沈みゆくアメリカ覇権 中林美恵子

日本は第二次世界大戦後アメリカの影響下にあるのが現実で、世界中で批判されていたトランプ前大

統領に媚びへつらっていた安倍前首相はアメリカの時の権力者に気に入られているうちは、権力を掌

中に出来ると思っていたはずで、その通りに推移していました。この本の著者はテレビでもお馴染み

ですが、アメリカ連邦議会・上院予算委員会スタッフとして働いていました。この本はトランプとバ

イデンが激しく選挙戦を戦っている最中で両者の政策が並べられ、どちらかが勝者になった時の世界

に対する、日本に対する影響が書かれています。


著者のアメリカ政界の人脈は幅広いもので、本書を書くにあたりインサイダー情報をかなり得たもの

と思われます。著者が共和党で働いていたために読んでいて情報に若干偏り(トランプ前大統領の政策

の失敗はコロナ対策のせいだけではないと思う）を感じますが、アメリカ政界で今実際に働いている

実力者たちが実名で登場し、彼らが次につくポストでアメリカがどう変化していくか興味深い記述が

沢山ありました。


現在のアメリカが世界の警察を止めたことはインパクト大で、アメリカと大国化した中国との軋轢も、

中国と経済で繋がっている日本に選択を迫る可能性に言及している。世界の紛争に関わり続け失敗を

繰り返すアメリカに盲従するだけでは済まない状況が眼前にあることを痛感しました。


沈みゆくアメリカ覇権　　　　　　　中林美恵子　　　　　　　　　小学館新書