北海道言友会の会長を長らく務めてきた南孝輔(みなみ たかゆき)さんが11月9日(木)急逝しました。享年70歳。
自宅で倒れられ、そのまま意識を取り戻すことなく、旅立たれたとのことです。
亡くなられた日は、来年度実施予定のプロジェクトの打ち合わせが予定されており、その前日の晩も関係者との打ち合わせやLINEでのやり取りをされていました。
南さんは、小学3年生の頃に自分の吃音を意識したとのこと。大学卒業後、小学校の教員になり、約40年間一貫して障害児教育、特にことばの教室の教員として、吃音のあるお子さんの指導に務められました。退職後は札幌市内の小学校で学びのサポーターを務められ、亡くなる前日も出勤して、発達障害のあるお子さんのサポートにあたっていました。
言友会に出会ったのは、40歳の時のこと。その後約20年近く北海道言友会会長を務められました。会長時代は、「札幌言友会」だった名称を「北海道言友会」に改称し、札幌だけでなく、旭川、室蘭、帯広、北見と道内各地に例会(吃音カフェ)を次々と起ち上げ、毎月道内を飛び回っていました。
また、北海道だけでなく、NPO法人全国言友会連絡協議会の副理事長や、理事長(2013-17年)を務められ、北海道だけでなく、全国の吃音のある当事者のために活動を続けてきました。
近年では、毎週月曜夜にコーヒーを飲みながら気軽に語り合う場である「マンデーナイト吃音カフェ」に特に力を入れており、カフェマスターとして、プロ顔負けのドリップコーヒーを淹れて参加者に振舞い、この活動も、10年以上続けられました。最後となった11/6(月)のマンデーナイト吃音カフェも、様子に特段変わりはなく、最期までライフワークとして、言友会活動に携われた中での突然の死でした。
南さんは、吃音の当事者としてだけでなく、教育者、支援者として、幅広く活躍されました。吃音のある人への合理的配慮や社会的支援の必要性をいち早く全国で訴えてきました。また、吃音のことを社会に正しく知ってもらおうと、専門学校講師や、研修会での講師、イベント出演やテレビ・ラジオの取材を数多く受けてきました。
また、私たちの仲間であった看護師の飯山博己さんの自死に対して労災を求める裁判にも関わり、ご遺族の方を長年サポートされてこられ、亡くなる前日もご家族とお話をされたそうです。
吃音への支援の場、相談の場が非常に少ない中、南さんはその生涯を通じて、幼児から成人まで年齢を問わず吃音の当事者、保護者、支援者に対して、いつでも優しくアドバイスと励ましをし続けました。道内外問わず、多くの方が南さんに励まされ、勇気づけられてきました。
北海道言友会にとって無くてはならない存在だった南さん。その突然の早すぎる旅立ちに言友会会員一同、南さんの存在の大きさを痛感するとともに、心を痛めております。
南さんのご冥福をお祈りします。
南 孝輔さん(2022年撮影。『みんなのしみサポ 』vol62 から掲載。写真は札幌市市民活動サポートセンターのご厚意により掲載させていただきました)
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