423、葬儀は26日午後1時から同市深川湯本1074の大寧寺で。喪主は妻和喜(わき)さん。

1915年、萩焼深川窯13代坂田泥華の長男として生まれ、33年父に師事して家業に入った。36年に出征し、復員した46年から作陶に打ち込んだ。50年に14代泥華を襲名。茶器の井戸茶碗を追求、独自の作風は「泥華井戸」と呼ばれた。日本工芸会理事も務めた。

2004年、亡くなった長男慶造さんに15代泥華を追贈、天耳庵泥珠を名乗った。』




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