ミッドナイト・イン・パリ（2011年スペイン・米映画）

才人ウディ・アレンのこだわりが随所に感じられる本当に映画らしい映画で、パリの風景がとても美

しい。それも独特の落ち着いた色使いで表現されていて、爽やかな朝、元気な昼間、何かが起こりそ

うな夜、そして沢山の人々を虜にする魅惑的な深夜のパリ！主人公は夜のパリを彷徨い歩くうちにあ

こがれ続けた1920年代のシーンに引き込まれてしまう。そこには誰もが知るフィッツジェラルド、ヘ

ミングウェイ、ピカソが待っている。さらにダリ、マン・レイと出合い。ピカソの愛人アドリアナと

出合う。


映画ではロマンティストの主人公ギルと即物的な婚約者イネスが対照的に描かれる。そしてギルはア

ドリアナに恋するが、1920年代からアドリアナの憧れる1890年代ベルエポック期に共にタイムスリッ

プし、アドリアナはその時代に残ると言う。


主人公を演じるオーウェン・ウイルソンはウディ・アレンによれば、自然な演技をすると高く評価さ

れているが、長いセリフが多いアレンの作品には最適だ。登場する過去の人物が生き生きとして（し

かも演じた俳優が似ている）本当に楽しい映画だ。映画の中のカット、登場したそれぞれの人物がい

つ迄も心に残る稀有な作品です。