のほ本ブログ

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ウルトラマンが泣いている 円谷英明(著) 講談社現代新書 全220p

2020-01-10 21:30:14 | 
【あらすじ】
「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二が率い、ウルトラシリーズを誕生させた円谷プロダクション。一時は日本国内で破竹の勢いを見せていたこのシリーズは円谷英二の死後、栄光と迷走を繰り返していく…



2020年1月10日は
ウルトラシリーズの裏事情、栄枯盛衰を描いた新書「ウルトラマンが泣いている」について書いていきます。

この本は 円谷英明さん によって執筆されました。
円谷英明さんは「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二氏の孫であり、ウルトラシリーズの栄枯盛衰を生で見てきた人物です。彼は本書において「ウルトラシリーズは結果として失敗だった」とし、その原因は同族経営による杜撰な管理体制だとしています。
 本書の中では、「金銭よりもクオリティを維持する」という円谷英二氏が貫いた姿勢が同族経営において徐々に崩れていったことを明確に書いています。特に、2代目社長である一(はじめ)氏から3代目社長の皐(のぼる)氏に社長が変わった以後はひどい有様であり、会社がウルトラマンを「金儲けの道具」として考えるようになる程に理念が変わってしまったそうです。皐氏から変わったこの理念は、ウルトラマンというキャラクターに頼り切った経営であり、金銭的に見て限界がありました。確証はありませんが、皐氏が私的に会社の資金を流用し続けていた疑いもあるようです。
 他にも多く問題はありますが、結果として莫大な赤字を抱えた円谷プロダクションは海外の文化の壁を越えられず、タイに進出した際に出たウルトラマンの著作権問題は現代も法廷で争う等、数多くの問題を抱えたまま50周年を迎える事となりました…



円谷英明さんはこの本において「ウルトラシリーズは失敗していった」と断言していますが、私はそうは思いません。確かに、ずさんな管理体制があった事や海外進出で失敗したという事は事実かもしれません。しかしながら、老若男女が知るヒーローとしてウルトラマンは広く認知されており、ウルトラマンを見て育ったという人も数多くいます。50年以上続くシリーズとして多くの人々に認知されたのは創業者一族や多くの制作人が愛をもってウルトラシリーズを制作し、ファンの方々がそれを受け入れ支えていった為だと思います。売上や海外進出の失敗から成功していないと判断するのではなく、紆余曲折ありながらも50年以上もの間ファンに支えられシリーズが続いていった事に目を向けていくべきだと私は考えました。

綺麗ごとかつ長い文章になってしまいましたが、以上でこの本の紹介を終わりたいと思います。
ここまで閲覧してくださった皆様ありがとうございました。

 
あまり関係がないのですが、ウルトラシリーズや特撮に興味を持った方は是非とも鑑賞してみてください! (個人的に好きなウルトラシリーズを以下に貼っておきます。)