サバイバー日記

炎症性乳がんと告知されて6年間。多発転移しつつ、生きたサバイバーな日々の記録と家族の日記です。

今日無事

2007年12月19日 | お茶
 

 今日は、お茶のお稽古だった。

掛け軸は「今日無事」という今年の最後のお稽古にふさわしいもの。
今年も無事に過ごせました、という安堵と感謝が感じられる。

お花は寒椿と綿の花。花入れはコンプラ瓶(金富良瓶)。
このコンプラ瓶は、江戸時代にJAPANSCH ZOYA(醤油)を
オランダ船に積むために作られたものだそうだ。

私も今年は肝臓の転移でいろんな事を考えさせられもしたが、
こうして無事にお茶を頂ける今日のこの日に感謝したい。

人間とは不思議なもので、来年はどうなるかなどと不安になったりする。
そうゆう一面で、今日この時間、突然事故で亡くなる方もいるだろう。

私がこの病気になった時、知り合いの方に私の病気の事を打ち明けた。
「私たちも、今日(明日)事故で死ぬかもしれないのは同じだから…。」と慰められた。
もちろん、私は「人間はいつか死ぬ」と思っている。
(当たり前の事だが…。)
でも、漠然とした「事故で死ぬかもしれないという不安」と
「治らないと言われた病気に掛かり、苦しんでいる途中」の私と
同じ次元にして欲しくはなかった。
その時の私にはとても受け入れ難かったのだ。

でも、この広い宇宙の出来事の中では、
私ごとき事、病気でいつ生きるか死ぬか…なんて事は
まったく関係ないのかもしれないと思うようになった。

実際、この方は私と同じ立場になったらどうするのだろう。
きっと、苦しむだろう。
でも、その時、私はオウム返しのように
その方に同じ言葉を投げかけたりはしない…。
今日を無事に過ごせれば良いのだから。


私は今日も薄茶のお点前のお稽古をした。
でも、なかなかうまくは出来ない。

その後、薄茶、炭点前が終わり、
今日は「数茶」をした。

 

「数茶」の札元は、お詰が務める。
折拱(おりせい)の中から一人、一人にお札を取り、
札元が開けた札の順番にお茶を頂くという
通常とは違う、ちょっとお遊びが入ったものだ。

私は菊の札だった。
菊の札を開けられると
「菊の札、お除きを…。」と言う。
そうしないと何度もお茶を催促する事になる。
結局、私のお札が一番最後になったが、
今日も美味しくお茶とお茶菓子を頂いた。

 一日、一日を大切に、充分に生きる事。
それはこの病気に掛かってこそ、心底思える。
今日のこの日も、有り難い…。