のほ本ブログ

このブログでは本に興味を持ってもらう事を目的としています

タルチュフ : モリエール作 鈴木力衛 (訳)岩波文庫 全115p

2020-01-07 10:36:36 | 

【あらすじ】
金満家のオルゴンは、自称没落貴族のタルチュフを慈悲深い人だと信じ込み、最大の敬意をもって家に滞在させることにする。一方のタルチュフは敬虔な信心家を装う事で、オルゴンの財産横領と妻を奪う事を画策する…



2020年1月7日は
偽善者の典型を表現したモリエールの戯曲「タルチュフ」について書いていきます。

この本は モリエール によって執筆されました。
モリエールはこの作品においてルイ14世時代の信心家がはびこる社会を痛烈に批判するとともに、人の心に漬け込む偽善者の典型例を創造しました。この本が発表された1664年は神の存在を信じて許しを請う信心家が多く存在していた為に、世間からの批判が絶えずルイ14世は本作を上映禁止とした事があるそうです。


この本では、オルゴンをたぶらかす人物としてタルチュフという信心家が登場します。オルゴンはこのタルチュフという人物を自身の家族よりも上位に据え、自身の娘を彼に譲り渡す事を約束してしまいます。一方のタルチュフは、このオルゴンの狂信的な姿をうまく利用し、オルゴンの息子を外へ追いやり、妻と娘を手に入れる事で自身の理想郷実現を目指します。言葉巧みにオルゴンを操る姿は、カルト宗教の教祖さながらで、オルゴンはカルト宗教を信じる狂信者のように見えます。この本では、信心家の中にはこういった人物がいるという事を風刺するとともに、一度人を信じ込むとその人物の行動や行いの全てを正しいと認識してしまうという恐ろしさが表現されています。悲しい事ですが、現代社会でもオウム真理教のようなカルト宗教を信じ込み、地下鉄サリン事件を引き起こした事例もあるので、言葉巧みに人をだます存在、だまされる存在は身近なものなのです。



以上でこの本の紹介を終わります。
この本の文章は戯曲の台本のような文体となっているので、状況の想像がしやすく読みやすいと思います。歴史の教科書でルイ14世の時代を学習しながら読むと、さらに当時の雰囲気を味わいながら読めるかもしれません。

この機会に是非とも、戯曲作品も手に取ってみてください。
拙い文章ですが、閲覧してくださりありがとうございました。