ときには強く

休日　暑い暑いと次女はぐうたらしていた。
毎日仕事して子供の面倒見て歌のレッスンして　と
多忙なのはわかるので　つい甘くなってしまう。
しかし　好きなことをやっているわけでもあるわけで、
だからぐうたらしてもかまわないという理由にはならない　と　思った。

あまり　ああしろこうしろ　と言いたくない。
ハイ　喜んで　などという返事は帰ってくるはずもなく
むうっとした顔で　低ーいところから絞り出す　オッケー　の声を聞くと
こちらもかなりエネルギーをもっていかれてしまうのだ。

しかし　あまりのぐうたらに
とにかく部屋をきれいにしなさいよ
きちんとすると気分もしゃきっとするからね　
と　半ば強制で　掃除に着手させた。
こういうことは　やりはじめればリズムができて
さっさと体が動くものだ。

しばらくして　彼女の部屋はさっぱりと片付いた。
さらにかわいらしいことに
”おかあさん　言ってくれて　ありがとう”
の一言をいただいた。
時には強制するのも必要だな　と思った。

暑いけど

華氏１１５度　という記録的な暑さ
痛いほどの日ざしで　げっそりするが、
暑い　暑い　と言うよりも
暑いけど　元気に過ごせて　感謝だわー　と
思うほうが　よい気がする

縦長のヘソ

孫娘用に食事を用意した。
私はうろうろと皿洗いなどの雑事にいそしむ。
長女は　物理的には家にいるのだが、
インターネットのクラスの最中でそっちに集中
きょうは家族の夕食のタイミングがずれてしまい、
各自勝手に　と　なってしまった。

孫娘はとても不機嫌で
コップが違う　とか　つまらないことで
大声を張り上げる。
そして　
”ここに座って”　
と　人差し指を下向きにして椅子を指した。
リクエストにお答えして　その椅子に座ると
彼女の顔と私の顔が４０センチほどの距離になった。
すると孫娘は　
きょうのデイケアでの出来事やらを
ぱらぱらとしゃべりだした。

そうか、と　私は膝をポンと叩きたいほど納得の事態だった。
相手なしで　一人で食事　というのがダメなのだ。
一人暮らしならいざ知らず、家族がいる空間でのそれは
淋しく悲しいことだ。
たしかに　たしかに
それがわかったので　彼女の言葉に耳を傾ける。
全身全霊で話を聞けば　実に面白い。

孫娘はいきなりシャツをめくって
自分のヘソを縦長につまんだ。
”こういうヘソだったらいいのに　あのサルみたいに”
はて
孫娘に　自分もそうでありたいと思わせるほどステキな
縦長のヘソのサル
私も会ってみたいものだ。

縦長のヘソ
それは　鍛えに鍛えて　腹筋がぱっきぱきに割れるほどになったら
手に入れられるものだと思う。
よし！
腹筋だあ　ゴールは　縦長のかっこいいヘソ！！

ぴかぴかのカナブン

目の前で　ポタリと　カナブンが落ちた
緑色にぴかぴか光るお腹を見せて　ぴかぴかの足をじたばたさせていた
なーんか　ドジなカナブンで
ふと気が抜けてしまって
ポタリと落ちた　という感じ
プルメリアの大きな葉が落ちていたので
それを差し出すと
足でがっちりつかまえて　ふん、と気合いを入れて
羽を広げて飛び立った

小さな子供が両手を広げて　飛行機ごっこをしているのにそっくりな
ぶうんぶううん　と羽音を立てて
私の頭の上の高いところに　ぐるりぐるりと円を描き
ぴかぴか光りながら　そのまままっすぐに飛び去った