猟の誕生日
親も子供も ローソクの数がふえるのが嬉しくてたまらない5才という年齢
プレゼントは何がいいか と まあさに尋ねたら ”禁オモチャ”を言い渡された。
そこで知恵をしぼり、選んだのが 電気いらずの ハンドルをまわしてゴリゴリ削る エンピツ削り
それに スケッチブックと 子供だからHBの鉛筆と 絵を描く用の もう少し柔らかい鉛筆を
一個のフォルダーにまとめて入れてプレゼントした。
電源 あるいは乾電池で エンピツを差し込めば一瞬にしてエンピツ削り終了、というのが普通の今の時代、というより、筆記具はエンピツだけではないのが今の時代だ。
だからこそ このローテクが面白いのではないか、と思ったのだ。
さて、どこに取りつけようか と場所探しに予想外に苦戦
板の厚みが必要だし、角度もどっちむきでもいい というわけではない。
結局、棚を埋めていたプラスティック容器をどけて設置
ちっちゃな留め具と ねじが3本 場所は永久に固定するような、
たとえば 図面をひく人のデスクの傍ら でしか
本当に使われていないことがわかる。
でも ねじで固定するつもりもないので、
滑り止めになりそうな材質のものを探して挟み込んで固定
この場所、この角度が 唯一の場所となった。
太さの違うエンピツを削れるようになっているのだが、
ちょうど裏側で直接は見えない面からしか、エンピツを差し込むことができないのが、
取りつけてからわかったのだ。
苦肉の策で、小さな鏡を使って エンピツを差し込む場所を探り当てる、
という、とてつもなく不便なシロモノとなってしまい、
家族から大笑いされた。
これにくいついたのは 猟よりもむしろ紫音のほうだった。
エンピツをつっこんで ハンドルを回してゴリゴリ削り、
さきっぽがとんがったのを確認してはノートに何やら書いている。
彼女は左ききなので、設置した角度はかなりやりづらいのだが、
その困難を克服しつつ ゴリゴリとよろこんで削っている。
私が小学校入学の時は
母親がナイフで丁寧に削ったのを 5本、6本と筆箱に入れて、
それが入った赤いランドセルをしょって、桜並木のゆるい上り坂をのぼって
学校の門に入った。
それから毎日 母親は
とんがりすぎないように、とてもきれいにエンピツを削ってくれた記憶がある。
我が家のローテクエンピツ削り
どこまで活用できるのだろうか