こんにちは。こんなブログですが総計1万アクセスを突破しました。ありがとうございます。
さて、私が今学期に取っている科目に法曹倫理があります。これはMPRE(法曹倫理試験)に役立ちそうだからという理由もありますが、これをとっておかないとNY州司法試験自体が受けられないからということでもあります。
具体的に何をやっているかというと、
・モデルルールとその注釈の読み込み (※あくまでもモデルなので各州は異なる内容を採用している可能性もある)
※参考:モデルルール
・過去の判例の読み込み
(要は弁護士がやらかしちゃった事例集。新人弁護士が仕事を抱え込んだまま時間が経過し、クライアントの権利が時効消滅しちゃった事例とか。)
がメインになります。
このルールの中にこんなものがありました。(Rule 1.2:場合によっては仕事のスコープを絞ってよい)
>A lawyer may limit the scope of the representation if the limitation is reasonable under the circumstances and the client gives informed consent.
この点につき、例えば、(Rule1.1:しっかり仕事をしなければならない)
>A lawyer shall provide competent representation to a client. Competent representation requires the legal knowledge, skill, thoroughness and preparation reasonably necessary for the representation.
との関係が議論になることもあるようです。
例として紹介されていたのは、アメリカはとっても離婚が多いので、依頼者全員にフル装備のサービスを行うなんてのは非現実的・不適切という状況です。
(例えば、仕事が回らなくなって、結果的にサービスを受けられない人が出てきてしまう。)
ということで、この方向で調べものをしてみたら、次のような記事が見つかりました。
@法務部の生産性向上について
記事1
記事2
先日の記事と似たようなところが多いからか、目新しい発想はないのですが興味深かったのは次の点です。
・法務部の生産性は法務部の問題だけではない、クライアント側にも問題点(法務への情報提供の効率性)がある。
・とある企業では法務のサービス品質を階層別にした(依頼元の期待内容を考慮して、案件の種別、部署、地域等で異なるレベルをセット。)
・現場対応力向上のためにマニュアルや教育を増やす?
・トリアージを導入してみる?
・オフィスアワーを導入してみる?
そのほか、こちらの
記事では”時差を利用しよう”なんてのも書いてありました。
とりわけ面白い表現だなと思ったのが、”アウトプットではなくスループット”を増やすというくだりです。
要は(結果的に)無駄にならない仕事をしましょうってことのようでして、ある企業では、契約類型別に実際に紛争になった率を補足して、あまり問題にならなそうな案件はさらーっと流すという方針を採用したようです。
この点につき、
Top Terms in Negotiationsについて(PDF・英語)なんかも参考になりそうです。
ところで、今期はそのほかに契約法の授業をとっているのですが、いわゆる”法と経済学”に影響を受けている教授のようでして、”契約を破る自由”とでも言うんでしょうか、合理的経済人モデルをベースにして、いつ人は契約を破るのかという分析についての記載が教科書にありました。
(そのほか「契約によって得られる利益-契約に必要なコスト>0」のときに人は契約を締結するという説明とか)
簡単にいうと、契約を破った方が得なときに人は契約を破るというだけの話なんですが、このあたりの発想も何かに使えないかなーと思いました。(合理的経済人モデル自体が時代遅れかもしれませんし、意識せずとも使っている発想かもしれませんが)
例として、現場に「顧客はこの契約を破った方が得をするか?」と聞いてみるのはどうかなーと空想してみましたが、もしYESといわれるようだと、自社に一方的な契約を作らない方がいいという結論(契約を破られるから)になるし、NOといわれるようだと逆に自社が契約を破った方がいいんじゃないかって議論になるのかもしれないですね。