
先々週からNHK-BSプレミアムで月〜土の7:15〜7:30、1985年前期の朝ドラ「道つくし」の再放送をしているのだが、コレがなかなかいろんな意味でスゴい。
1985年といえば今から35年前、関西人には
「阪神タイガースが優勝した年」
と言えば一発でわかる(笑)。
ちなみに私は当時高3だったのだが、最高視聴率55%を叩き出したスゴいドラマだったのだ。
私は当時もちろんその時間は既に学校に居たので観る事はなかったのだが、もうとにかく沢口靖子の大根役者ぶりがクセになる(笑)。
「東宝シンデレラガール」に輝き芸能界入りを果たした沢口は、当初からセリフのヘタさは有名だったそうな。
沢口は高校時代には既に学外にファンクラブが出来、登下校時には囲まれるほどの人気だったそうだが演技力はかなり厳しいものがあった。
それを脚本家・ジェームス三木は
「ヘタな人が上手くなっていくのも、視聴者の楽しみだから」
とヒロインに抜擢したそうな。
ジェームス三木、なんとフトコロが広いのだろうか…
舞台は大正末期から始まり、醤油屋「入兆」の娘・かをる(沢口)と漁師・惣吉(川野太郎)が境遇の違いを乗り越えて結ばれる、言わば日本版ロミオとジュリエットなのだが、この川野太郎も当時は沢口に負けず劣らず棒読みだったのが笑える。
スゴさと言えば、物語の設定である。
かをるは入兆の当主・坂東久兵衛(津川雅彦)の婚外子だ。すなわち正妻は千代(岩本多代)で、かをるの母・るいは妾の加賀まりこなのだ。
今から35年前とはいえ、劇中大きな声で「妾の子」と連呼されては、ドキドキしてしまう。
今なら婚外子、もしくは非嫡出子、と呼ぶのだろうが…
このドラマは、流れ者の醤油職人・弥太郎役として明石家さんまが出演しているのも興味深い。
私は関西人なので当然ブレイク前からさんまを知っているが、当時のさんまは「オレたちひょうきん族」のブラックデビルが大当たりしその人気を不動のものにしていた。
この翌年ドラマ「男女7人夏物語」が大ヒットするのを考えると、このドラマが俳優・明石家さんまとしての評価を確固たるものにしたように見受ける。
今観るとさんまの芝居は相当に粗削りだが、それ以上に当時は今以上の売れっ子で天狗になっていたゆえ、スタッフもさんまの取り回しにかなり苦労していたのが垣間見える。
この後さんまは大竹しのぶと結婚した瞬間に守りに入ったせいか劇的につまらなくなり、激しく人気を落とした。
今でこそさんまはどんな司会でもソツなくこなす善人だが、頭を打つ前のやんちゃ坊主ぶりがこのドラマには刻まれている。
驚いたのは、久兵衛の正妻・千代との間の娘・律子役の桜田淳子がエラく美人なのだ。
今日の朝日新聞でも島崎今日子がコラムに書いていたが、正直あんなに美人だったっけ?と思ってしまった。
「花の中3トリオ」では私は断然百恵ちゃん派で、桜田淳子と森昌子は正直どうでもよかったのだが(笑)、当時26歳の桜田淳子の美しさは一見に値する。
さて物語はかをるが晴れて久兵衛に認知され、正式に入兆の娘として坂東家で暮らす事になったのだが、そこで待ってましたとばかり教育係のハマ(根岸季衣)に連日しごかれており、「おしん」的展開になっているがそこは小林綾子と沢口靖子の超えられない壁があるので(笑)…