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コバルトブルーのような風に包まれて

ミュージシャンの藤井風くん、好きなドラマについて、日常生活などを中心に書いてます。

ただ一緒にいたい

2023年11月18日 | ドラマ『こっち向いてよ向井くん』

「こっち向いてよ向井くん」に登場した向井くんの妹夫婦・元気くんと麻美のことについても触れようと思思う。こちらも一難去ってまた一難というか。向井くんの恋愛と並行しながら、回を追うごとに離婚の危機に陥っていった。なぜそうなってしまったのか?

妹の麻美は元気くんとの結婚生活に違和感を募らせていたからだ。結婚して苗字が変わったこと、夫婦になった途端”夫””妻”と隔たれてしまったこと。元気くんが一家の大黒柱として頑張ろうとしていることも気に入らなかった。結婚した二人は新居を探し始めようと候補の物件を見学していた。しかし麻美はカレー&スパイスバーを始めたばかりの元気くんが新居を構えることに浮かない表情だった。そして自分のモヤモヤしている気持ちを元気くんに伝えた。

麻美「私は、私と元気の間にノイズが混ざっていることがヤなの。名字が変わること、主人・妻として扱われること、結婚してみたら全部めちゃくちゃうっとおしかった。何で私たちの関係を他人や制度に定義づけされなきゃいけないの?バカだけど自分の気持ちに真っすぐで活き活きとした元気のことが大好きだった。」麻美は結婚という制度に縛られて、二人がありのままでいられないことが我慢できなかった。

麻美「結婚やめよう。結婚なんかしなくてもいつだって元気を幸せにしたいよ。元気は元気のままでいて欲しい。自分自身の気持ちの変化にも嫌気がさしていたんだ。自分の足で立ててたのに、結婚したことで弱くなってるみたいでヤなの。」好きだから一緒にずっといたいから結婚したのに…。元気くんは結婚を解消したいと言われても理解できずに戸惑ってしまう。二人の間になかった不穏な空気が漂い始めていた。実は私は麻美は新婚なのにどうして家族の前でいつも不機嫌なのか不思議に思っていた。ただ単にクールでドライな性格だからと思っていたけれど、ずっと不機嫌だったのは結婚したことが原因だった。麻美と理由は違えど、結婚したけどこんなはずじゃなかった感がある人って結構いると思う。私もその一人かな。苦笑

結婚解消しようと言われ落ち込む元気くんの前に、パイレオの女性客・メイが現れた。メイは麻美と元気くんのギクシャクした関係に興味を持ち、接客を手伝いながら元気くんに近寄ろうとしていた。もちろん麻美はメイの根端などとっくにお見通し。元気くんは、メイのあざとさには鈍感だった。

メイは、義兄である向井くんや常連客の坂井戸さんにも媚びを売ってきた。いい子そうだと言う向井くんに坂井戸さんは全く同意できなかった。大げさな上手な物言いをしていることが元気くんのように向井くんも気づかない。異性だとわからないのかなぁ?でも同性ならすごくわかる!

美和子のことで身動きが取れなくなっていた向井くんのところに単身赴任中の向井くんのパパが帰ってきた。昭和の男だけにやたらと独身の向井くんに見合いを勧めようとしていた。

元気くん「言えば良かったじゃないですか?相手いるって。そしたら色々言われずに済むのに。」

向井くん「言える状況じゃないの知ってんじゃん。」

元気くん「でも好きな人がいるってのには変わりないじゃないですか?」

向井くん「まぁ、あーいやぁあんまり言いたくないかなぁ。あーあ、早く結婚したい。」

元気くん「そういう感じですか?」

向井くん「うん、結婚したいというか、結婚することによってそういう煩わしさ全般か解放されたい。結婚したら、もう恋なんかしなくていいし。あー早くそうなりたい。いや、そりゃ結婚したいと言わないな。わかってんだよ。んなことは。」

元気くん「俺は結婚しても、マミンに恋してますよ。」

向井くんは結婚することで現実から逃避したい考えになっていた。麻美と険悪になっている元気くんの悩みに向き合おうとする余裕などなかった。

そんなある日、元気くんはお店でメイから手作りのアイシングクッキーをもらった。

メイ「この間は(麻美と)きちんとご挨拶が出来なかったから一つは奥様に。」

元気くん「喜ぶと思う。」元気くんはクッキーを笑顔で受け取った。帰宅してから、麻美にその手作りクッキーを渡した。元気くんには宣戦布告を意味する物だとは気づいていない。

麻美「マジ、何これ。私が喜んで食べると思ってんの?どういう了見?すごい気になる。」

元気くん「やめてよ。そういう言い方。気ぃ使ってくれてんじゃん。メイちゃんすごいいい子なのに。」

麻美「良い子?」

元気くんはメイが善意の仮面を被っているとまだ見抜けない。男って見抜けないのかな?それとも元気くんだから見抜けないのか?笑 麻美は、元気くんの言葉にカチンときた。袋からクッキーを取りだしボリボリかぶりつき一気に食べ終える。殺気を感じる麻美に元気くんは引いている。

麻美「アイシングクッキーって、描いては乾燥させて、描いては乾燥させてって作るのクソめんどくさいんだよね。随分手の込んだ宣戦布告ですこと。」

元気「マミン?」

麻美「(宣戦布告を)確かに受け取りました。」麻美の怒りは頂点に達していた。わかる。すごくわかる。

後日、麻美はメイと会って話をした。元気くんとこれ以上関わって欲しくなかったからだ。

麻美「あなたに用があるんで。これ。」

メイ「何ですか?」

麻美「夫の雇用意識が低くてご迷惑おかけしました。今までのバイト代ともろもろのお手当で10万円入ってます。受け取って辞めてください。」

メイ「そんな受け取れません。お金のためにやってるわけじゃないので。」

麻美「じゃ何のためにやってるんですか?」

メイ「元気くんがかわいそうだから。私かわいそうな人ほっとけないんですよ。」

麻美「かわいそう?」

メイ「奥さんから理解してもらえないことですよ。そのせいで元気くんが大事にしているお店うまく回らなくなってて。そういう元気くんを見てられないんです。」

麻美「見てられないなら見に来なきゃいいでしょ?何?(元気が)好きなの?」

メイ「えっ(笑)だったらどうします?」

麻美「それなりの対応させてもらいますけど。」

メイ「奥さん、もしかして嫉妬…してます?」

麻美「アイシングクッキーごちそうさまでした。とてもお上手なんですね。クソみたいなことに時間使うのが。」

麻美は平静を装い、笑顔で皮肉を込めた言葉を返した。ところが…このメイという女。嫌われる女性の敵筆にくるような相当の毒女だ。引き下がろうとせず余裕たっぷりに嫌みな言葉を返した。

メイ「奥様…このこと元気くんは知ってるんですか?元気くんが夫らしくふるまうこと嫌がってたわりに、夫の仕事に口出しして、自分はちゃっかり嫁づらするんですね。」

麻美でなくても、こんなこと言う女性ってどうよ?ものすごく腹が立った。麻美と元気くんの仲を更にこじらせようとしている。麻美はそんなメイにブチ切れ、家でやけ酒をあおっていた。すると元気くんが帰宅。

麻美「ね、元気?私はさ、結婚することで元気が元気じゃなくなることが嫌だった。元気が夫とか大黒柱とか演じていることが滑稽ですらあった。元気は元気なのにって。わかる?」

元気くん「正直…あまり。」

麻美「そっか、人はその人であることを何よりも尊重されるべきだと思うんだよ。何かに与えられた役で自分らしさを見失うのはおかしい。でもね。聞いて。そんなこと言ってる場合でもなくなった。私は今、役としての特権を乱用するって決めた。元気でもこれならわかると思う。あの女大嫌いだから、今すぐ辞めさして!じゃないと離婚する!」

元気くん「わかりました!」麻美は初めて妻と言う立場を乱用した。鈍感な元気くんはやっと麻美がメイを快く思っていないことがわかった。後日、元気くんはメイに店を辞めてもらうよう伝えた。

元気くん「今までメイちゃんの好意に甘えててゴメン!これ今までのバイト代だから、あのぉ受け取って。店は何とか回せると思うし、もうお手伝いは大丈夫だから。」するとメイはバイト代を突き返した。

メイ「奥さんにそう言えって言われた?元気くんは?元気くんもそう思ってる?迷惑?」

元気くん「迷惑だなんてメイちゃんがいてくれてすっごい助かってるよ。」

メイ「よかった!じゃあこれからもずっと手伝いさせてね。このお店も、お客さんも大好きなんだもの。」

元気くん「いや、でもマミンが…。」メイは口元に人差し指を持っていく。相当の鉄仮面を被ってる。

メイ「内緒にすればいいんじゃない?私、元気くんの力になりたいの。」

優柔不断な元気くんは断り切れなかった。それが元気くんと麻美の関係を悪化させていく元凶になっていった。麻美はメイがまだ働いていることを知って元気くんに失望した。

麻美「あの女、まだいるんだ。元気の好きにしていいよ。」麻美は妻と言う特権を乱用したことを激しく後悔していた。特権を乱用したところで元気くんは元気くんのままだったからだ。

元気「ホントにゴメン。話して辞めてもらった。だから許して欲しい。仲直りしよ。」麻美はすぐに仲直りできなかった。そして横柄な態度を取る自分にも腹が立っていた。しかし元気くんに自分の素直な気持ちを伝えて仲直りしようと決心した。

元気くん「マミン。」

麻美「お店いく時間じゃないの?」

元気くん「もう行くよ。」

麻美「あのさ、元気…。へ?何これ?」

元気くん「マミン、ピーナッツ好きだし、ピーナッツしか食べないでしょ?はい。」

元気くんからもらったのは柿の種抜きのピーナッツだった。思わず麻美は笑顔になった。

麻美「元気ってこういうことするよ。そうだよ。そうだった。」

元気くん「マミン…。」

麻美「何かちょっとずれてると思う。元気にしかわからない優しさがあって、それが元気なんだよね。ちゃんと元気に謝らないと。私の方が見失っていた。あのさ…」麻美は話しかけようとしたが…

元気「マミン、そろそろマミンが言ってたことの答えを出さないとだめだよね。俺さ、ずっと考えてた。俺は、ずっとマミンのために生きたいと思ってて、マミンが望むならどんなことでもしてあげたい。でもマミンがどんな俺を望んでんのかわかんないんだ。望みを叶えてあげたいのに。叶えられないのはやだね。」

元気くんは麻美に離婚届を渡した。

元気くん「これがマミンの望みでしょ?マミンを幸せにできないなら、俺も別れたい。」気持ちのすれ違いで修正できない結果を生んでしまった。元気くんは麻美が大好きだから別れる選択を選んだ。麻美は自分の気持ちを押し殺して離婚届を出した。

向井くん「え?何事?」向井くんが帰宅すると引越し業者がいた。麻美は離婚したと向井くんに報告した。離婚届は提出済みで、麻美が家を出て行くことになった。向井くんは、元気くんが夫婦関係で悩んでいることを聞かされていたものの、まさかここまで深刻な事態になっていたことにショックを隠せなかった。

麻美はウィークリーマンションを借り、元気くんは向井家に居候することに。元気くんが出て行けば本当に向井家とお別れになってしまうと言って向井くんのママが引き留めた。元気くんは、麻美と離婚した悲しみに耐えられず、向井くんに飛び付き離れようとしなかった。さすがに向井くんも兄らしく接してた。苦笑

パイレオでも元気くんは抜け殻状態だった。坂井戸さんたちにも話を聞いてもらった。その席には、向井くん、坂井戸さん、パイレオに初来店した向井くんの元カノ美和子もいた。

元気くん「なんだか、もう体に力がはいんなくて。ちゃんと決意して俺がマミンのために、俺ができる最後のことだと思ったから離婚届渡したんだけど、今はマミンが出てっちゃったら、どんどん本当に離婚したんだって思えてきて、もう無理。」

坂井戸さん「で、何で出てっちゃったの?麻美さん。結婚を解消したいって言ってたんだよね?」

元気くん「うん。」

坂井戸さん「元気くんとの関係にノイズが混ざってんのが嫌だからって離婚届にサインして渡したと。で、何で別れちゃったの?」

元気くん「えっと…ってゆうと?」

向井くん「俺も全然わかんない。どういうこと?」

意味がよくわからない二人は坂井戸さんを見て、返答を待とうとしていた。

坂井戸さん「…。」

向井くん「あっ、ちょっとぉ~お前何もわかってねーだろみたいな顔やめてくださーい。」

坂井戸さん「何も言ってませーん。」

向井くん「はぁうざー。もうぜってーバカにされてる。」

坂井戸さん「バカにしてませーん。」美和子は、向井くんと坂井戸さんのやりとりを微笑ましく見ていた。

美和子「麻美ちゃんは結婚してみたら結婚ってもの自体に違和感を覚えたってことですよね?だからやめたいって言ったんじゃ…」

坂井戸さん「そうそうそう、そうゆうことですよね?」

元気くん「だから離婚でしょ?」

坂井戸さん「そう、結婚を解消したい。つまり手続きとしては離婚を望んでいたことになるよね?でも元気くんと別れたいとは言ってないんじゃない?」

美和子「私もそう思います。」

坂井戸さん「ですよね?」

元気「え?何が違うの?離婚って別れるってことじゃないの?マミンは俺が夫っぽくすることとかに怒ってたと思うんだ。お金ないのに家買おうとしたり、収入が低いこととかにも怒ってた。」

向井くん「えっ⁉そんなこと言ってたの??」

元気くん「多分、ろくに稼いでもないくせに偉そうに写ったのかなぁって。家買うとか身の程知らずで。だから一緒にいたいないってことかと思う。」

向井くん「うん、なるほど。」向井くんは、元気くんの気持ちが理解できた。二人はまた坂井戸さんをじっと見つめ、返答を待っていた。

坂井戸さん「そんな二人して見ないでよー!え~う~ん…。麻美さんが言いたいのは、結婚したからって元気くんだけが経済的に彼女を支えたり、社会的責任を負ったり、そういう関係が嫌だってことじゃない?」

元気くん「そういう器じゃないからでしょ?」

坂井戸さん「いやいや、元気くんがどーこーじゃなくて、そういう世の中の見え方?システムが嫌だってことかなって!」

元気くん「あーまたそーゆー世の中とか、そんな話されても…。」

美和子「私はちょっとわかる気がする。麻美ちゃんがモヤモヤしてること。ま、私と一緒じゃないけど、でも結婚によって自分が自分じゃなくなるみたいな感覚?世の中が求めてるからこうしないと、こうゆう役割を生きないとって強要されているような、そんな感覚がヤなんだとしたら少しわかる。」

向井くん「でも、役割を生きない方がずっと難しくない?人は役割を与えられて、それっぽく成長してったりするわけじゃん。学生の頃の友達とかも、みんな就いた職業によって雰囲気変わったなーって思うし。だから、それってそんなにネガティブなことばっかりじゃなくない?この社会を生きていく限り人と共存する上で役割ができんのは当然な気ぃしちゃうんだけど…。」向井くんの話す言葉からものすごく成長を感じた。終盤に入って、向井くんは人とちゃんと向き合っている。相手を思いながら自分の考えを伝えている。

坂井戸さん「うーん、そうだね。それは確かにそうかも。でも時と場合によるかもね。」

美和子「あー友達と恋人って役割は、ま、無いですものね。」

向井くん「あー確かに。」

元気くん「俺、夫として大黒柱としてマミンを幸せにしたいと思ってた。でも…マミンは結婚なんかしなくてもいつだって俺を幸せにしたいと言ってくれてた。」

向井くん「麻美はどうしようとしてたってこと?」

美和子「うーん。結婚を解消して事実婚とかそうゆう関係を望んでたのかな?」

向井くん「事実婚…。」

美和子「うーん。」

坂井戸さん「どうだろうね。そうかもしれないし、もしかしたら麻美さん自身も明確に答えが出てなかったかもしれないし。」

元気くん「でも、やっぱり意味わかんないよ。夫婦じゃなくなったら、俺たちの関係って何になるの?好きだから、一緒にいたいから結婚したんだよ。それを解消しちゃったら、もう一緒にいられなくなるだけだよ。」

坂井戸さん「そうかなぁ。」

元気くん「えっ?」

坂井戸さん「結婚だけがすべてじゃないし、結婚しなくても関係は続けて行くことは出来るんじゃない?」

美和子「んーでも、やっぱり夫婦とか恋人とかそうゆう名前のついた関係であるってことは、お互いを失わない唯一の方法だと思っている人は多いから、だから私は一人で生きてけるくらい、まずは強くならないなって思ってる。人はどうゆう関係なのかわからなくなると一緒に居続けるのは、そんな簡単じゃないのかもなー。」

向井くん・坂井戸さん「…。」美和子の話を聞いても二人は同意せず、最後は悩む様子だった。それほど難しい問題に二人は向き合っていた。向井くんと美和子はパイレオを出たが気まずい空気がいつの間にか無くなっていた。

向井くん「あーすっげー難しい。結婚とか、夫婦とかなん?なんだろ?」

美和子「向井くんはやっぱり大人になったんだね。」

向井くん「え?俺正直よくわかってなかったよ。」

美和子「うーん、わかんないなりに大人になってる。すごいよ~。」

向井くん「小学生から中学生ぐらいに成長した的な?」

美和子「あ~そんな感じ。」

向井くん「おい!」

美和子「冗談。」

美和子は登山に挑戦しながら前に進んでいる様だ。その後のシーンは流れ無かったけど、おそらく引き留めることもなく別れただろう。「またね。」「元気で。」「頑張れよ。」でなく笑顔で「じゃあね。」美和子は今回のことで向井くんの変化に気づき、向井くんの中に坂井戸さんがいるからだとわかったかも。そんな優しい坂井戸さんは元気くんを心配して店に残っていた。

坂井戸さん「大丈夫?」

元気くん「うん、大丈夫。みんな心配させちゃったけど最終的には俺が決めたことだから、俺がマミンが望んでいる俺になれないことは事実だから、これでいいんだ。ありがとね。」

ある日、離婚して店を続けられなくなった元気くんは、向井くんたちに店は閉店すると告げる。

一方、麻美は区役所に転居届を出しに行っていた。そこで窓口にいたメイと再会する。手続きを終えた麻美は区役所を出た。すると、メイが追いかけてきた。

メイ「奥さん、あのぉ~」

麻美「なんですか?」

メイ「離婚されたって、もしかして私のせいですか?」

麻美「あなた、自分が影響与える人間だって信じて疑ってないの?すごいですね。ってか、結局あなたは何なわけ?元気のこと狙ってんの?」

メイ「狙ってるなんて、そんな。私はただ困ってる人がいたら、ほっとけないたちで、どっちかっていうと奥さんに憧れてたかも。」

麻美「は?」

メイ「私が元気くんの周りにいても揺るがないっていうか、毅然として元気くんの横に立っているのがかっこよくて、だから奥さんに結婚という絆の強さを見せて欲しかったんだと思います。うちの両親って表面上は仲いいんですけど、ホントのところは嫌い合ってて。だから私自身結婚を信じてないんですよ。それで男性不信にもなってて、だから奥さんを見てると、私ももう一度誰かをホントに愛してみたくなるっていうか。」

麻美「…。あなたさ、女友達いないでしょ?」

メイ「え?」

麻美「私はあなたが思っているような人間じゃないから。そんでもって私と元気の問題にあなたは1ミリも関係ない。」麻美は足早に去って行った。

麻美「吐きそ。」麻美が吐きそうと思う気持ちはすごくわかる。私も吐きそうだった。人に嫌われるようなことやってるのに気づいていない。麻美の言うようにメイは女友達いないだろうなぁ。メイのことを思って言ってくれる人は誰もいなくて。すごくかわいそうな人だなぁと思った。

傷心の元気くんの話を聞いた向井くんは、一時帰宅した麻美と話し合った。

向井くん「この先どうするの?」

麻美「何が?」

向井くん「何がって元気くんとのことだよ。」

麻美「どうするもこうするも離婚したんだからこの先なんて無いよ。」

向井くん「ふーん。」

麻美「何?」

向井くん「いや、結局ただの離婚なんだなと思って。」

麻美「へ?」

向井くん「結婚とか制度とかどーでもよくて、元気くんと麻美二人だけで良かったんだよ。だったら、今これどうゆう状況?ただの離婚じゃん!二人は普通に好きなんじゃないの?だったら何してんの?何やってんだよ!」

麻美「しょうがないこともあんの。」

向井くん「なんだよ。しょうがないことって。結局ノイズに負けたのは麻美だな。」

麻美「お兄ちゃんにはわかんないよ!」

向井くん「俺が結婚してないから?あぁ確かに。正直、結婚する離婚する。よくわかんないと思ってる。でも元気くんと麻美がお互いのこと好きだっていうことぐらいわかってるよ。もっとシンプルに考えちゃだめなのかよ!元気くんとこのままサヨナラになってもいいの?それだけだろ。」

麻美「うるさい!ほっといてよ。関係ないでしょ。」

向井くん「関係あるね!だってそうだろ?一緒に暮らしてきて、元気くんはデリカシーなくてうざいけど、でもお母さんとも仲いいし、まぁ俺も嫌いじゃないし、元気くんだって麻美の望む通りじゃないかもしれないけど、でも一生懸命おまえのこと考えて…」

麻美「出したの!離婚届も、転居届も出したの!終わったの!仕事の昼休みに行って、なんだかんだ待ち時間長くて、お昼食べ損ねて、そしたら訳わかんない女(メイ)に会って、訳わかんないこと聞かされて、あーーーーー!もう、もうじゃあね。帰るわ。」麻美はそう叫んで家を出て行った。向井くんは我に返る。

向井くん「え?何?何なの?言い過ぎた?え?」

ママは何も言わず、向井くんの体を優しく叩いた。兄妹の会話を聞いていて、向井くんの成長が更に著しいと思った。とても的を得ている考えだし、説得力もあった。あの向井くんが何より元気くんと麻美の気持ちを一番大切にして向き合って話していることに驚いた。すっかりお兄さんらしくなってた。笑

それから数日が経ち、パイレオを閉店することになったと聞いた麻美は、慌てて向井家にやってきた。

麻美「離婚したから店やめるってバカじゃないの?結婚しててもしてなくても、元気の人生を歩んで欲しかったの。これまで頑張ってきたこととか、夢とか、そうゆうの捨てて欲しくない。私がいてもいなくても、元気は元気の人生を幸せそうに生きてて欲しいの。」

元気「無理だよ。無理だよ、そんなの。だって俺知っちゃったんだもん。」

麻美「何を?」

元気「マミンが隣にいる幸せ。そりゃ昔さ、一人で好き勝手に生きてた時も幸せだったよ。自分のお店持って、おいしいカレー作って、それをみんなに食べてもらうのが夢だったよ。だけど俺の人生にマミンが現れてさー俺のカレーを幸せそうに食べてくれる、その喜び知っちゃったからさぁ。もう戻れないんだよ。店もマミンも両方大事なんだよ。なのにマミンがいなくなっちゃうなら、店もいい。両方揃わないなら、どっちも要らない。」元気くんのこの言葉を聞いて、涙が出た。元気くんの麻美への思いは無限大だ。

麻美「も…バカ、ホントにバカすぎる。」麻美は元気くんにダメ出ししつつも、素直な気持ちを告白した。

麻美「夫婦とか制度とか、そんなのマジどうでもいい。ただ元気とずっと一緒にいたい。」

元気「え?離婚したのに?」

麻美「私はこれからも私たちらしく、ずっと幸せでいられるために、ずっと一緒に生きていくための離婚にしたい。こっから私たちの関係を新しく作っていきたい。元気はどうかな?そういう関係は嫌かな?」

元気「いいよ!全!然!いいよ!俺だってマミンとずっと一緒にいたいよ。だって、俺はさ、マミンをずっと好きでいればいいんでしょ?それがいいよ。最高だよ!マミンがいれば、俺、自分の人生めちゃめちゃ頑張れるんだよ。」元気くんは、麻美を抱きしめた。

麻美「私も。」

元気「俺、ちゃんとこれからの二人のこと考えるから、でもよくわかんないから、諦めないで何度も話して欲しい。話そ。」

麻美「うん。」元気くんと麻美は、結婚や制度の枠にとらわれない形で再出発することとなった。

向井くん「ったく、親、兄妹の前でイチャつくなよ~。」

ママ「まぁまぁいいじゃないの。」向井くんは、ただ一緒にいたいという気持ちが一番大切だということを二人に見せられた。こうして向井家はまた円満な家族に戻ることができた。

離婚して麻美と元気くんは、自分たちらしい生活を二人で模索していくことになる。乗り越えなければいけない問題も多い。でも不機嫌な表情の麻美はどこにもいない。明るく穏やかな表情が増えていった。

向井くんのママは、麻美の頼れる存在でしたね。母でもあり、人生の先輩でもある。母と娘の距離感ってこんなにも近いんだとドラマを見ていて思った。向井くんとの親子関係は良好だったし。このドラマを見ていて親は子供を広い心で見守るべきだと思った。麻美の離婚騒動でママは心配していても優しく見守っていた。子どもから求められればアドバイスしてくれて。それってすごいことだと思う。私も子供がいるから向井家のママを見習いたいと思った。これからも向井家は素敵なマイホームでいられそう。

麻美「お母さんはさ、お父さんと結婚して幸せ?」

ママ「幸せだった時もあれば、幸せじゃなかった時もある。そんな感じかな?だってこれをしたからとか、これを手に入れたから、ずっと幸せってことはなわけじゃない?結婚した瞬間、お兄ちゃんや麻美が生まれた瞬間、成長を感じる瞬間などに幸せを感じてきた。それらは永遠に続くわけない。今日が幸せでも明日は何かに悩んでいるかもしれない。それが人生よ。ざっと振り返ってみると幸せ。それで十分よ。」

最終話で語ったママの言葉は、人生の先輩として深い言葉だった。改めて幸せについて考えさせられた。元気くんと麻美は枠にとらわれず、ただ一緒にいたいというシンプルな形で幸せに向かう答えに辿り着いてよかった。二人に幸あれ。